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第8話 何にも進まない会議って本当に無駄! 私のことは極秘に進めるって、大人は一体全体汚いもんだねえ

 十三時から、緊急の有識者会議に出席するよう通告があった。


 十二時五十五分から、問答無用でテレポーテーションが始まった。


 私たちを考慮して、現世だけでは行わず。とはいえ、異世界だけでも行わず。中間地点の亜空間が造られて、そこに出席することとなった。


 御領(ごりょう)峯音(みねね)(いさかい)聖哉(せいや)。二人がオブザーバーとして参加することとなった。


 丁度、荒巻火憐たちと別行動になって、次の日のことだった。


 「もう相当会議の議題にあがっとるはずやな。この有識者会議も緊急で招集されたメンバーやろ。現世でのお偉いさんが仰山おるで。峯音。こういうのは何も発言せんと、ただ黙っておくのが吉や。多分、荒巻火憐をどうするかとかそういう会議ではない。そういうことはもう荒巻火憐と関係ないところで全部決まっとるもんや。


 優しくもてなされて終わるだけやろうから。まあ、黙って座っとこうか」


☆☆☆

☆☆☆


 亜空間。


 クゥが人になっている。


 クゥは相当なイケメンだった。


 まずは着替えろと言われて、背広を渡されて着替えることとなった。


 女子休憩室にて着替えることになった。


 異世界では服など気にせずとも勝手に創られるので、現世はやはりいちいち面倒くさいと峯音は思ってしまう。


 外に出たら、クゥが背広を着て待っていた。ここまで背が高いとか思ってもみなかった。


 「うう。視点が高え。人型になるのは数年振りなんだよな。亜空間は嫌いやな。早よ異世界に戻りたいわ」


 「私も同意だ。何のために私たちはここに」


☆☆☆

☆☆☆


 会議に出席した。オブザーバー参加で隅のほうに座らせられた。


 完全非公開。緊急と銘打った通りに、紙でネームプレートが作られていた。


 文部科学政副大臣。警務政事務次官。総務政事務次官。その他大勢のお偉いさん方が出席していた。


 雰囲気的に、クゥが言っていた通り「私は何も知りません」で通したほうが良さそうだ。


 数十分が経った。


 「では最後の議題に入ります。幸運(ラック)系スキルをどのようにしたら創られるかの意見交換会に入ります」


 「警務政事務次官の斉藤です。荒巻火憐を異世界へと送ったとみられる関係者、十人以上に事情聴取を行いましたが、いずれも明確な理由もなく、荒巻火憐を異世界へと送ったと見られます。


 荒巻火憐の同級生、通っていた学校の教師、親族等にも任意聴取を伺いましたが、どの人物と接触しても『普通の子だった』という評価で一致しています」


 「どうやったら幸運系は創られるのかね。そこが分かれば神を変える期間を短縮できることは簡単に出来るのだけれどね」


 文部科学政副大臣が当たり前のようなことを言っていた。そりゃ、神には不適と思われたらさっさと変えるほうがよろしいことは確かである。


 神の影響力は強すぎる。異世界であっても現世であっても。


 幸運系の中でも、普通の幸運系。不運(バッドラック)の幸運系ならばいくらでも出てくるが、そういう誰の得にもならない外れスキルに関しては誰も問題視はしないだろう。


 自業自得。興味本位で異世界に行った者への天罰でしかない。


 特に、なんの力も発揮せず、大抵は数時間でゲームオーバーになる。


 「ところで異性界の冒険者さん。君たちから見て荒巻火憐はどう写る。やっぱり何かがおかしいか」


 「いえ、ごく普通の女の子に見えましたが。話をしていても特に何もおかしなところは見受けられません」


 クゥ。本名、戦聖哉は端的に答えた。


 「君は? 御領くん」


 「いや、普通ですね。明るい普通の女の子ですね」


 「斉藤警務政事務次官。違法性が疑われているゲーム管理会社の担当者は何と言っている」


 「違法性があったことは承知しています。罪を認めます。とだけ」


 「大事なのは動機だろう。その次は」


 「ただ機械的に操作したとだけ。彼女はプログラムを書き替えて荒巻火憐を異世界へと送ったと」


 「荒巻火憐を異世界へと送ることが良いと正鵠(せいこく)を射たのは一体誰なんだ」


 「そうなれば、児童誘拐、自宅軟禁の罪に問われている男が事の発端の始まりですが、彼もまた何も」


 数十分ほど会議が続いたが、御領峯音と戦聖哉は特に何も発言することは無かった。


☆☆☆

☆☆☆


 「何のために会議ってあるんやろな。何一つ進展せんかったやんか」


 御領峯音は異世界へと戻った後にそう愚痴た。


 「多分、火憐との接触期間の長いオレ達に期待していたんだろうけれどな。今日の感じだともう二度と呼ばれんかもな。あーけったいけったい」


 御領峯音はスマートフォンをチェックした。メッセージアプリのNINEが届いていた。


 「みねやまちゃんねるに上げていい? すっごいの撮れた!」


 という荒巻火憐からのメッセージ。


 「なんやこれは」御領峯音は苦笑いをするしかなかった。


 会議の疲れもぶっ飛ぶわ。こんなアホみたいな動画を撮るなんて。


 「上げていいよ。


 てかスマホの調子は戻ったん?」


 数分後。


 「ありがとうー! うん! スマホの調子戻った! ちゃんと電波も繋がってWitterもTubeも前と同じように見れるようになった。マジ焦ったわー。


 瞬間移動ホームランゲームめちゃくちゃ面白いよ! 峯音ちゃんもやってみて!」


 「討伐頑張りや。」


 「お互いに。あはは。」

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