第四十七話 まさかの再会
一瞬にして決着はついた。
リッチが再びアンデッドを召喚しようとしたが。
それをされる前にと一気に攻撃を仕掛けたのだ
った。
今は、魔石を取り出すと、嫌な顔をしながら口
に入れたところだった。
「うぅ……やっぱりまずい……」
『主の魔力が増えると我にも恩恵があるようじゃ』
「へっ……そうなの?」
『じゃから我も魔石を食べる事ができるのでは
と思うのじゃが……』
契約獣の言葉を信じるならと手に持っていた他の
魔石へと手を伸ばした。
「それはダメだよ。強くなるのは主人である神崎
くんじゃなければならないんだ。恩恵が受けら
れるのは主人の力が強まった時で、契約されて
いる方からは無理なんだ」
「へぇ〜そうなんだぁ〜」
「だからその獣に魔石を与えるのはもったいない
んだよ」
弘前が言うと、神崎は納得したように手を引っ込
める。
「それよりも、ダンジョンコアを探そう」
「うん、ちょっと待って……ん〜っと。こっちか
な?」
そう言って指差した方の壁を壊すと新しい通路が
出てきたのだった。
「これを……」
「この黒い石も例のあれなの?」
「そう、受け取ってよ」
「うん…ありがと」
新しく開いた通路を歩きながら宝箱から出てきた
黒光りした石に触れる。
すぅっと消えるように吸収すると、今までよりも
多くの力を感じたのだった。
「これで6個目だね」
「うん……そうだね……」
なんとなく神崎には理解した気がしのだ。
この石は今ちょうど半分まで集まっているという
事実を。
身体の中で結晶化し、自然と理解したのだ。
そして目の前に現れたダンジョンコア。
今まで通りならこれに触れて、もっと強くなれる。
いままで通りに手を触れようとした瞬間。
弘前が止めたのだった。
「待って。神崎くん、今回は僕が貰ってもいいか
な?」
「ん?俺が吸収しなくていいのか?」
「うん、そうしたいんだけど、その前にちょっと
実験したい事があってね」
「わかった。どうぞ」
「うん、ありがと。」
弘前はダンジョンコアに触れる事なくアイテムと
してしまってしまった。
こうしてこのダンジョンも崩れ始めたのだった。
この事は、話すと大変な事になりそうなので、す
ぐに離れる事にした。
街に戻ると荷物をまとめた。
「明日には帰ろうか」
「明日って…あの家の使用人がダンジョン前まで
来るって言ってたんじゃ…」
「いいのいいの。どーせ。あのダンジョンは崩れ
てしまったし、どっちも、もう利益を見込めな
いただの洞穴になったわけだし。まぁ〜何百年
かすればまたダンジョンになるかもだけど」
弘前の狙い通り、次の日ギルドでは大きな騒ぎに
なっていたのだった。
こっそりと街を出ると船に乗り込み帰る予定だ。
そう、何事もない顔して帰るはずだったのだ。
なのに、そうは行かなかった。
その理由はギルドに行った時に、意外な人物に会
ったせいだった。




