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神逆のクラウン~運命を狂わせた神をぶっ殺す!~  作者: 夜月紅輝
第2章 道化師は進む

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第21話 次なる目的

この作品の流れを紹介してる感じですね。あ、ちなみにお気づきの方もいられると思いますがこの作品の大きなテーマは「信用」です


評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(≧▽≦)

「それで、私の予定を聞く前にあんたはこれからの予定はあるの?」


「ないな、神に関する情報を今から集めるつもりだった」


「そう、なら好都合だわ」


 リリスはそう言って自分のこれからの予定を話始める。それを簡単に言うとこうであった。


 クラウンとリリスがあの神殿で読んだ置き手紙には実は続きがあり、それはこれからの予定を書き連ねたものであった。


そして、その内容というのはこの世界の各地にある森にあった神殿とは別の神殿で宝玉を見つけ出してこいというものだった。


 その宝玉は全部で8つあり、それらをすべて集めてあの森にある神殿に捧げるとクラウンの望む力が手に入るという。


「......」


 クラウンの目は何とも疑わしいものであった。それは仕方がない、そもそも目の前にいるリリスすら信じていないクラウンがリリスの母親からの手紙など到底信じられるはずがない。


 だが、そのリリスの母親という存在にはとても興味があった。まずあの手紙において自分の存在を知っていたこと、それに目的も。なら、望む力などことさらに。


 どこか手のひらで踊らされている感じが癪だが、神に関する情報がない今は少しでも動ける目的があった方がいい。そう思ったクラウンは了承の意を伝えた。


「わかった、それでいいだろ。それで、集めろってことはもちろん場所も書かれているんだろうな?」


「ええ、一つ目は獣王国にある神殿で通称【煉獄の檻 ガランザラス】、二つ目が砂漠の国にある神殿で【重力の遊技場 マチスカチス】、三つ目が北の霊山にある神殿で【氷獄の花園 ヒュードレイア】、四つ目がエルフの森にある聖樹の神殿で【亡者の楽園 クレイロータス】」


「.......」


「それから、五つ目が魔王城近くにある神殿で【魔幻の地獄 ティデリストア】、六つ目が鬼族の島にある神殿で【兵器の屋敷 ウェポノイド】、七つ目が竜の谷にある神殿で【天空の箱庭 スカイクロノア】、そして最後の八つ目が魚人族の島にある神殿で【海底の箱舟 ウォルテジア】」


「その八つの神殿が宝玉のある場所を示す先ってことか」


「そうね。いろんな場所に行くから、あんたの情報集めにも都合が良いんじゃないかしら?」


「みたいだな」


 リリスの言葉にクラウンは静かに肯定した。そして、だんだんと不敵な笑みを浮かべていく。もう脳内では宿敵を殺すイメージでもしているのかというぐらい。


 リリスが「相変わらず狂ってるわね」と思うのももはや今更。なので、ため息を吐いてやり過ごす。それからもう一つ言葉を続けた。


「そういえば、『ついでで良ければ、神代兵器も集めること』って書いてあったわ」


「神代兵器......それはなんだ?」


「言葉の響きからわかる通り神の力に勝らずとも劣らない古代文明期に造られた殺戮兵器よ。詳しく言うなら一つ目は【空帝のウェルメス】という島ほどある超大型飛行艇。二つ目は【破壊のリルリアーゼ】という人型殺戮兵器。三つめは......忘れたわ」


「おい、そこ覚えておくべきだろ」


「うっさいわね。そんなの必要と思えなかったし、そもそも人に扱えるものかも怪しいわ」


「どういうことだ?」


 クラウンはリリスの最後の言葉が気になった。リリスは神代兵器は古代文明による産物だと言っていた。なら、それを造ったのは当然人であろう。


 だが、リリスは「私たち」とは言わず「人」と言った。そのことが気になったのだ。


 その質問にリリスは知っている過去のデータとともに説明を始めた。


「まずその神代兵器を動かせる知識がない。けど、それは長寿種のエルフや竜人族に聞けばいいと思う。おそらく知っている人がまだ生きている可能性があるから。それで、なにが問題かと言うと操作よ」


