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1日目~昼~

ドアを開け表へと出る。


このドアはIDが無いと中からも

外からも開けれないオートロック型のドアなので

カードを置いて出ることは基本的に出来ないようだ。

まあ、やり方次第だと思うけど。


スマホを見てみると、一番遠くのプレイヤーが、

その隣のプレイヤーと合流をしている。


仲間同士なのか?


複数で行動がやはり良いのだろうか?

他のプレイヤーはまだ動きがない。


いや、何人かが、中央管理センターに

向かい始めている。


いきなり鉢合わせになっても大丈夫なのか?


俺の隣のプレイヤーも中央管理センターに

向かうようだ。隣といっても10キロは

離れているが…。


無人島らしく、むき出しの土の歩道以外は

森に囲まれていて、おかげで相手に悟られずに

一気に接近出来る。


2時間が過ぎた頃、ようやく相手に追いつく。


このプレイヤーはこちらに気付く方法がないらしく、

後ろから息をひそめて近づき、背後の茂み

10m迄接近しても、全く警戒する様子はない。

茂みから相手を盗み見ると…


歳は二十歳位だろうか?


長い黒髪が特徴的な女性が歩きづらそうに

中央管理センターに向かっている。


あまり運動は得意そうではない

のは歩き方を見るだけで分かる。


声をかけるべきか悩んでいると


「キャッ!」


足をくぼみに取られたのか思いっきり転んでいる。

よく見るとハイヒールを履いている。

それは歩きづらいだろうな。


なんだか放って置けないな…


なるべく接触は避けるべきなのは

頭では理解しているが、ああいうのを

無視出来るような冷血人間ではない。


茂みから出て彼女の後ろに姿を見せる。


茂みのガサガサという音に、彼女は小動物のように

ビクッとして、警戒しながら俺の方へと振り返る。


「あの、大丈夫ですか?」


敵意がないようにと意識して声をかけたが、


「だ、誰!?もう嫌!」


あまりに色々あって緊張の糸が切れたのか、

彼女はいきなり泣きだしその場にへたり込む。


「ちょ、ちょっと!?」


どうしていいかわからず、俺は固まってしまう。

中央管理センターまではもう少しだし、これ以上

他のプレイヤーと接触してしまってはマズイ気がする。


俺は泣いている彼女に手を差し伸べる。


「泣きたい気持ちは判るけど、ここに居ても

始まらないから、まずは中央管理センターまで行こうよ?」


俺の言葉にようやく落ち着く。

そこで初めて目が合った。

整った顔立ち、優しい印象を与える瞳

泣いていたせいか潤んだ瞳にドキリとする。

ヤバイ、メチャクチャ可愛い!


「あ、あの…?」


赤面して固まってる俺を、困った顔で彼女は見ている。


「あ、ゴメン。せっかくだから自己紹介を、

名前位ならいいよね?俺は山上悠斗。お姉さんは?」


「私は、桜井歩美さくらいあゆみ


色々聞きたいけど、まずは中央管理センターに

行かないと駄目だな。


何とか話が決まって、俺と桜井さんは一緒に

中央管理センターへ向かう事になった…。



『中央管理センター』


島の中心にある情報やシステムの管理、

アイテムや日用品をポイントで買える

唯一の場所であり、IDの更新の為に

誰もが来なければならない地点でもある。




アプリを見てみると、他のプレイヤーは

先程の場所から動かずにまだ動かないで様子見か、

状況を把握出来ずぼーっとしているか?


そんな感じだろう。


まあ、他のプレイヤーは動かないのは好都合だ。

何とか桜井さんと手を組んで情報などを共有出来る

状況になれば、他の18人より有利になるはずだ…。


その後、特にトラブルもなく中央管理センターに

無事たどり着く。


中央管理センターに近づいてみると

入り口前にカードリーダー

らしき機械が置いてある。

IDカードを差し込んでみると

画面が点灯し、

【山上悠斗チェックOK】

【現在所持ポイント1000】


と表示される。


「これでポイント加算されたみたいだな。

桜井さんもカード入れた方がいいと思いますよ?」


「うん。…これでいいの?」


桜井さんもカードを差し込みデータ更新する。


これで目的は達成だが、せっかくだから中に入って

品物の内容を調べておくか。


IDカードを使用し、ドアロックを解除する。

しかし…無人島なのに、

このセキュリティの高さってなんなんだろう?


中に入ると、パソコンが数台あとは

取っ手のない引き出しが何列も並んでいる。


「ここでたしか、買い物出来るんですよね?」


桜井さんもこの想像外の中の様子に、ただ

あっけに取られている。


「パソコンから買い物出来るのかも…」


パソコンはやはりカードを入れないと

起動しない仕組みになっている。


なるほど、この島でカードをなくすのは

死に直結するというのもうなずける…

ベースキャンプやここでの物資補給が

一切出来なくなれば生き延びることは

かなり厳しい状況になるだろう。



パソコンで品物を検索する。

日用品はほぼ手に入るようだ。

どうやら1ポイント10円位の価値らしい。


しかし、コレなら特殊部隊に気を付ければ

30日位なら生き残れる気がするが…


考え方が甘いのか?


料理が出来ない俺は、材料を買っても

仕方ないので冷凍食品を買おうとして

手が止まる。


ん?でも、電子レンジや

冷蔵庫なんてないよな?

まさか…。


パソコンのメニューを開く。

そこには色々なジャンルで分かれていた。

やはり家電のページがある。

テレビやDVDデッキなんかもある。


快適に過ごす手段もあるんだ…


問題はポイントが足りないって事だけど…。


大体、電気はあるが水は設置されてないよな!?

ここで毎日水買わなきゃ駄目なのか!?

川の水を飲む手段もあるが飲める水とは限らないし…

トイレも水ではなく消毒液のようなものだから

汲んで飲むって訳にも行かないし


なんだよ!便利なようで、生活環境最悪じゃねえか!


「あのう…山上さん、ちょっといいですか?」


隣でパソコン検索していた、桜井さんが難しい顔で

画面とにらめっこしている。


「何ですか?欲しいものがあったら、購入ボタンを

クリックすれば買えますよ?」


「はい、それは判るんですけれども、

これってどういう意味だと思いますか?」


なんだ?俺は彼女の画面を覗いてみる。


システムオプションサービス?


キッチン設置?

ガスコンロ設置?

浴場設置?


これは…自分のベースを

改装出来るという事か?

しかし、一体どうやって…


「多分、購入したら改装

されるんじゃないですか?」

桜井さんも仕組みを理解できず

困惑しているようだ。


「でもさ改装でこんな安いんだろ?」

改装サービスは、キッチン設置が

一番高いがそれでも

500ポイントだ。

まあ、全種類設置には

ポイント足りないが…


「そもそも、どうやって

どこに改装されるんでしょう?」

疑問だらけのシステムに

どうするかためらっている様だ。


「どうなんでしょう?俺も

ここなんて初めてですから…」


「ですよね…」


桜井さんはしばらく悩んだ結果キッチン、浴場を

購入して、後は飲み物や食べ物を購入したようだ。

それと、今後のことを考え安い運動靴を選んでもらった。


俺は水と、缶詰、あと十徳ナイフを購入し、

700ポイントを残しておく。


買い物が終わりセンターを出たところで

桜井さんが俺に声をかけてくる。


「あの…色々話がしたいから、

私のベースに来ませんか?」


俺に桜井さんの誘いを断る理由もないし、

キッチン設置等のやり方も、見ておきたい。

歩く距離も俺のベースキャンプより相当短い。


俺は、彼女の提案にうなずいた。



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