第17話 襲撃の夜#3
クラウンサイドです。視点が目まぐるしく変わると思うので注意してください。まだ文章力が足りないようです
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「ぐはっ!」
目の前に立ちはだかる兵士を仮面の男は<瞬脚>で近づくと掌底で顎を撃ち抜くと死に体になった兵士を袈裟切りした。
そして、切られて倒れていく兵士を無視してそのまま走り去る。だが、まだ数多の兵士が仮面の男、クラウンを止めようと向かえ討って来る。
「止まれ、闇人!」
「速いぞ、こいつ!お前ら道を塞げ!」
そこにいる兵士が各々いろいろなことを口にして情報を伝達していく。だが、それがどうしたとばかりにクラウンは進撃を続ける。
そして、二人の兵士がクラウンに向かって近づいてくる。一人の兵士は剣先をクラウンに向けるとタイミングを見測って突き出した。それをクラウンは刀で受けるとそのまま滑らせながら、その兵士の両腕を切り落とした。
「うわあああああ!」
その痛みに兵士は絶叫する。だが、そんな叫びを上げられようと攻撃を止めるクラウンではない。無手にされた兵士を平然と切ると腹部を思いっきり蹴った。
その兵士が吹き飛ばされた速さは到底人が蹴って出せる速さではなかった。その予想外の速さにクラウンに向かっていたもう一人の兵士は一緒になって吹き飛ばされる。
「「「「「おらああああああ!」」」」」
だが、兵士達も「これ以上は進ませるわけにはいかない」と自身を鼓舞しながらクラウンを囲んで周囲から切りかかる。その攻撃にクラウンは真上に跳ぶことで避けた。
さらに、天井を蹴って方向転換しながら元の位置に戻ってくると円形に並んでいる兵士を自身の体を回転させて刀を振るうことで、一瞬にして頭と首から下を切り離した。
さらに、その首なし死体全てに糸を絡ませると力任せに腕を振るって前方に投げ飛ばす。
「邪魔だ」
クラウンは<瞬脚>と<天翔>でその首なし死体の塊に近づくと四肢と胴体に分解して、それらをまだ生きている兵士に向かってぶっ飛ばした。まさに質量弾とも呼べるそれらは多くの兵士を死傷させた。
クラウンは動けるものが少なくなったのを確認すると地面に着地して再び走り始める。
そして、クラウンがたどり着いたのは城にある大教会。否、そこにいる一人の男。
「また、会えたな」
「おやおや、これはこれは珍しいお客さんですねぇ」
その男、教皇はクラウンの存在に気づいていたかのようにゆったりと話しかける。その表情は好々爺のような優しい顔であった。だが、クラウンは知っている。それが、偽りの顔であることを。
「どうしてまたこんなところに?また死の苦しみを味わいに来たのですか?」
「ふざけるな。俺はお前らを殺すために地獄から蘇ったただ一人の神に逆らう者だ」
「神に逆らう者......ですか。それはいけませんねぇ、我が主を仇なそうとは......」
すると教皇は両腕を伸ばすとそこから横に振った。すると法衣の袖からは右手、左手のそれぞれに武器が持たれた。そして、左手に持った武器をクラウンに向ける。
「そのようなシナリオは主は望んでいません。死んでください」
「お前がな」
その瞬間、一発の破裂音が鳴り響いた。クラウンはそれから射出された魔力でできた質量弾を刀で切り払いながら進んでいく。
だが、教皇は左手に持った武器、マグナムを構わず乱発していく。それはリックがクラウンに向けたものだ。......やはり持っていたか。
しかし、それをクラウンは<瞬脚>を使って直撃だけを避けていく。そして、一気に近づくと刀を横なぎに払った。が、教皇は後ろに下がることでそれを避ける。
「流爪」
「甘いですよ」
クラウンはかぎ爪のようにした左手で空をかいた。するとそこからは五本の鋭い斬撃が教皇に向かって飛ぶ。
だが、教皇は右手にある剣を振り払うことで簡単に壊して見せた。そして、後方へ下がりながらクラウンに左手を向け三発の銃弾を放って来る。
