第五話 狙われた弱点
神崎は水分を補給しながら、ボウガンを構えた。
地面に設置型の武器で、矢を入れると自動的に引
かれる。
あとは角度を合わせて置いておくだけ。
矢をその都度入れなくてはならないが、それでも
動きを鈍らせる薬が先端に塗ってある。
「皮膚は硬いだろうから……狙うは…ここだ!」
いくら硬い鱗で覆われている龍といえど、目玉は
どうしようもないだろう。
戦闘に夢中でこっちには全く警戒すらしていな
い。
今の隙ならイケる!
そう思うと、目を狙い撃ちしていく。
一度目は瞼に刺さったが、すぐに地面に落ちた。
二度目のは左目にヒットした。
荒れ狂うように尻尾が振り回されると、前線にい
るナルサスとケイヒードは器用に避けていた。
片目の視界を奪うと、もう片方へと狙いを定めた
のだった。
土龍という名は伊達では無かった。
攻撃を当ててもなかなか削りきれなかった。
決定打にかけるのか?
いや……そうではないのだ。
ただHPが非常に高いだけなのだ。
ダメージはちゃんと入っている。
あとは、時間をかけて削り切るだけなのだが、
神崎のバフの効果時間が迫っていた。
バフをもう一度かけるなら一度効果範囲内に
戻ってもらわねばならない。
しかし、この広い空間で、ひと所に集まれば、
集中砲火を食らうだろう。
それも神崎のそばでそれを食らうわけにはいか
ない。
「一気に決めるぞ!」
エリーゼさんの声が全員の士気を高める。
ラナの魔法はまだ拙いが、威力はある。
コントロールにちょっと問題がある気がするが、
この広い空間では何の問題もなかった。
味方にさえ当たらなければ……だ。
前衛は攻撃をかわしながら、攻撃を加えていく。
ダメージは確実に蓄積されていく。
「俺ももっとパーティーの為に……」
神崎は唯一残ったもう片方の目を狙おうと構える。
が、そんな時、いきなり尻尾で全体を薙ぎ払うと
ナルサスとケイヒードが吹き飛ばされてきた。
「大丈夫!」
「問題ない」
「大丈夫です」
二人が起き上がるのを見ると、ボスと目があった。
土龍とはよく言ったもので、空を飛べない分、脚が
太く頑丈に出来ている。
そして突進攻撃と尻尾での振り払い、そして噛みつ
きと、ブレスが主な攻撃手段だった。
その中の今、まさか突進攻撃で向かってきている。
あえて神崎の方に吹き飛ばし、突進をかけてきたの
だった。
神崎は少し離れた場所にいたが、今は戦闘の最前線
になってしまった。
「奏、下がって!」
「待って、もう遅い!中に入って!」
神崎が目一杯魔力を込めてシールドを張った。
地響がして大地が揺れる。
「うっ………」
「大丈夫か?」
「へ…平気。でも……そんなに持たないかも……」
シールドは無敵と思っていたが、そうではない。
魔力が切れれば割れてしまうし、衝撃を加えられ
れば一気に魔力が持っていかれるのだった。




