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第三十三話 改名、ユニコーン

仕方なく、弱っている魔物に近づくと、ふと顔を

上げた。


『そこの人間……再びこの地に来たのか……懲り

 もせず我を倒しに来たのか?』

「あぁ、そうしないと先に進めないらしいからな」


神崎は隠れていたのだが、声が聞こえると真正面

に出ていったのだった。


『ほう〜一人か?いや、二人だな』

「あぁ……」

『ここを通りたいと……?』

「あぁ、そうだ。もっと下の階層に行きたい」

『なら、勝手に通るがいい。それとも我を倒した

 いのか?』


まさか話が通じるとは思わなかった。


弘前が魔力を練っていると、不意打ちの合図を出

そうとして手を止めた。


それは神崎がサトリに近づいていったからだった。

しかも無防備に……。


『おい、人間。忠告はしたぞ?まぁ、どうせ聞こ

 えてはおろんだろうがな……』

「聞こえてるよ。怪我で動けないんでしょ?これ

 じゃ〜治せないかなって。これね、人間が作っ

 たポーション。傷が治るらしいよここに置いて

 おくね」


神崎はそれだけ言うと、背を向けたのだった。


『待て……なぜそんな事をする?』

「だって……話が通じるから……」


神崎の言葉に、サトリは大きな口を開けて笑った

のだった。


『なんとも面白い小童だ。我が人間の世話になる

 など…ありえん話じゃ、こんなものがなくとも

 平気じゃ』


そういうと一気に魔力を放出した。

周りに風が吹き荒れ、一瞬視界が消えた。


そして次の瞬間、小さな犬のような大きさの馬が

立っていたのだった。


今まで大きな身体で3m以上はあった身体が一気

に小さくなっていた。


「これは?」

『面白い人間よ。我も連れていけ』

「えっ……魔物って連れ出していいの?」


後ろの弘前を振り返る神崎に、弘前の方が混乱し

ていた。


人間に慣れる事のないサトリがいきなり神崎に懐

いているのだ。

信じがたい光景だった。


「まぁ、契約をすればいいんじゃないかな?」

「契約…?」

「あぁ、契約獣って事だよ。そうすれば街の中に

 も一緒に入る事ができるようになるよ」

「へぇ〜、でもいいの?それやっちゃうと、困ら

 ない?」

『我がか?構わん。どうせ次は殺される身、なら

 ばお主についていった方が面白かろう』


サトリは神崎と魔力契約を交わしたのだった。


弘前にとっては予想外の出来事になった。

それは、神崎の栄養にと倒すつもりでいたからだ。

だが、契約獣となれば話は別だ。


いつでも好きな時に殺せるし、神崎を護らせる事

もできる。


これほど、いい贄もない。


「契約したけど……傷は大丈夫なの?」

『そう心配せずともこの姿なら魔力の消費も少な

 いから治りも早いのじゃ』

「へぇ〜そうなんだ〜。よかった!俺は回復魔法

 が使えないから。そうだ、康介は回復使えるよ

 な?」


期待した視線を向けてると、弘前は首を横に振っ

た。


「悪いけど、魔物にはちょっと…」

「そう…なんだ。えーっと、名前なんて呼べばい

 いかな?」

『名前はお主がつけるがいい。それが契約じゃ』

「う〜ん、馬みたいな見た目だし、毛並みもさっき

 と違って真っ白になっちゃったから…ユニコーン

 みたいだよね?」

『心得た、ユニコーンか、悪くはない』


ただ、思いついた言葉を言っただけだったが、契

約の印が光出すと自動的に決まってしまった。


そして、一番驚いたのが、契約時に毛並みの色が

変わった事と、名前をつけた事で、頭部の額辺り

に太くて頑丈な角が生えた事だった。


想像していたような、ふわふわの毛並みに前には

なかった綺麗な角。

キラキラひかる綺麗な艶のある毛並みは、これま

で見て来たどんな毛皮よりも綺麗だった。


「す…凄い……綺麗……」

『見た目が変化したようじゃな。いや、魔力も上

 がっておる……ふむ、主人の影響か…』

「神崎くん、凄いよ。魔力が多い方のイメージに

 影響されるとは聞いた事はあるけどこれほどま

 でとは……」


弘前は興奮したように歓喜していた。

いいものを手に入れたと。


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