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第二十三話 砂漠のイビル国

元カルダ国の休眠ダンジョンを活性化してボスか

らのドロップを獲得すると、イビル国へと入った。


ここは一面砂漠のせいか昼は暑く、夜は寒い。


昼夜で温度の差が激しい国だった。


「なぁ〜康介〜」

「話すと砂が入るよ」

「でもさぁ、ずっと歩いていると暇だろ?あ、あ

 そこ!オアシスじゃね?」


はるか向こうに木に覆われた場所が見えてくる。

しかし、魔力探知には何も引っかからない。


植物にもわずかだが魔力が循環している。

それが感じられないという事は、あきらかに何も

ないという事だった。


「それは目の錯覚だよ」

「えぇ〜………本当にあるんだって〜。ちょっと

 休憩しない?」

「目的地までもうちょっとだから…」


いつもなら、一気に空を飛ぶのだがそれもここで

はできなかった。

なぜならば、空を飛ぶという事はいきなりの奇襲

には弱いからだった。


飛んでいる間は魔力感知が使えない。

そして、障害物のない場所での戦闘は魔法師にと

ってはいい環境とはいえなかったからだ。


武器の補充はしたものの、神崎が慣れるまでは、

戦いやすい場所で戦闘になった方がいい。


そして、この砂漠にはサンドワームという魔物が

生息している。


見た目は大きなミミズとなんら変わらないが、実

際に見るとかなり大きい。


ビル3階くらいの高さまである体長をうねらせて

攻撃してくる。


そして、一番の問題はどこから現れるかがわから

ない事だった。


地面の砂から一気に出てくるので、予想がつきに

くいのだ。


だから神崎にも、魔力探知をよく使うようにと言

ってあるのだった。


途中、水分を補給しながら進んだ。


「はぁ〜、口の中が砂でジャリジャリする…」

「だからあまり話すなって言ってたでしょ?ほら、

 これで口をすすいで」


貴重な水だったが、アイテムボックス中に大量に

入れてあるので困る事はない。


「さんきゅ。こう砂漠ばかりだと。道に迷わない

 のか?」

「それは大丈夫だ。上を見ると、影が伸びる方向

 で方角を知るんだ。あとはこれを使う」


魔力を流す事で方向を示す方位磁針だった。


魔道具屋から購入したものだった。


「へぇ〜、魔道具って便利だな〜、誰でも使える

 んだろう?」

「誰でもってわけじゃない。魔力が全くない者は

 使えない。まぁ、生活魔法くらいは使えるのだ

 から、そんな人間はよっぽどいないと思うけど」


それから数分後に大きな蟻地獄を見ることになっ

たのだった。


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