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第二十七話 ダンジョンの空

そのまま三階層へと降りて来た。


そこはまるで森の中のような木々が生い茂る空間

になっており、空まであった。


「うわぁ〜、ここってダンジョン内だよな?まる

 で外にいるみたいだ…」

「あまり気を緩めないで。ここはダンジョン内部

 であっていつ魔物が出てくるか分からない空間

 なんだ」


弘前が言う通り、少し驚きはしたが、気を引き締

めると、周りを警戒する。


「そっちの奴はダンジョンが初めてか?」

「別に…初めてってわけじゃ…」

「神崎くん、答えなくていいよ。悪いけどどっか

 行ってくれる?一緒に行動する気はないから」

「おいおい、こっちは親切で言ってやってるって

 のによ〜」


リーダー格の男は慣れた手つきで周りを横にいる

仲間に警戒させて、自分は呑気に話しかけてきた。


「リーダー、向こうに魔力反応が…」

「あぁ、わかった。では、お先に〜」

「…」


その男に続くように魔法師っぽいローブを被った

女性が一人、短剣を腰につけた女性が一人。

そして、大きな体格の盾を背負った男性が一人。

そして最後に弓を持った……性別不明の人がいた。


5人パーティーなのだろう。

だが、一人はボロボロの頭巾を被っており、性別

や体格さえも分からなかった。

背は極端な猫背で背中に背負った弓だけが目につ

く。


「なんか嫌な感じだな……」

「そう思うのは正しいよ。冒険者の中には獲物を

 横取りする連中や、もしくは冒険者自身を狙っ

 て装備を剥ぎ取る盗賊まがいの者もいるんだ」

「それってさっきの?」

「いや、今は分からないが、安心はできない」


弘前は誰とも組まない理由が、そう言った連中と

組んでしまうと、生存率が飛躍的に下がるからだ

という。


「俺も、康介の足を引っ張らないようにしないと

 な…」

「それはないよ。神崎くんは僕が護るから。好き

 に動いてくれていい。あとは上質な魔石をいっ

 ぱい食べてもらわないと…」

「また食べるのか?あれ、マジで生臭くてさぁ〜」


弘前は食べていないから分からないかもしれない

が、本当に不味いのだ。


まるで汚物でも口に入れている気分になる。

生きる為だと言われても、やっぱりどうにも嫌だ

と思えてしまう。


その後で食事をしても、舌に残った感触や、匂い

はどうにもならなかった。


「いつまで食べれば終わるんだ?」

「そうだな〜……星の雫を完成させれたら終わり

 に出来るかもね」


ニッコリ笑われると、気が遠くなった。

まだ体内にあるのは3つのカケラだけだったから

だ。


大きなため息を漏らすと、さっきの男達が向か

った方とは真逆へと足を向けたのだった。


「僕たちも行こうか」

「あぁ、さっさと狩りして奥に進むぞ!」

「もちろん!稼ぎの半分は次のダンジョン攻略

 に必要だから、今のうちに稼がないとね」


弘前は何か考えがあるらしかった。

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