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第五話 悲しみの別れ

ただ見守る中、何度も苦しそうな悶える声が響い

てきていた。


中には悲鳴のような声も混じる。


「ウゥッ……ッ……んっーーー!い〝ィッ……」


ドアの外で待機していただけなのに緊張が走る。


「どうした?心配か?大丈夫だ、俺から離れな

 いでくれ」

「ナルサス……違うよ、俺はさ……魔物でも産

 まれてきたばかりで命を落とす事に疑問を持

 ってしまうんだ……命には変わりないし母親

 からしたら子供なんだよ?」

「それでも、危険な存在なんだ。魔物を操る力

 を手に入れたあの女も、こうして魔物を産ん

 でから手に入れたらしいじゃないか……それ

 までは違う力だったはずなんだ」

「……」


異世界から召喚された者は特別な力を得る。


そう伝わっているという。

時空を渡る時に自然と身についてしまうらしい。

だが、実際にはどんな力なのかは選べないとい

う。


まさに神崎がいい例だった。


バフとしては強力で、最強の支援職と言える。

だが、一人では戦えないし、攻撃手段もない。


一人でも竜並みの攻撃力を持つ者だって現れる

可能性もあるというのだ。


夏美の力だってそうだ。

ゴブリンやオーク、オークキングを従える事が

出来る力など、無限に戦力を増強出来る。


これほど強い事はない。

だが、問題はその作り方にあった。


夏美と交わるという条件と、一度変化してしま

ったら二度と人間には戻れないという事だった。


騎士であっても強いとは限らない。


村人ゴブリンであっても、強力な武器や、知能

で戦う事はできた。


元々いるゴブリン達と違って器用になんでもこ

なしたという。


部屋の中が静かになると、ギャァギャァという

泣き声が聞こえてきた。


一斉に部屋に兵士が入ると、朱美の腕に抱かれ

ていた緑色の赤子を取り上げた。


「産まれたのは、双子のゴブリン確認。今から

 始末します」

「やれっ!」


エリーゼさんの合図に母親の目の前で赤子を取

り上げると即座に剣が刺し貫いたのだった。


泣き声も止み、静かになった。


魔物を倒しただけ……。


普通ならそうなのだろうけど、母親からしたら

自分の子供を目の前で殺されたのだ。


怒らないわけがない。


ぷるぷると震えると床に落ちた我が子を抱き上

げたのだった。


「どうして…どうして……ランスロットさん…」


戦闘中に亡くなった騎士の名前らしい。

その者はもう意識もなく、ただの魔物と化して

いたという。


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