「その何が問題だと?」


 飛行艇はいざとなればそれを操作できる人を拉致ればいいし、人型兵器も想定内の奴であればマスター登録らしきものがあるはずであろうなので特に問題ないはず。


 そう思ったクラウンはリリスの次の言葉を待ったが、リリスから発せられた言葉は()()()の内容だった。


「その問題と言うのは、飛行艇の方では飛行艇が操縦者を選ぶの。そして、人型兵器の方はその人型兵器を屈服させなければならないわけ」


「......」


 これにはさすがのクラウンも押し黙った。飛行艇が人を選ぶなどたとえ知識があっても動かせないと言っているに等しい。そして、人型兵器なんて死ぬリスクがあるということだ。


 もちろん死ぬつもりは毛頭ないが、どの世界にも絶対はない。それに壊すのは得意だが、壊さずに生かすなど今の俺ではまだできる可能性は小さいだろ。なら......


「そういうことか。なら、今それについて考えることは今でなくていいだろう。そのありかがわかっているわけではないんだな?」


「そうね。手紙にもそれだけしか書かれていなかったし。それでいいと思うわ」


「なら決まりだな」


 クラウンとリリスは互いの意見を一致させるとクラウンは次の話題に入った。


「ここから近いのはどこだ?」


「そうね......ここから一番近いなら獣王国かしら。ただ、そこに入るのは面倒だと思うわ」


 そう言うとリリスは簡単に説明し始めた。まず獣王国はここ最近厳重な警備体制が敷かれている。


 そして、そこにある神殿は獣王国が所有していてあの森と同様に結界が張られており侵入は出来ない。


 また、その結界を解除する方法は獣王国の王族かその神殿を管理する巫女しか知らないためこっそり侵入することは不可能。なので、正面から獣王国の協力を求めなくてはならない。


 だが、獣人は人族に嫌悪感を抱いているため人族のクラウンはアウト。


 さらに、数百年ほど前に魔族が領土拡大のために攻め入ったことから魔族であるリリスもアウト。これらから正面から入ることもできない。


 たとえ、開け方を知っている獣人を拉致って無理やり吐かせようとしてもそうはさせないとばかりにその獣人は自決する。


 というわけで事実上の詰み。もし入る方法があるとすれば、重大な秘密か何かを見つけることになる。


 クラウンはその説明を聞いてため息を吐いた。あの夜の襲撃が上手くいったのでこの流れでいけるかと思った。だが、どうやらそう上手く事は運ばないようだ。


 しかし、それは仕方がない。もとより自身の運命など信じていないからだ。なら、自分の都合よく行けるよう運命を捻じ曲げるだけ。


 そして、クラウンは「少し考える」とリリスに告げて宿舎を出た。探すのはもちろんリックの部下だ。


 早速頼ってしまうのは、あの少年のおどけたような顔を見るような気がして癪に障るが背に腹は代えられない。だが、その前に......


「仮面を新調して、少し腹を満たすか」


 クラウンは辺りを見回しながら独り言ちる。クラウンは人目を避けるために<隠形>を使った。


 そして、雑貨屋を見つけるとそこに入り、その店主からお祭り用の目元までを覆い隠す狐のお面を買った。それから、それをつけると再び大通りへと出て今度は茶屋のような店を探した。


