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第二十七話 裏で蠢く殺意

試合は長野の勝利となった。


圧倒的な火力と、作戦で初見殺しと名が付けられ

たのだった。


「長野様、こちらへどうぞ」

「あぁ…」


あの後、別の案内人に連れられて会場を出て、傭

兵団の集まる酒場へと来ていた。


いるのは厳つい男ばかりで、腕っぷしだけなら誰

もが強そうだった。


奥の部屋に案内されると、そこは黒を基調とした

質素な部屋になっていた。


中には一人の男性が座っている。

横にいるのは見知った顔だった。

この人が、荒くれ者と知られる傭兵団をまとめ上

げている団長なのだろうか?


さっきまでお楽しみだった上島は不服そうだった

が、奴隷の女性を買い上げるのかと聞かれた時は、

即座に否定した。


その場で楽しめればいい。

そう考えていただけなので、わざわざ買ってまで

側に置くつもりはなかったらしい。


長野は勿論、そんな気分でもない。


ルーカスと呼ばれる支配人の横に座っている男性

は初めて見る顔だった。


「あんたがこの傭兵団の団長か?」

「……」

「見事な試合でした。まさかこれほど儲けられる

 とは思いませんでしたよ」

「それはどーも。もっと面白い見せ物を出す気は

 ないか?」

「それはどういったものですか?是非とも伺いた

 いものですねぇ〜」

「なら、あんたらの力を借りたいんだ。ある子供

 を攫ってきて欲しい」


子供と聞いて眉を顰めた。

もし貴族の子供と言われればいくら傭兵団と言え

ど未来がない。


貴族を怒らせることはこの国で生きて行く上でや

ってはならない事だった。


「その子供とは?」

「冒険者なんだが、ちょっと生意気な男女がいて

 な、そいつらに大事にされてるらしい。だから、

 代わりにそいつを見せしめにしたい」

「なるほど……冒険者の子供ですか…こちらは構い

 ませんが、どうしますか?」


ルーカスが話すと、座ったまま黙り続けていた男

が大きく頷いたのだった。


「よろしいですか?」

「……」


頷いたことで、ルーカスも了解したようだった。


「では、詳しく聞きましょうか」


そこで誰をどうしたいのかと言うことについて話

合う事になった。


「では、その冒険者の少女を攫って来る事と、

 闘技場で見せしめに死なない程度に痛めつけた

 いと言う事ですか?」

「あぁ、あいつらに見せてやりたい。お前らの大

 事にしてた者が壊れる姿を…無力感を味合わせ

 てやるんだ。俺らの誘いを断った報いを受けさ

 せてやるんだ」

「そう…ですか。まずは身辺調査に数日、その後

 でまた連絡します。いつもはどこにいけば会え

 ますか?」

「夜にこの酒場を使う。その時に連絡してくれ」

「わかりました。では、そのように…」


ルーカスがさっき書き取ったメモをしまうと出て

行く。

もう一人は黙ったまま帰れと手を振ったのだった。



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