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第1話 例えば異世界に配信者が居たとしてそれがメリットになることはまず無いのですよ。

──「死んだら異世界に行けるなんて思っていたら大間違いですよ。火憐」──

☆☆☆


 「はいはい! こんにちは! こちら異世界です。荒巻(あらまき)火憐(かれん)です。十歳です。今日も異世界ラジオ。行ってみよう!」


 ゴブリンを倒した。


 スキルアップ!


 荒巻火憐:Lv.19

 スキル:明るい未来

 魔法:2

 攻撃:1

 防御:1

 

 「スキルアップしました! 『明るい未来』? なんだそれは。あはは。少し明るい未来から進化しました。え? 何? 後ろ? ゴブリン倒したばっかりだ……」


☆☆☆


 そこで配信が途切れた。あれ? スパチャで100円送ろうと思ってたのに。


 放送事故? まあ。いいや。


 助けに行くか。Lv.3222の俺が行けば何とかなるだろう。


 彼女は始まりの森の配信者、荒巻火憐。最近好きなんだよね。始まりの森での生存率は二パーセントだけど、彼女なら乗り越えられると思っていたんだけどな。


 独力じゃ無理か。


 パーティあってこそ初めてダンジョンはクリアできるもんだし。


 「お頭ぁ! 動きやすか?」


 「ああ。荒巻火憐は仲間に入れておいて損はない。幸運(ラック)系のスキルを持っている。何より」


 可愛いっすからね!


 俺のパーティーのみんなが一斉に叫び出す。


 こんなことを書くと男だらけのパーティーのように聞こえるが、女性もいる。


 荒巻火憐。大丈夫だ。俺らのパーティーに着いていけば、お前の『明るい未来』も本領を発揮するだろうからな。


 まあ、少し遅く行って死にかけたところを救ってやるとするか。死を前にすれば選択肢も無いだろう。


☆☆☆


 「あ、危なかった……。配信どころじゃなかった。あ、あの。助けてくれてありがとうございます。あなた誰ですか?」


 「……」


 「え? 沈黙。沈黙しちゃうの。こういうシチュエーションって一緒にパーティー組んだりするもんじゃないのですか? 私、まだソロ活動でして。一緒に始まりの森を抜けませんか。一緒に一緒に!」


 「……いいよ。スキル『モノトーン』」


 そう言うと目の前の木に触り、木がぐにゃぐにゃと変形していく。


 ……バイクになっちゃった。色々なスキルがあるものなんだなあ。


 「……乗っていこう。助手席も作ったから乗りな」


 さっさとこんなつまらない序章なんて終わらせようよ。


 「……君のスキルは一体何だい?」


 「『明るい未来』! さっきスキルがアップした。何に使えるかは全くの不明!」


 「……配信はやるかい?」


 「もちろん! 初めてのパートナーだからね!」


 遠くから何かが近付いてくることも知らずに、異世界初心者の二人の旅はこうして出会い、こうして始まり、この先も続いていく。


 『明るい未来』と『モノトーン』。まだまだLv.19の少女とLv.8の少年のこれから先が明るいことを願うばかり……。

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