「......うぜぇ」


 クラウンは思わず言葉が漏れる。それはこの大通りにいる人の数だ。それこそお祭りかと思われるほど。そのことにクラウンはイラ立ちが募る。


 そして、やっとのことで茶屋を見つけると外の椅子に座って買った団子を食い始めた。


 するとすぐに店主のおばさんが鋼のメンタルでクラウンに話しかける。


「凄いでしょ、この人だかり」


「......ああ」


 クラウンは面倒だと思いながらもなんか離れそうにないので適当に返事を返す。


「普段はもちろんこうじゃないのよ?でも、今日は特別な日になるらしいから」


「.....ああ」


「.....あなたさ、奴隷ってどう思う?」


 おばさんが唐突にそんなことを聞いてきた。その言葉で先ほど言った特別という意味がわかった。要するに奴隷が運ばれてくるのだろう。ここに来る際、多くの奴隷を連れた奴隷商人を見た。


 ということは、この国には奴隷制度があるということだ。だが、クラウンには「それがどうした?」としか思えない。弱い奴をいくらかき集めようと結局そいつらは弱い。駒にも使えない。故に興味が無いのだ。


 なので、そのおばさんに言うことも決まている。


「たとえどんな事情があろうとそうなった時点で奴らは弱者だ。この世界はどんな環境であろうと弱肉強食という理からは外れない。奴隷(弱者)奴隷商人(強者)に食われた、ただそれだけだ」


「なんというか随分と冷めているのね」


 おばさんは思わずクラウンを悲しそうな子を見るような目で見た。「仮面をつけて顔を見せないなんて随分と酷い環境で育ってきたのね」と勘違いしているのかそんなことを口にした。だが、クラウンは興味もないのか反応することはなかった。そんなクラウンを横目におばさんは勝手に言葉を続ける。


「でも、この国から言ったらあなたの言うことは正しいわ。この国は納税が出来なくなっただけで、すぐに奴隷へと落ちる地獄の世界。けど、上手くいけば将来困らないほどの金が手に入る楽園の世界でもある。......今のところ私は上手くいっているけど、成功と呼べるほどじゃないし結局は生き地獄」


「結局何が言いたい?」


「奴隷は弱者ではあるけど、そう呼んでほしくはないの。被害者って言ってほしいのよ。さすがに生まれて間もない子が奴隷に堕ちてそう言えるの?」


 おばさんは少し口調が強くなっていた。流していたつもりだったが、やはりクラウンの発言にとっかかりを感じたのだろう。だが、クラウンは一つ団子を口に含み、食い終わるとおばさんに告げる。


「先ほど言っただろう、この世界はどの環境であろうと弱肉強食だと。ならば、お前は己の運命にどう理由をつけるつもりだ?お前の運命は強かったからこうして今も奴隷に堕ちていないのだろう?」


「......」


「なら、そいつの運命は弱かったから奴隷に堕ちた。あらゆる結果であってもそうだ。普通に暮らせる者と奴隷に堕ちる者、王族と一般人.....どうあがいても優劣は出来、勝者と敗者が出来上がる。この世界をわかっていないのはお前の方だ。結局受け入れて生きている時点で、そんな言葉が言える資格もない」


「......」


 クラウンの発言におばさんは暗い顔をしてなにも言わなかった。ただ涙目で先ほどより悲しそうな目でクラウンを一瞥すると店内へと戻っていった。


 クラウンは「面倒ごとが終わった」と思わずため息を吐いた。そして、団子を全て平らげると金だけ置いてその場を立ち去る。


 するととすぐに、遠くからファンファーレが聞こえてきて、大通りの両サイドに多くの人が立ち並び始めた。


 クラウンはふと興味本位でその一種のパレードを見ていくことにした。さて、特別な日と言われるほどの奴隷とはどれほどのものなのか。そして、音が近づいて来る方へと目線を向ける。


「.....!」


 その瞬間、膨大な魔力を感知した。まだ姿は見えて無いのにこの量は凄まじい。なるほどてっきりのどこぞの豚が絶世の美女奴隷をお求めかと思いきやどうやら違うようだ。


 そして、クラウンは良いことを思いついた子供のように笑みを深めるとゆっくりと歩き出した。

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