第四話 パーティー戦闘
険しい登山になった。
獣人族にとっては何の問題もない獣道だ。
人間にとっては歩きにくい事この上ない。
が、神崎はナルサスに抱えられたまま運ばれるよ
うに目的地へと向かっていた。
「ここですね。」
「そうだな………そろそろカナデを離したらどう
かな?」
「あぁ、そうですね。はい…」
「ナルサス、ありがとう/////」
少し恥ずかしくなる。
そこは山の中腹にぽっかり空いたダンジョンだ
った。
中は洞窟のようになっており、少しジメジメし
ていた。
「じゃ〜、バフをかけるからね」
「あぁ、頼む」
「お願いする」
パーティーメンバー全員に暗視機能とスピード
バフ、筋力増強をかけたのだった。
順調に攻略すると、階層を降りていく。
20階層位は降りただろうか、あまりにも順調す
ぎて怖いくらいだった。
「さぁ、誰が先手を決めるか勝負しようじゃな
いか?」
エリーゼの提案にナルサスとケイヒードが受け
てたつ事になった。
「負けても文句はなしだぞ?」
「奴隷ごときに負ける気はないが?」
「奴隷ごときに負けて恥ずかしい思いをしてい
ただきましょうか!」
「じょーちゃん、あまりに舐めすぎだぜ?」
ケイヒードも負けじと言葉を選ぶ。
そして、ボス部屋へと入っていくのだった。
「こんなに暗いのに、ハッキリ見える…」
「ラナ、支援頼むぞ」
「分かってる。ケイヒードは前だけ見てればい
い」
「はいはい」
初めての主人からの支援魔法だった。
ナルサスや、エリーゼは慣れているが、ラナや
ケイヒードにまでかけるのは初めてだった。
が、問題なく使いこなしていた。
普通なら動きにも多少感覚のズレが生じるのだ
が、そこは獣人族。
すぐに慣れると戦闘にも問題ないようだった。
「では、始めようか!」
「あぁ…」
最初に駆け出したのはナルサスだった。
魔法などないが、身体強化があるので多少力技
でもいけると判断したようだった。
それに続くようにケイヒードが反対側へと回り
込んだのだった。
エリーゼの魔法が顔に直撃すると、怯んだ所に
ナルサスが切り掛かった。
エリーゼが言っていた通り、地面に太い足をつ
いた大きなトカゲだった。
唯一違うのは地面がマグマで覆われている事だ
った。
マグマは深くはないが、普通なら灼熱の熱さに
戦闘どころではないはずだった。
そこは神崎のバフの効果がしっかりと出ていた。
「バフの効果は30分です!それ以上は掛け直し
が必要ですからね!」
「それまでに倒せば問題ない!」
「分かった!」
「任せておけ」
「うん……理解してる……」
全員が各々返事をすると、戦闘に集中する。
神崎だけが熱さに耐えるように周りにシールド
を張って耐えていたのだった。
バフがかけられるのは、神崎のパーティーメン
バーだけで、自分にはかけられない。
だから、この熱さにはシールドで耐えるしかな
いのだった。
汗が滴る中、見守ることしかできない。
最近遠距離の武器を持つことにした。
それが神崎のような力のない非力な人間でも
扱える唯一の攻撃方法だったからだ。




