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 翌日から、テティアさんが僕の特訓に付き合うことになった。竜学が専門だそうだが、ヌーの扱いにもかなり長けているということだった。


 実際、彼女は有能な指導者のようだった。普通のレ・ヌーに乗りながら、軍用レ・ヌーの乗り方を教えてくれた。ウニルには相変わらず拒絶され続けていたが、背中から素早く覆いかぶさると、三回に一回ぐらいの割合で乗ることができた。そして、その割合は、乗る回数が増える度に高くなって行くように思えた。


「ウニルは一度、あなたの強い魔力で飛んでるわ。きっと、その感覚が忘れられないのね。心では拒んでいても、体は拒みきれてないってことよ」

「なんかいやらしい言い方ですね……」


 ただ、背中に乗り、竜魔素ドラギルアクセルを起動させると、かなりの確率で振り落とされてしまった。地面に激突する寸前でぴたりと止まる魔法がかかった訓練用のマントのおかげでケガはせずにすんだが、まともに乗れるようになるにはまだまだ時間がかかるようだ……って、レースまであと二日しかないけど。


 そして、その二日はあっという間に過ぎた。僕は結局、ウニルと仲良くなれなかったし、強引に乗ることはできても、すぐ振り落とされるばかりだった。


「こんなんで、本当に大丈夫かな……」


 竜蝕祭の前夜、寄宿舎の自分の部屋に戻ると、僕と山岸は顔を見合わせた。ウニルを十分に休ませる必要があるので、もう明日の午後の本番まで一切練習はできなかった。


「とにかく、今は休みましょ。明日に備えて」

「うん……」


 僕達はともにベッドに横になった。僕が床で寝ることにすると、山岸もいつのまにか床で寝ているので、結局、一緒にベッドを使うことにしたのだった。最初はすごくドキドキしたが、やっぱり直接触れないので、それ以上のものはなかった。山岸も、僕を意識しているのかしていないのか、わりとすぐに目を閉じて、眠ってしまうし。


 まあ、今はそんなこと考えてる場合じゃないしな……。


 山岸の言うとおりだ。明日に備えて今は休まないと。僕もすぐに目を閉じた。


 すると、その晩、少しだけまた変な夢を見た。本棚がたくさんある部屋で、十歳くらいの女の子が泣いているのだ。泣きながら癇癪を起したのだろうか、その子の周りにはびりびりに破られた本が散らばっていた。


 その子の顔は見覚えがあった。そう、トリックスターと名乗る少女によく似ていた。そして、その子の破いた本のページには、やはりレ・ヌーに乗る銀髪の青年のイラストが描かれていた。ただ、今回はさらに、違う本の破られたページも見えた。そこには冴えない風貌の男子高校生が、眼鏡の女子高生に平手打ちされるイラストが描かれていた。


 ああ、そうか……あいつは……。


 僕はそこで何かを悟った。が、朝になって目を覚ました瞬間、それが何だったのか忘れてしまった。


 いったい、あいつは何なんだろう。いろいろ考えてみたが、やはり何もわからなかった。

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