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第十九話 パーティーは慎重に

ダンジョンから出ると、周りを取り囲むように人だ

かりができていた。


「悪いが、私はカナデ殿の護衛でもあるんだ……あま

 りに通行の邪魔をするようなら……切り捨てるが構

 わないか?」


あのエリーゼの言葉とあって、一瞬で前が開けて道が

できる。


「さぁ、行こうか」

「はい、ありがとうございます」


リーナとリンも後をついてきていた。

その後ろをぞろぞろと、何か言いたげな人達が追っ

てくる。


「俺、先に帰っていようか?」

「それはダメだ、私が護衛の意味がない!」

「ちょっと!貴方!可愛い顔してエリーゼさんにちょ

 っと図々しいんじゃないですか?」

「そうです、何もしてない癖に……」

「君達、少しいいかな?パーティーを組む時に書いて

 あったんじゃないのかい?カナデ殿は戦闘には向い

 ていないと」

「それはそうですけど……」


昨日、ギルドでパーティーメンバーを募集する時に、

自分は戦えないけど、荷物持ちや、解体はできます

と書いておいた。


その通りに読んでもらえれば、理解できたはずだっ

た。


「では、先に分配をしよう。私はただの護衛なので

 3人で依頼料を分ければいい」

「えー!そんなっ。エリーゼさんの取り分がないな

 んておかしいですよ!」

「そうです!役立たずはそっちの……」


チラッと神崎の方を見てきた。


「はぁ、君達ね、そう言うことは先に言わずに組んだ

 ってことかい?これからはそんな事がないように私

 から直接冒険者ギルドの方に言っておくよ」

「待ってください、私達はそんな事は……」


神崎はため息を漏らすと、冒険者ギルドに買い取り金

額を出してもらった。

そして、その後今日の事を早々に報告しておいたのだ

った。


「というわけで、俺は戦えないので今回のように戦い

 に参戦しないからと報酬の割合を減らそうとするよ

 うなパーティーは嫌なので……」

「分かりました。次からは組めないようにしておきま

 すね」

「お願いします」

「あちらには、こちらから言っておきます」

「お願いします」


エリーゼに色々と言われている間に神崎が報告もして

おいたのだった。




「そう言う態度は良くない。それに説明はちゃんと読

 んでから組むようにしないといけないよ?分かった?」

「はい……もしよければ明日もエリーゼさんと組みた

 いです」

「それは……カナデ殿次第かな」


丁度帰ってきた時にそんな声が聞こえてきた。


「カナデ殿。おかえりなさい」

「はい、エリーゼさん。今日はありがとうございまし

 た。明日はもうちょっとまともな人がいないか探し

 てもらってます。」

「ちょっと!貴方まさかっ……」

「はい、ギルドに報告させてもらいましたから。」


この二人はエリーゼと組みたいだけだろう。


確かに強かった。

圧倒的なまでの強さがあった。


「まぁ、そう言うわけだから、さぁ、行こうか」

「はい」


帰りの馬車の中で、エリーゼさんから、戦闘開始時

のバフについて聞かれたのだった。

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