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第五十二話 ギルドの撤退

森の奥に手足のない死体が転がったのは数分後の

事だった。


だるまのように胴体しか残さなかったせいもあり

野生の動物に引きずられるように巣穴へと運ばれ

ると、誰にも見つかる事なく骨と化していく。


上島の遺体は強い魔力で殺されたせいか、動物達

も反射的に近寄ってこなかった。


強い魔力の残り香が消えるまでは、その場に放置

されたのだ。


冒険者のパーティーが通りかかった時に回収され

傭兵達の元に届けられた。


「こいつ死んだのか……」

「まぁ〜自業自得でしょうね。それにしても不思

 議な死体ですね、死んでるのにカードにならな

 いとはね」


この世界から逸脱した存在だからだろう。

召喚された者は死んでもカードにならない。


それを初めて体験したらしかった。


「これを王都に持っていけば何か出るかな?」

「どうだろうな〜、こいつがお尋ね者になってれ

 ばいいが……」

「異世界人ってだけで優遇されてんだろ?なら…」

「行ってみるか…ここにはサンドワーム目当てで

 来たが、全て狩られた後だったしな」


それ以外にも、ダンジョンで異変が起こっていた。


魔物が居なくなったのだ。

勿論、ダンジョンコアが無くなった事など誰も知

らない。


そして貴族の所有しているダンジョンでも同じ現

象が起きていた。


瞬く間に賢者の名前が上がったが、この世界に数

人いるとされている賢者を探すのは至難の業だっ

た。


一箇所にとどまらないと言われるせいか、どの賢

者かもわからないようでは、探しようもなかった。


「これからこのギルドはどうなるんだ?」

「ダンジョンが消えたんじゃどうしようもないよ

 なぁ〜。一時撤退するか?」

「お、ギルド長が来たぞ」


ギルド職員の不安もわからなくはなかった。


「えぇ〜、この度、ダンジョンが消失したという

 事だが、近隣の魔物も弱くなっている。そして、

 このままでは依頼も減ってギルドとしては成り

 立たなくなる。この度、このギルドを閉鎖する

 事が決まった。確自速やかに荷物を整理するよ

 うに!隣国へ向かう事になったから、数日中に

 は取り壊しになる予定だ、質問は後でまとめて

 もってこい…以上だ」


強面のギルド長の挨拶が終わると、散り散りに荷

物を整理し始めたのだった。


ギルド解体。

それは冒険者達にとっては死活問題だった。


「おい、聞いたか?ギルド解体だってよ?」

「まじかよ、じゃ〜、俺たちも隣国へ移動するか?」

「せっかく慣れてきたのに〜」


冒険者達の動揺も激しかった。


が、決まってしまった事を覆すことはできない。


国の衰退は目に見えて起こり始めたのだった。

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