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神逆のクラウン~運命を狂わせた神をぶっ殺す!~  作者: 夜月紅輝
第13章 道化師は奪還し、刃を立てる

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第288話 復讐の刃

読んでくださりありがとうございます。(≧▽≦)


決着編

 背中合わせになるクラウンと響は周囲を囲む現在十六体のレグリアに警戒しながら、刀を向ける。そして、同時に攻撃を仕掛けていった。


 正面のレグリアを目にも止まらぬ速度で斬っていく。その速度はレグリアの両腕のブレードをものともせずに体を両断していく。


 しかし、斬られたレグリアは二つに分かれるとすぐに二人のレグリアとなって響とクラウンに襲いかかる。


 二人が仕留めた数だけその倍となって増えていく。先ほどの累乗に増えなかっただけマシだが、それでも今の状態がレグリアのスペックをギリギリ超えているからといって、数に押されることは十分にある。


 しかも、レグリアの命のストック、すなわち残機を減らすには殺すかないわけで、しかし殺せばレグリアはその分裂を増やしていく。


 クラウンと響は互いに多くのレグリアに囲まれながらも、一瞬の合間合間を狙ってレグリアの残機を着実に減らしていく。


 しかし、クラウンは戦闘をしながら気づいていた。響の動きが若干悪いと。あまり一対多数という戦闘経験をしていないのかもしれないが、それでも別のことに気を取られているように少し危なっかしい。


「響、しゃがめ」


「!」


 クラウンは前方のレグリアを蹴り飛ばすと踵を返して、背後の響へと近づいていく。その時、響は四体のレグリアに囲まれていたが、響が気づいているのは正面と左右の三体のみ。背後には気づいていない様子だ。


 それにいち早く気づいたクラウンは響に言葉を投げかけるとすぐに刀を横薙ぎに払って、そのレグリアを切断する。そして、再び響と背中合わせになる。


「何を気にしてる? 死にたいのか?」


「.......ごめん」


「謝るより目の前の敵を斬れ」


「わかった」


 クラウンは何か調子がおかしそうな響を怪訝に思いながらも、すぐに思考を切り替えていく。自分も響を気にし過ぎていたら二の舞になる。


 クラウン達が囲まれながら斬っていくと数はすぐに二十五体を超え、周囲を取り囲む。加えて、前列にいたレグリア達が両腕をブレードにして突っ込んでくるとその背後にいるレグリア達は銃を持っていて前列ごとまとめて銃弾を放って来る。


 クラウンと響は咄嗟に上空へと上昇する。しかし、銃弾の雨が二手に分かれて追いかけて来る。すると、移動しながらクラウンが響に話しかける。


「響! 一度合流したら、俺に合わせて全力で斬撃を放て!」


「わかった!」


 クラウンは銃弾を移動しながら避けるといきなり地上にいるレグリア達に突っ込んでいった。そして、一体を刀で串刺しにしながら着地するとすぐに刀を引き抜いて下段に構える。


