第三話 ~サヤ視点~
やっと仕事から解放されて家に帰るとコウと一緒に道場に行き……ワープした。
サプライズの期待をしてたのに何だか残念。
でもワープした先、そこはラノベやゲームで夢見た世界で私とコウには魔力があった。
コウは時属性で私は時属性以外の全適性があった。
ギルドカードを見るとコウと違って称号はなかったけども、創造魔法の文字があり、オリジナル魔法を作れるのが判明した。
使える魔法が多い=たくさん勉強しなくちゃ。
勉強は嫌いじゃない。むしろ、好きな事の勉強ならとことんできる。
とりあえず、火、水、風、土の四大魔法の初歩から学ぼう!
母様と父様に教わろう。まずは行動しないと。
「母様。父様。魔法の事を教えてほしいのですが今よろしいですか?」
「あら、魔法の事ならソフィアに聞けば……あっちは取り込み中ね。花嫁修業も兼ねて頼もうかと思っていたのだけれども。」
「もう!母様!私に変な気を使わないで下さい。とりあえず、四大魔法の基礎を教えてほしいの。」
「四大魔法の基礎って言われてもね…。えっと、魔法の基礎はイメージね。高度な魔法は魔法陣と詠唱が必要になるの。初級〜上級魔法なら明確なイメージと無詠唱でも発動出来るわ。
大体は無詠唱なんだけども発動する前に術名の一部で良いから発するとより発動しやすくなるわ。
私の得意な魔法を使うなら『氷華』どう?綺麗な氷の華でしょ?
これは、風と水の複合魔法なの。複数の元素を操るにはコツがいるし、相性もあるわ。サヤも複合系ならすぐに使えるわよ。」
「えっと、イメージね。それなら、私も『氷華』小さい。でも出来た。」
サヤの手の中にはブローチの大きさの氷の華があった。
「初めてにしては、上出来よ。さすが、私の娘ね。あとは、一応魔法に分類されてる無属性ね。一部では闘気とも言うわ。これは、パパが上手だから教えてもらいなさい。」
「闘気とは、鍛錬や修練を積んだ格闘家の飛び道具や肉体強化にも使える無属性魔法で、無属性だからと言って目に見えないわけでもない。
魔力の密を濃くして練り上げるとオーラになるし、練り上げた闘気を一瞬だけ使う事により魔力消費を抑えられるんだ。」
格闘家や武道家が瓦割りをしたりするだろ?あれは瓦に触れる瞬間に力を込めて使う技法だから力が伝わり、何枚も割れるんだ。
と、まぁ話しが長くなりそうだったから実際に実演してもらう事にした。
とりあえず瓦を10枚用意して手刀で10枚割りしてた。そして、次に闘気を使って瓦を割る時は指先でちょんって触れただけで割れた。
力の加減を間違えて闘気を纏わせると、鉄骨は手刀で切れるらしく、その説明を聞いて私と母様は絶句した。
そういえば、父様ってむこうに居た時はSPとかボディーガードの仕事してたんだよね。
普段はヒョロっとした優男なのに戦闘モードになるとムキムキになるし……何かの伝承者なのかな?
普段と違うギャップに母様が惚れたらしいし。
「闘気の飛び道具は気を相手にぶつけるっていう簡単な物なんだ。ただし、気と魔力は別物だからね。気と魔力を併用する事を一言で言うとまぜるな危険がぴったりかな。」
室内で気のみを使うのは問題にはならないが、魔力もその時に使うとイメージが混ざる為に威力が倍増するらしい。
だから、基本的には魔力を持っていない人が格闘家を目指して飛び道具を得たりするらしい。
要約すると、魔法はイメージと詠唱がいらない変わりに術名を行使する事で発動する。
気は練り上げて放ったり、自分の力とする事が出来るが、疲れる為に連発は出来ない。
「魔力がある人が気を使う場合は魔力を使える人に見てもらう必要があるんだ。気の練り上げに魔力が混ざると何かしらの音を発するか、気のオーラに魔力が混ざって周囲に被害を及ぼす可能性があるから、魔力が混ざらないようにコントロールする訓練にもなるんだ。」
さっき闘気で指先で割った瓦を今度は魔力も混ぜて割ると、指先で触れただけで粉々になり跡形もなくなった。
『基本的に気は集約するもので、魔力は分散させるものっていう風に覚えておくといいよ。
どちらも集約させる時は装甲の硬い魔物相手かな。じゃないと建物内で発動すると大体は全部吹き飛ぶ可能性があるからね。』
父様からの説明が終わると同時に突如爆風が起こった。
ズドォォォォォン。
ギルドの本部兼酒場が半壊した…。
その爆風の起きた中心地に居たのが、コウだった。
ギルドからの特別任務と称する、厄介払いとして、絶海の孤島への島流しになってしまった。
魔物の危険度はSSSクラスでいくらなんでも、あんまりだと思い元秘書として私も付いていくって言ったらコウからやんわりと断られた。
一人で行動する方が動きやすいとの事、それにギルドマスターからもコウを単独で向かわせる事にした。
約1ヶ月間無人島でのサバイバル生活だ!ってコウは喜んでたけども。
その1ヶ月後にはこっちの学校に編入するらしく、私は先に学校に行く事になった。
こっちの世界の常識を学んでコウにちゃんと教えないと!