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第三話 人間対魔物

武器の点検を終えると、庶民風の服に着替えた。

いつもは騎士の鎧に身を包んでいたエリーゼが

一般的な庶民風の格好をしたのを見るのは初め

てだった。


「エリーゼ…さま?」

「何をしている?ナルサス、行くんだろう?」

「は…はいっ!」


ナルサスは首元にある奴隷紋を隠すように布を

巻くとエリーゼに続く。


「どこへ行くのですか?」

「裏賭博の行われている闘技場だ。あそこは貴

 族の方々も一般庶民も自由に出入りできるが、

 そのほとんどが違法なものだ。人間の命をか

 けるような下品な奴らの遊び場だと思えばい

 い。そこで今日見せ物があるという噂が出回

 っていたらしい。それの調査だ」

「なるほど…どこの国でもあるんですね」

「そうだろうな……王族とて例外ではないだろ

 う?」

「……そう……ですね」


こういうことは、王族も関わっている事が多い。

代わりにみかじめ料などという名目で国庫を満

たしているのだ。


出されるのは大概奴隷落ちした者がほとんどだ

った為、誰も文句は出ない。


どこの世界にも、そういう野蛮な遊びを見るの

が好きな連中はいるものだった。


今日の出し物はと、会場に足を向けるともう始

まっていた。


大きなドーム型のリングの中で、白いワンピー

スに身を包んだ見知った顔に、ナルサスの顔色

が変わる。


「待て!」

「ですがっ……あれでは奏が……」

「ここからでは結界が張られていて入れないん

 だ。裏に回るぞ」


エリーゼに付いてナルサスは会場に立った一人

立つ主人を見つめながら拳を握りしめていた。




遡る事、数時間前。


気を失った神崎が目を覚ましたのは、煩い会場

の中だった。


腕を鎖に繋がれたまま大きなドームの中にいた。


横には睨むような上島が立っており、鎖を外さ

れる。


逃げようにも周りには何か薄い膜が張られており。

きっと逃げられないように結界でも張られている

ようだった。


「お前の対戦相手だ。存分に戦えよ?」


上島が言うと、前の檻が開く。

中から出てきたのは大きな体の魔物、ゴブリンキ

ングだった。


口には大きな牙が生えており、女を凌辱しては孕

ませ子供を産ませ、男は殴り殺しにするという魔

物だった。


「お前が女だったらよかったのにな?会場で孕む

 ショーなんて面白いだろ?」

「……」

「残念だな〜、殴り殺しに決定だ」

「悪趣味な……まだお前は長野の金魚の糞なんだ

 な……」

「はぁ?お前に何が分かるってんだよっ!ん?何

 でそれ…」


一瞬、言われた言葉に違和感を感じる。

この前名前は言ったが、長野の金魚の糞とは、ず

っと連んでいるのを知っているみたいじゃないか?


「お前……」


「さぁ〜、この幼い子供に何ができるのか!さぁ、

 今回はどっちが勝つかではなく、どれだけ耐える

 か!さぁ、賭けた、賭けた!」


3時間前に外の掲示板には今日の予定が張り出され

ていた。


小刻みに時間が書かれたプレートが掛けられていく。

まだ幼い子供がオークキングにどれだけ粘れるか?

そんなあきらかにすぐに殺されてしまいそうな事

を仄めかしながらのベットとなった。


長野が神崎の足を掴むと引き上げる。

体重は軽いせいで簡単に宙吊りにされる。


「うわっぁっ……」


「おぉーーっと。ここで情報です。子供の左足を

 ご覧ください。ナイフで刺しておいたので逃げ

 回れるにも限度があります。さぁ、どう賭けま

 すか?」


司会者の言葉に、前半で殺される方にかける人間

が増える。

結局最後まで生き残るに賭けた人間は誰もいなか

った。


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