 そこに響もすぐに降りてくる。すると、クラウンはふと思ったことを告げた。


「響、スティナだったら生きてるぞ」


「!......そうか」


 その返答は嬉しそうな声色であった。なるほど、先ほどから気にしていたのはそういうことだったのか。なら、もう心配はいらなそうだ。


「合わせろ!」


「わかった!」


「一刀流鷹の型―――――――飛翔旋!」


「光域閃滅刃!」


 クラウンは刀を頭上に向かって回転しながら振り上げる。その瞬間、周囲には突風のごとき上昇気流がクラウン達の周囲から巻き起こった。


 いわば竜巻のようなものでそれは夕暮れの西日に当てられ、火炎旋風のように赤く染まってレグリア達を一気に上空へと巻き上げる。


 そして、その竜巻に響の光の斬撃が乗っかっていく。その光は竜巻の回転に合わせて上昇していき、巻き上げられたレグリアを切断して光の熱量で消滅させていく。


 さらに、竜巻のさらに周囲には響が展開した光の柱が天に向かって伸びており、竜巻から逃れたとしてもその範囲にいたレグリアを光の鉄槌で仕留めていく。


「この技には対になる技が存在するんだ。とくと味わいやがれ! 一刀流鷹の型――――――下降旋!」


 クラウンは頭上に掲げた刀をもう一度今度は真下に振り下ろす。すると、先ほどまで上昇していた竜巻は一瞬だけその姿を消すと今度は真下に叩きつけるように動き始めた。


 それによって、切り刻まれて残ったレグリア達は地面に叩きつけられ、加えて上空にあった冷えた空気が竜巻に流れて真下に叩きつける。


 少しして、竜巻は自然消滅した。すると、当たり一面は白銀の世界と見間違えるほど凍り付いていた。しかし、それはある程度の範囲をもって止められていた。


「なんだっけこれ? 超下降気流(ダウンバースト)ってやつだっけ? にしても、やるなら言ってくれないとこっちまで凍るよ」


「長い付き合いだ。今更何を言わなくても通じるだろ」


「いやまあ、わかるけどさ。だとしてもだと思わない? これは」


「いいだろ。奴の肉体は結局のところ細胞だ。再生できないほど消滅してしまうか凍らせてしまうのが一番早い。それを悟らせないようにするのは面倒だったが。だが、問題はこれが本体に向けられたものじゃないってことだな」


「数を減らすためにやったこととはいえ、相手はまあガチギレだよな」


 響は聖剣を掲げて<不浄の絶盾(たて)>を解除すると二人して正面にいるレグリアを見た。すると、レグリアはわかりやすいほどに額に青筋を走らせている。


 口は歪み、眉は狭くなり、目つきが鋭くなっている。ご立腹もご立腹のようだ。さて、ここからどこまで裏をかけるかがカギになる。


「よくも、よくもやってくれましたね。ここまで残機を減ら(コケに)されたのは初めてですよ。かずを増やしたところで一緒なら、見せてやりますよ。あなた達と同じ土俵に立った私をね!」


 レグリアはそういうとその姿を変形し始めた。体をぼこぼこと膨張させ、気持ち悪くもとの原型を無くしていく。


 しかし、クラウンにはそれを待ってやる義理はないのでそのまま突っ込もうとしたが、強い波動によってレグリアに近づけない。


 クラウンも響も押し飛ばされないように耐えているとレグリアの変形が終わったようで、ビリビリとした波動が段々と小さくなっていった。


 レグリアの姿は実にシンプルだった。てっきりオーガのような姿だと思えば、全身黒づくめの兜をかぶった騎士―――――黒騎士であった。


 その両腕は二本の大剣を持っていて、背中には響と同じ光の翼を生やしている。兜の奥からは赤く光る目が見える。


「これが私の最終の姿です。結局のところシンプルが一番なんですよ。それとこれを使うと残機が一になります。いわば、あなた達と同じということですよ。まあ、その分集約した約五十体ほどの魂は全て血肉となりますが」


「お前がどんな姿になろうと僕達には関係ない」


「さっさと終わらせるぞ。てめぇの傲慢(プライド)か、俺達の傲慢(プライド)か。どっちの力が強いか白黒させようじゃないか!」


「やってみなさい!」


 クラウンと響は同時にその場から消えた。そして、瞬く間にレグリアの目の前にやってくると武器を振るう。


「「!――――――ごふっ!」」


 しかし、それはそれぞれ腕一本で止められ、レグリアが剣を振るうとそのまま吹き飛ばされていく。押し返しただけなのに正門にある城壁に叩きつけられた。


 レグリアは響に向かって突っ込んでいく。だがその前に、クラウンが突きの構えで向かってきた。そして、その刀はレグリアの兜を捉え―――――る前に斬り飛ばされた。


「ぐふっ!」


 あとたった数センチというところで、それよりも早く動いて避けられ下から上へと剣を振るわれた。それによって、クラウンは大きく弧を描くように飛んでいく。


 すると、今度は響が全力で刀を振るってきた。レグリアはそれを二本の剣をクロスさせてガードする。少しの間、響の勢いで地面を引きずりながら押されていくが、止まると足で響の腹部を蹴り上げていく。


