第二話 誰!?
弘前が取った行動に、クラス中から悲鳴が漏れた。
真っ赤に染まる中で、床に書かれた魔法陣が光り出した
のだった。
どういう原理かは知らないが、よくない事が起こるとし
か思えなかった。
光りが強くなり、周りが見えなくなる。
嫌だ……どうして……
陣は教室中に書かれていた。
だとしたら……
あいつらと一緒になんて嫌だっ!!
神崎が必死に願うと、頭の中に声が聞こえて気がした。
〜異世界へようこそ…今回は人数が多いから、君だけ除外
してあげるわ〜
声は若いのか年なのか?どちらともつかないような中性
的な声だった。
女?それとも声変わりする前の男?
ハッと目が覚めると、そこは教室の中ではなく森の中に
いたのだった。
「ここは……」
見知らぬ景色に、戸惑うと近くに鞄が落ちていた。
大きなリュックのような見た目で、それに触れると
ピコンッ
と音が鳴った。
『リュックを手に入れた』
「リュックって……これの事か……」
中を確認しようとすると、いきなり目の前に画面が表示
された。
『リュック
干し肉×12、パン×12、薬草×12、鍋×1、剣×2』
触っただけで中身が表示されたのだった。
その横にストレージにしまいますか?という文字が浮か
んだ。
『はい』を選ぶと、今まであったリュックがいきなり目
の前から消えたのだった。
「すげー、まるでゲームの中みたいじゃん………まさか」
頬をつねると痛みがじわじわと伝わってくる。
じゃ〜この世界で死んだらどうなるのだろう?
些細な疑問だったが、重要な事でもあった。
「う〜ん。流石に挑戦する気にはなれないんだよな〜」
立ち上がるが、どうにもおかしい。
声もそうだが自分じゃないみたいな気がする。
まるで誰かの中に入っている感じの違和感があるのだ。
見える視界もどうにも低い。
一応これでも170cmはあるのだ。
川を見つけるとやっと休憩出来ると、水を掬って飲み
出す。
その時に水に映った顔を見て、思考がフリーズした。
「誰………いや、ちょっと待って……まさか……」
幼い声に違和感があったのも事実だ。
が、それ以上に可愛い声にこの容姿。
どう見ても………女の子!?
慌てるように胸を触ったが、ぱったんこで何も変化ない。
そしてズボンを下ろす。
ツルツルだったが、ちゃんと小さいのが付いていた。
「あ……あった……」
少し、ホッと撫で下ろすと、状況の整理に努めたのだった。