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第三十四話 仲間

ボスを倒した訳ではなかったが、どう言うわけか、

奥に繋がる扉が開いていた。


「ユニがいてくれるから、開いたのかな?」

『そんな事はない。我はもう力を無くし、代わり

 のダンジョンボスが占拠していたからな…』

「代わりのダンジョンボス?」

「あのドライアドに操られていたトレントの大き

 いのかな〜。確か最後は燃やしたでしょ?」

「あぁ、なんか焦げ臭くて美味しくないやつだ

 よね?」

『そういえば気になっておったのじゃが、なぜ我

 らの心臓とも言える魔石を食べるのじゃ?それ

 は人間達が食べれば毒となろう?』

「毒っ!?」

「神崎くんは平気だよ。むしろそれを食べる事で

 生きながらえてるって感じかな」


弘前が言うには、神崎の身体は一般的な人間とは

違うらしい。


だから魔石を食べる事ができるし、無限の魔力が

あるのだと言う。


なんだか難しいが、魔物を倒して魔石を食べてい

る限り傷も治るし、問題ないと言う事らしい。


異世界のルールは意外と変わっているのだと思っ

た。


「この奥に、一体そして」

「もうちょっと曲がったところに二体でしょ?」

「魔力探知も範囲が広がったようだね」

「うん、俺も実感なかったけどユニが一緒に来て

 から結構使い勝手が良くなったんだ」

『それはいい事じゃな。じゃが…言ってくれれば

 我が探知をしよう。わざわざ魔力を使わずとも

 見ればわかるのじゃからな』

「ユニ、そんな事出来るの?凄い!本当に凄いよ」


つい小さな身体のせいか頭を撫でてしまう。

大きかったらこんな事はしないかもしれないが、

つい、犬猫のような扱いになってしまっていたの

だった。


『なんとも……不思議な扱いじゃな……』

「あ、ごめん。嫌だった?」

『いや、そうではない。主人から撫でられると、

 なんともむず痒いが、嬉しいような気がしての』

「嫌じゃなかったのならよかった〜」


神崎は嬉しそうにユニコーンを撫で回した。

手触りも良くて暖かい。


やっぱり魔物も同じ生き物なのだと実感したのだ

った。


横でじっと眺めていた弘前が手をかざすと、さっ

と避けられてしまった。


『主人以外に触れるのを許した覚えはないのじゃ

 がな?』


睨みつける元サトリの目にはあきらかに殺意が籠

っていた。


「ごめん、ごめん、僕も触ってみたいなって思っ

 ただけだから。やっぱり神崎くんは凄いよ。こ

 んな乱暴そうな魔物を手懐けるんだもん」

「乱暴じゃないよ?ちゃんと話が出来るし、俺の

 力じゃないよ。ユニが自分からついて来てくれ

 たんだよ」

『我が主人……やはり我の目に狂いはない…』


ユニコーンとなったサトリは改めて思った。

この主人は他とは何かが違うのだと。


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