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0日目 ~ハジマリ~

今日も嫌になる位の快晴。外へ出るのも嫌になる。

始めに断っておくが、俺は世間一般で言うところの

引きこもりではない。

単に快適な空間を放棄して、汗水たらす必要性を

感じないから部屋にいるだけだ。

まあ、周りから見たらそれが引きこもりらしいが…。


せっかくの夏休み、どう使おうが個人の自由なので、

エアコンが効いた自分の部屋で

のんびり過ごしているのだ。


俺の名前は山上悠斗ヤマガミユウト

ごく普通な公立高校に通う、

17歳の高校2年生だ。


成績はまあ、トップクラスをうろうろ、

運動神経は、走る事に関してはすごいらしい。

陸上部の顧問が何度もスカウトに来たが

自分の時間を取られたくないので、

全部断っている。


まあ何をすると言う事はないが他人に行動を

束縛される事が嫌いなので仕方ないだろう。


「悠斗、悪いけどちょっと買い物に

行ってきてちょうだい。」


母親が階段の下から叫んでいる。

無視しようとも思ったが後々面倒になると考え

素直に階段を下りて母親の前に顔を出す。


「はいはい、で、何を買って来いと?」


「お醤油と蛍光灯2本よろしくね。」


笑顔で最近流行のエコバックを手渡してくる。


「了解〜。行ってくるわ。」


渋々だが着替えをすまし表へと出る俺であった。


表に出ると蒸し暑い空気が俺の全身を

嘗め尽くすようにまとわりついてくる。


「うわあ…たまらないな。」


我慢できなくなった俺は買い物をさっさと済ませ、

あの快適空間に一刻も早く戻るべく

近くのスーパーへ早足で向かうことにした。


流石に走ってまで急ごうとは思わない。

それは労力の無駄だしね。


スーパーまであと少しという所で

後ろから声をかけられる。

つい反応して後ろを向くと…


「あれ?山上君!こんな所で

会うなんて奇遇だよね〜。」


目の前には金と言ってもいいくらいの茶髪で

それをうまい具合に後ろでオシャレに束ね

うなじを強調するスタイルがいい感じだ。


わざと男の目を引くために短くしたと思われる

超ミニスカートと露出をきわだたせるつもりの

ノースリーブがまた目の得…もとい目の毒…


「山上君?」


「あ、悪い悪い。…杉田だよな?

お前、普段着露出高すぎじゃね?」


彼女は杉田麻美スギタアサミ

俺と同じ高校の同級生だ。

学校では大人しい印象であまり話したこともない。

というか、髪といい服装といい学校とのイメージが

まったく違ったので正直、最初は気がつかなかった。


「えへへ。ちょっとイメチェン

したんだけど、変かな?」


屈託のない優しい笑顔でこちらに笑いかけてくる。

こいつ、こんな可愛かった?


「い、いや、変じゃない。すげー似合うよ。

ただ、目のやり場にちょっと困ると言うか…」


「惚れちゃった?」


俺が照れてるのを見て杉田は

満面の笑みで喜び始める。


「え!いや、い、いきなり何を言い出すんだ!」


「嘘だよ〜。でも、見たいなら

見せてあげても…いいよ?」


え…それって…杉田まさか俺のこと!


「今、エッチな事思ったでしょ!イヤラシイ〜!」


杉田は顔を真っ赤にしながらベーっと舌を出す。

完全に彼女に手玉に取られてるよな…。


けれど、杉田の学校とは違う一面を

見れたって点はよかったかも…。

仲良くなる前は正直、根暗で

愛想悪い子だと思ってたし。


この頃の俺は知る由もないが杉田のことを知らないで

いれば、この先苦しまないで済んだのだが…。


たわいのない会話をしている俺達の前に

突然黒いスーツに黒いサングラスの男達が

4〜5人近寄ってくる。


「山上悠斗君と杉田麻美さんですね。」


いきなり名前を呼ばれた俺と杉田は

どう対処していいか判らず黙ってしまう。


「申し訳ありませんが一緒に来ていただきます。」


周りの男達が俺と杉田を取り囲む。

は?どういうことだ?マフィアの

知り合いなんていないぞ?


「や、山上君…。」


杉田は俺の腕をギュッと握り締め、

俺の後ろに隠れる。


「り、理由もなく着いて行くなんて出来る訳が…」


「押し問答をする気はありません。失礼。」


その瞬間、何かガスみたいなものを吹き付けられる!

意識が急に朦朧としてくる。


俺と杉田はその場に崩れ落ちるように

倒れてしまったのだった…。


そう、これが命を懸けたゲームのプロローグだった。

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