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迷い人は迷宮城に捕らわれている  作者: ビターグラス
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記憶違いの自分 2

 疑問と悲しみを心に持ちながら、その枯れかけた庭園から離れる。綺麗な花壇の先にこの枯れかけた花壇があった。それを考えれば、おそらく枯れかけた花壇もここで終わりになるはずだ。彼はそう予想しながら、花壇の先にある道を歩いていく。そのその先には金属の棒で組まれたアーチだけがあった。アーチが五つほど組まれた先には両開きのドアがあった。アーチが建っている場所は花壇の中なのだが、その花壇の中には何も植わっておらず、土の一部が灰色になっていて、もうその土では何も育たないだろうとすぐにわかるようなものだった。彼がそのアーチに近づくと、何か嫌悪感を感じる匂いがしてきた。生臭いという言葉が一番近いだろうか。その匂いの原因がそこの何も植わっていないアーチの足元にある花壇だと考えられた。わざわざ、鼻を近づけて匂いを嗅ごうとは思わないが、よく見れば、土の灰色の部分は濡れていて、その灰色の物は何かが混じった泥のようなものに見えた。匂いを発しているのはおそらくそれだろう。彼はその泥をそれ以上調べる気も起きず、先にドアの前に立った。


 ドアは木製で、掌くらいのサイズの曇りガラスが彼の頭の一辺りに、六枚入っている。曇りガラスであるため、ドアの先を見ることは全くできない。ただ、そのガラスから見れば、ドアの向こうが明るくはないということしかわからなかった。その場にいるより、先に進んだ方がいいと考えた彼は両開きのドアの片方を開いた。中を確認するとそこは薄暗い部屋だった。薄暗いというよりは、スポットライトが部屋の四隅と中心にしかなく、それらがそれぞれ設置されている場所の真下を照らしていて、それ以外の場所は、スポットライトの明かりで真っ暗ではないという状況だった。彼が完全に中に入ると、ドアは勝手に閉まり、中から開けようとしてもドアは彼の力に屈することはなかった。部屋の中にはスポットライト以外にわかるのは、四方と天井は石でできているような質感で、床だけは砂というか固い土のようなものが敷かれていた。床と壁の教会の辺りには花壇を囲むときのような灰色のレンガのようなものが並べられていた。


 その部屋だけでは何をすればいいのかわからないが、その部屋を見ていると、例の自分の中に誰かの記憶もが思い出された。目の前の場所は本来はもっと明るいが、この部屋の中ではフルプレートアーマーを着た人同士が戦っているのがわかる。それぞれの持ち物が木製の武器と盾で、それを使って戦っているのを見ると、模擬戦の訓練をする場所だということは理解できるだろう。


 今この場所で戦うといっても、今は自分一人しかいない。彼がそこで周りを見回して困っていると、部屋の中心のスポットライトの下に何かが出現した。四角い石柱のようなもので、それがスポットライトにギリギリ触れないところまで伸びて停止していた。そして、石柱の受けの辺りから砕けて、石の欠片が地面に落ちる。そこから、さらに岩が砕けていき、歪な人の形を掘り出していた。そこから、さらに石が削られていき、綺麗ない人の形を作る。だが、それはただの人ではなく、今思い出した記憶の中のフルプレートアーマーに見える。石像は蘇った記憶の中の騎士の格好をしていた。そして、石像の騎士は剣を抜いて、盾を構えた。相手は既に戦闘態勢に入っていることを理解した。


 彼はずっと持っていたハンドガンを相手に向けて構えた。石像とは言え、まるで生きている人のように動く石像に銃弾を放つというのは抵抗があったものの、目の前のそれを倒さなければ、自分が死ぬことはここまでの戦闘と変わらないと思い、ハンドガンのトリガーを引いた。大きな発砲音が部屋の中に響いて、銃弾が相手の方へと飛んでいく。ろくに狙いとつけずとも、そこまでの距離がないため、銃弾は相手に向かって進んでいく。銃弾は相手の方に当たったが、全く石が欠けることもなく、銃弾が相手の体によって弾かれた。彼の目にもその光景が映る。そして、その発砲音をきっかけにしたように、騎士の石像も動き始めた。その速度はあまり早くはないが、相手との距離があまりないせいで、すぐに距離を詰められる。彼がハンドガンに自身のハンドガンの威力について思考しようとしているい間に、相手は距離を詰めてきていて、彼に石の剣を振り下ろそうとしていた。正面から相手が来ているため、いくら思考しようとしていても、相手の動きが見えないはずはない。彼はギリギリでもなく、簡単に相手の剣を回避していた。回避してからハンドガンを撃とうとしたのだが、それは叶わなかった。相手の攻撃を回避したせいで、片手で撃つような態勢になってしまった。片手で撃つこともできるだろうが、射撃時の衝撃を片手で受け止めることなどできるはずがない。彼は相手との距離を取るようにして距離を取ろうとした。

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