目論見 / idea
「ハシヒメが死んだ?禁忌を犯したとはなんだ?答えろ」
ツキヒメはクロヒメに噛み付くかの如く聞き返した。クロヒメは風で揺れる髪を直し変わらぬ態度で話す。
「妹たちに興味もないツキヒメには伝えられなかったのね。可哀そう」
「まァ、仕方のないことですわァ。日ごろの行いですわねェ」
クロヒメに続いてオトヒメが話す。オトヒメは再びウソ泣きをしはじめ、コトヒメに泣きつく。その仕草にツキヒメは舌打ちをする。
「お姉さまはオリヒメたちをイジメた罰を受けないといけないのかな!ですかな」
「「まぁー、まぁ。姉サまたち、姫君サまには忠実に尽くサないといけないとー思うよー」」
オリヒメ、ユキヒメ・ベニヒメが続いて話す。ユキヒメとベニヒメは手を繋ぎ、繋ぐ手を前後に揺らしている。ついに斬りかかろうとしようとするツキヒメは、翁によってうつ伏せで地面へと押さえられた。翁はツキヒメの尻に股間を擦り付けている。クソジジイ殺す。
「ハシヒメは本当の“姫”の力を欲したの。だから禁忌、丑の刻参りをして力を求めたのよ。わかる?オニに堕ちたの」
「なぜそれ程まで力に拘る?」
クロヒメに向かって反論するツキヒメ。その目は鋭く、姫君の立場から言っているようだ。しかし、禁忌を犯したハシヒメを罵倒するように聞こえた全ての姫は表情を凍らせた。
「妹たちを見下し、大切にしないお姉さまには弁償して貰う必要があるのです。無駄にオニへ堕ちたハシヒメも、あの世で悲しんでいると思うのです」
キヨヒメは今まで笑っていた顔から表情がなくなり、固く信念を決めたかのように話す。キヨヒメは拳を握りしめていた。その拳をコトヒメが優しく握り話し出す。
「妹たちは姫君さまを殺させて頂くことにしました」
「はぁ?寝言は寝て言えよ」
「本気ですよ」
コトヒメは冷酷な目で、目の前にいる姉が宿敵であるかの様に睨み付けた。
「翁。御戯れはよして、こちらに来なさい」
コトヒメがそう言うと馬乗りになっていたクソジジイ改め翁は、その場を離れていき妹たちの後ろへと回った。手にしていた祓串を投げ捨てながら。
「裏切ったな、翁」
「裏切ったのではありません姫君さま。姫さま達の、その麗しい御身体・・・とても堪能でき利害が一致しているのです。」
「・・・・」
ツキヒメは黙り込んだ。翁はしきりに自分の股間を撫で回した。
「先代の姫君さまの身体、とても良かったんですよ?ハァハァ、思い出すだけで勃ってしまいました」
「黙れゴミカス」
完全にブチギレたツキヒメ。手を伸ばすだけで、その手には一本の刀が現れた。姫の力【武器の換装】ストックしておいた武器の切り替えが行える。
ツキヒメが素振りをすると髪を結っていた布が切れ、髪が垂れ下がり顔を覆った。髪の間から覗かせる目は血走っていた。
「わたくしめは、ツキヒメさまの身体も愉しみたかったですよ」
火に油を注いだ翁は厭らしくツキヒメを見詰めた。ニヤニヤと口元からは涎が垂れており、妹たちの暴走は翁が手引きしたのが分かった。怒りにより動悸が収まらず震える手も止まらない。ゆっくりと翁が居る場所へと歩いていく。
「震える手で殺せるとでも?」
クロヒメは毅然とした態度で向かってくるツキヒメに話しかける。他の姫たちもクスクス笑い、乙姫だけウソ泣きを見せている。
「あァ、そこまで怒り狂うお姉さまァ・・・。大好きですわァ、大好きで大好きで大好き、お姉さま大好きィ・・・だから殺してしまいますわァ」
「五月蠅い、ガキども。今、翁共々刻んでやるから待ってろ」
ツキヒメは刀を地面に叩きつけると衝撃波が迫る。ユキヒメ・ベニヒメは手のひらを前に差し出すと衝撃波が掻き消された。姫の力【無効化】大概の攻撃、モノは無効化できる。
「チッ。腐っても姫か」
「さあ。姫さま達、姫君を殺しわたくしめを美女の楽園へと連れて行って下さい」
翁がそう妹たちに言う。ケラケラ笑う妹たち。ツキヒメも手のひらを前に出すと光る波動が翁へと放たれた。
「クソジジイ消えろ」
「駄目よォ。まだァ、翁には生きてもらわないといけないのォ」
オトヒメがツキヒメを指さすと指先から光る波動が放たれる。姫の力【波動砲】波動砲同士が鬩ぎ合うと消滅した。
「姫君さまの大きな乳房、あの感触が未だ手の感触に残っています。あァ、思い出すだけで射精してしまいそうです。知っていましたか?」
もはや翁の言葉には耳を貸さないつもりのツキヒメだったが。
「あの姫君さまは、もはや力は行使できなかったのです。わたくしめが封印していたのですから、ヒッヒ。それをバラさない代わりに・・・毎晩毎晩毎晩、わたくしめとお遊戯してくれたのですよ」
「黙れ黙れ黙れ黙れ!!!」
ツキヒメは叫んだ。声帯が千切れるかと思うほどに、翁は話すのを止めず。
「ツキヒメさまが寝ている隣でも、姫君さまは喘いでくれましたよ」
「ボケナスゴミカス、@”#$%&’!!」
もはや言葉にならず。姫君はそんなことをしない、翁は姫君の力を封印し弱みにつけ込んでいたと確信する。
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