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9日目~夜~

夜の9時を過ぎ、捕獲部隊の動きが

止まったのを確認し、俺と野田さんは

中央管理センターに向かう。


野田さんの買い物付き合いを

しなければならない。


まあ、多少のポイントは元々野田さんの

IDの分だし仕方ないかな…?


スマホの充電も充分だし問題も無いだろう。


「まだ21日もあるのよね…

どうするつもりなの?3日以内に

ベースキャンプ地を移動しないと捕獲部隊に

突入されるんでしょ?」


「野田さんのキャンプ地はあまりに

離れてて厳しいですね…。だから2つの

キャンプ地を入れ替わりで使っていこうと。」


本当は、俺のベースキャンプを使えれば

3つを使え、移動距離もかなり短縮される


そして2人に移動は任せ、俺は仲間探しを

出来るようになるんだが…。


大江がくたばるのを待つしかない。

あそこには何も置いてないから

5日はもたないはず・・・。


ホントは俺の手であの男に止めを刺してやりたい。

歩美を殺した張本人…


そして…

俺はここである事に気が付く。

大江を助ける代わりに奴の依頼主の名前を

聞く事は出来ないだろうか?

奴も歩美が死んだ今、もうここに用は無いはずだ。


取引が成立すればここを出た後に歩美の父

大物政治家のそいつを探す事が出来る。

俺には何も出来ないかもしれない…。

でも、歩美の無念は晴らしてやりたい!!

しかし、刀を持つ相手に無防備は危険だ。


裏サイトでスタンガンを

再購入しておかないと駄目だ。


中央管理センターにたどり着いた俺達は

お互いパソコンに向かう。


野田さんは化粧品や服、

食料などを買っているようだ。


俺は裏サイトのスタンガン『充電式』を購入する。


使い捨てとは違い多少威力が落ちるが一度使った後は

24時間充電で再使用が出来るようになる。


それでも1発しか使えないのは

やはり普通のスタンガンより威力が強力だからか?


薬も購入し、足の傷に塗っておく。

もうほとんど塞がっている傷だが、

念には念をいれてやっておかないと

後で後悔する事になるかもしれない…。


買い物が終了した俺達は杉田の待つ

ベースキャンプへと歩き始めた…。


真夜中になってしまったがようやく

辿り着く事が出来た。仮眠は野田さんの

ベースキャンプで少し取ったが

まだ体力が戻りきってない。


3人で過ごす事も考え、歩美のIDで寝室ツイン

の増設コードも入手した。


杉田と野田さんにツインに入ってもらい、

俺が今までのベットを使えば問題ない。


IDをセンサーに通し、ドアを開け、中へと入る。


「山上くん!!心配したよ!あの後

電話全然くれなかったから…何かあったのかなって。

でも、不用意に掛けて大変な状況だと困るし。」


杉田が目に少し涙を溜めてやっと安心と

いう顔をしてソファに座り込む。


「この子、悠斗君の彼女?へえ~可愛いじゃない。

だから私のHの誘惑が効かなかったね。」


後ろからとんでもない事を言いながら

野田さんが入ってくる。


「Hな…誘惑?」


杉田の横に野田さんが座って杉田の全身を

舐め回すようにジロジロ見ている。


「可愛いだけじゃなくスタイルもいいのね~。

若いっていいわね~。」


「あ、あのう…。」


杉田は困ったような顔を俺に向けてくる。


「野田さん、杉田は彼女じゃないですよ。

大事な仲間です。これから生き延びるために

3人で仲良くやっていかないと駄目なんですから。」


「初日から3人でH!?」


ああ…わかってないよ。


「そういう意味じゃないです。杉田は男性恐怖症気味

なんですからあまり変な事言わないでもらえますか?」


「ふうん。そうなんだ。私は野田裕美。

裕美って呼んでね。悠斗君もね♪」


「わ、私は杉田麻美です。えっと…裕美さん、

よろしくお願いしますね。」


「OK、じゃあ麻美ちゃんって呼んでもいいかな?」


「あ、はいどうぞ。」


意外と2人は仲良くやっているとりあえず

パソコンでシステム更新を行わないとな。


流石夜のお仕事のプロと自分で自負するだけあって

裕美さんは人から話を聞き出すのが上手く、

杉田のこれまでの事を簡単に聞き出していた。


「そっかあ…麻美ちゃんには辛かったでしょうね。

その男も私相手だったら今頃私の虜になってたわね。」


「裕美さん、そういうの平気なんですか?私は…。」


「慣れてるからね~。まあ、今の所全くそんな

状況になってないけど。悠斗君にふられちゃうし♪」


「山上くんはここで知り合った彼女の事

忘れられないんです。とても可愛い人だったって。」


何だか知らないがいつの間にか俺の話題に

なっていたので話題を避けるため、話に

割り込んでいく。


「新しく寝室を増設したからそっちで2人は寝てくれる?」


女2人なら間違いは起こらないだろうし、杉田も安心だろう。


「あら、3人でスキンシップを図るんじゃないの?」


裕美さんがニヤニヤしながら俺と杉田を交互に見る。


「そういうのは無しです。俺は明日出かけますから

2人はここで待っていてもらえますか?」


俺が出かけると聞いて杉田が不安そうにこっちを見てくる。


「山上くん、今日も大変だったんだし…無理しないで

休んでもいいよ?私が買い物とかいくし。」


申し出はありがたいが千里眼がない2人が

うろつくのは得策ではない。


「ありがたいけど、アプリを貸すわけにいかないから、

俺が買い物とかしてくるよ。」


それに大江と会いに行くのは早いほうがいい。

餓死されても困るからな。


「じゃあ裕美お姉さんが麻美ちゃんに

料理を教えてあげちゃいましょう!

苦手なんでしょ?」


「は、はい。」


「なら、決まりね!悠斗君、明日の夕飯は

楽しみにしてなさい!!」


裕美さんはムードメーカーだなこんな

最悪の環境でも明るく元気に振舞える。


歩美を失ってから心から笑った事

なんてなかったけど…


裕美さんの明るさに救われている俺だった…。


2人は寝室に入ってからもまだ楽しそうに話している。


杉田の楽しそうな笑い声…ここに来る前、

道で会った杉田の明るい笑顔を思い出す。


「俺は明日は早いし…今日はもう寝るか。」


ベットに入って目をつぶると睡魔があっという間に

俺のまぶたを閉じさせる。

俺は深い眠りについたのであった…。

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