2.下里雲子にも悩みがあった・・・・・
私の名前は下里雲子!
清廉潔白成績優秀容姿端麗な、どこにでもいる普通の高校二年生だ
ちょっと無口な私なんだけど、何故だかクラスの人気者!
そんな私は下里雲子という名前にもかかわらず『下痢ウンコ』と呼ばれたことがないという悩みがあった・・・・・・。
キーンコーンカァーンコーン
キィーンコーンカーンコーン
「くもこちゃん おはよ~」
クラスメイトの女子が雲子の方へと寄ってくる。
彼女は天手 紀乃子。
口数の少ない私の代わりに沢山喋ってくれる
とても優しい女の子だ。
・・・・・・お?
だから喋らない、私に特別優しくしてくれていると思ったかい?
私も一番最初はそう思った。
そうだとしたら、不本意ながらも彼女は私の名前から見当違いな境遇を察してくれているのかも?
と、少し期待できるからね
でも、違ったんだ。
いやいや、絶対そうだろ!
・・・・・・って?
まあまあ、直ぐにわかるから少し見ていてくれ。
きのこちゃん おはよ~
私はそう返すつもりで彼女に笑いかけた・・・・・・
「あ、やっぱりくもこちゃん気付いてくれた~!」
紀乃子が雲子にそう言い返す。
「そうなの~ 実は昨日従姉が来てね!やってくれたの!可愛いでしょ~」
紀乃子はそのまま手の甲をヒラヒラと見せびらかした。
すると、
「可愛い~!私全然気が付かなかった~」
「ね~!私も全く気付かなかったよ~」
と隣で話していたクラスメイトの女子二人が私の名前周りに集まって来て。
そしてこうなる
「雲子ちゃん良く気が付くね~」
「女子としては、そういうところに気付いてくれると本当に嬉しいね~」
っと。
私が全く気付かなかったネイルの事など、謎のセリフが彼女の中で自動再生され。あたかも、私が言ったかのように翻訳スピーカーとして彼女の口から放たれると言う訳である。
そんな愉快な事もあり、私は高校で言葉を放つことはほとんどなくなった。
元々口数は少ないとはいえ、流石にここまで何も話さない理由なんてないのだが・・・・・・
正直これってめっちゃ面白くないですか?
「そう言えば、この前くもこちゃんが言ってお笑い番組観たよ!」
きのこちゃんはそう言うが、もちろん私は何も言ってはいない。
「『クソワラ』の新漫才めっちゃ面白かったね!そうそう!「ハードルが高い!」ね!私も妹と一緒にゲラゲラ笑っちゃってさ~」
・・・・・・
しかし、たまに私の言葉をガチで当ててるのが、また面白いんだよなぁぁああ!!!
一度も公言していないものの、雲子は漫才コンビ『目糞鼻糞を笑う』。通称:『クソワラ』の大ファンであった。