 そして、クロスさせたままの剣で響に斬りつける。しかしそれは、響の聖剣でのガードが間に合い、地面を跳ねるように転がっていくだけでなんとかなった。


「おらあああああ!」


 するとまた、クラウンがレグリアに無策で突っ込んでくる。レグリアはその動きを見ながら、斬りつけられる前にクラウンに接近した。


 それによって、クラウンの刀を振り回す前の間合いに入り剣を横薙ぎに振るっていく。


「!」


 しかし、その剣がクラウンを捉えることはなかった。クラウンはその攻撃を読んでいたのか、無理やり体勢を低くした状態でその場に止まるとその上を剣が通り抜けていく。


「がっ!」


 そして、過ぎ去ったところから起き上がりながら剣を下から上に振り上げる。だが、それはもう一本の剣で受け止められ、前蹴りされて近くの民家に突っ込んでいく。


「そらああああああ!」


 今度は響がやって来た。わずかだが、吹き飛ばされてから向かって来るまでの感覚が短くなっている気がする。


 そう感じたレグリアは後退しようと重心を後ろにかける。すると、響が移動中に聖剣を横薙ぎに振るっていく。


 レグリアは咄嗟に大きく上体を逸らして、斬撃をスレスレで避けていく。しかし、それだと避けただけで響の進撃は止まらない。


 するとすぐに、レグリアは両手の剣を地面に突き刺して一度ブリッジのような体勢になる。そして、そのまま足を持ち上げると響の剣の振りに合わせて足を伸ばす。


 その両足の蹴りは響の一撃を止め、逆に吹き飛ばしていく。そして、足を大きく上に回しながら一回転して体勢を立て直すと地面に刺さった剣を抜こうとする。


「!」


 だが、その時にはもうクラウンが目の前までやって来ていた。レグリアは咄嗟に後退するも横っ腹を切り裂かれた。


 レグリアはその痛みにいら立ちを感じながら、地面を叩きつけて煙幕と石つぶてを伴った斬撃を放っていく。


 それによって、クラウンの視界を一瞬でも潰すとその隙に接近。大きく斬り払っていく。視界不良でハッキリと見えなかったが、肉を斬った感触はした。


 視界を払う。クラウンが血を流しながら吹き飛んでいく。すぐに、響が向かって来る。振るわれた剣を両手にもつ二つの剣で受け止め、前蹴りで吹き飛ばしていく。


「なんだこいつらは!」


 もうクラウンがやって来ていた。そのことにレグリアは思わずいら立ちの声を上げる。吹き飛ばしたそばからすぐに向かって来る。


 どれだけボロボロになって、どれだけ切り傷を増やして血を流そうと向かって来る。しかも、吹き飛ばされるたびに最短の受け身をして向かって来る。


 何度も何度も吹き飛ばしてはキリがないし、その都度こちらの動きを読んだように動きを変えてくる。ウザいったらありゃしない。


 しかも、その感覚はもう非常に狭い。クラウンを吹き飛ばせばもう響が来ていて、響を吹き飛ばせばクラウンの攻撃がやってくる。


 その「攻撃が最大の防御」のような戦い方はやがてレグリアを圧倒し始めた。それは二人の攻めてくる感覚が短くなり過ぎてほぼ同時に襲ってきているようになったからだ。


 しかも、最初の攻撃時とは違い少しずつ攻撃をいなすようになり始め、加えてなぜか攻撃力が増しているような気がする。


「ウザい二人だなぁ!」


「二人? 何を言ってるんだ?」


「俺達は二人で戦ってねぇよ」


「それはどういうい―――――みっ!?」


 レグリアは二人の猛攻に耐えられず一時体勢を立て直すために後ろに下がろうとした。しかし、後ろに飛んだ瞬間―――――見えない壁のようなものによって止められた。


 レグリアは思わず背後を見る。すると、後ろから気配があった。物陰に雪姫(賢者)が潜んでいた。どうやら、賢者の結界によるものらしい。


「このっ―――――!」


 邪魔立てはまだ終わっていなかった。レグリアが迫りくるクラウン達の方を見るとクラウンと響の間を抜けて一発の紫電を纏った魔力弾が迫って来ていた。


 その弾丸の奥を見ると朱里(狙撃手)が銃口を向けながら、こちらに狙いを定めていた。そして、銃弾はレグリアを捉える。


「クソ人間どもがああああああ!」


「その人間に敗れるのが」


「てめぇだ、クソ野郎」


 クラウンと響は同時に斬り込む。後ろに下がれないレグリアの胴体に大きくバツ印の傷がつき、青い血が飛散していく。


「「まだだあああああぁぁぁぁぁ!」」


 クラウンと響はすぐさま斬り払った剣で突きの構えになると思いっきりレグリアの胸に二本の刃を突き立てた。


 その押し込みによって、レグリアを貫通するように背中から刃が生え、結界の壁がレグリアの命の灯火を消したように砕け散った。

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