「くっ!......だが、それはてめぇもだ」
「がはっ!」
クラウンはそう言うと三発の銃弾を自身に直撃させながらも先ほど振るった左手を握るとそのまま手前い引いた。
その瞬間、クラウンの動きに合わせるように教皇はクラウンへと引き寄せられる。そして、クラウンの突き出された右手に持つ刀によって胴を貫かれる。
そこからクラウンは追撃とばかりに<瞬脚>を使って教皇の横っ腹を蹴り飛ばす。それによって教皇は大きく吹き飛ばされた。
「これは驚きですね。まさかここまで強くなっているとは......」
「てめぇ、まだ何にも出してねぇな?」
「おや、バレてしまいましたか」
教皇はなぜかそのことを嬉しそうに笑った。逆に、クラウンはかなりのいら立ちを感じている。だが、激情で動き出すことはなく、その目は冷静であった。
「出し惜しみしてんなら、それまでに殺すだけだ」
「ほほほ、良い覚悟ですね。......ですが、今のあなたでは私を殺せても殺しきることはできませんよ」
「ほざけ、愚物が」
クラウンは一気駆けだした。その動きに合わせて教皇は銃口を向けて乱発してくる。
クラウンはその弾筋を神経を鋭く尖らせて見極めた。まず一発目を薙ぎ払うとその場でターンして一つ右に位置を移すことで二発目を避けた。
そして、そこから進んでいき刀を横に向けることで三発目を、下から上に向かって袈裟切りすることで四発目を処理した。
「次はどう動きます?」
教皇はそう言うとすぐさま銃を横一文字に多数の銃弾を放った。その攻撃に対してクラウンは膝を折り曲げ、体を大きく逸らすことで避けた。
そして、すぐさま体勢を立て直すと左腕を伸ばして、右手を上段に構えた。
「これでその武器は終わりだ」
クラウンは自身の間合いに教皇が入ると刀を一気に突き、教皇のマグナムを粉砕した。だが、教皇はそのことを気にかけることはなく、左手でクラウンの右手首を掴むと右手の剣をクラウンに向かって振り下ろす。
だが、クラウンは腰にある鞘を左手で引き抜くとそこから振り上げて受け止めた。
「あと一手足りなかったですね」
「なら、一手付け足せばいいだけだ」
「!......ぐはっ!」
クラウンはそう言うと右足を振るった。教皇は後方へ下がってその蹴りを避けようとする。
だが、クラウンの蹴りから鋭く太い一筋の<流爪>の斬撃が放たれ自身の胴体を貫通した。思わずうめき声が漏れて、数歩後退した。
「こんなことが......あるわけないですね」
「!!!」
教皇の声が嘲るようなのに変わったのと同時に風穴が開いたはずの胴体が塞がった。クラウンはその光景に思わず目を疑う。
......俺と同じ<超回復>か、もしくは<超速再生>とかか、はたまた全く別の何かか。
「その一瞬が命取りだと知らないあなたではないでしょう?」
「しまっ......がはっ!」
クラウンは一秒にも満たない時間を思考に使ってしまった。そのせいで教皇の異常なほど肥大化した右腕による拳を全身で受けてしまった。
クラウンは勢いよく吹き飛ばされ反対側の壁に思いっきり叩きつけられた。その衝撃で肺の空気は強制的に吐き出され、同時に内臓も傷つけられたのか吐血した。
自身の足元に仮面の一部が剥がれ落ちる。
「随分と頑丈な仮面ですね。それほどまでに私と顔を合わせたくないと?ほほほ、それは違いますね。そうであったら、こんなところに現れるはずないですからね」
「御託はいい。まだ、俺は死んでねぇぞ」
クラウンはふらふらと立ち上がりながらもしっかりと体勢を立て直すと剥がれた仮面から現れた鋭い目つきで教皇を見据える。そして、一気に走り出す。
教皇は左手をサッと振り上げると一体どこに隠し持っていたのかというべきのショットガンを取り出した。そして、クラウンに向けて撃ち放った。
だが、クラウンは<天翔>を使って空中を駆けることで、その攻撃を避ける。すると、教皇の頭上まで来て、横回転しながら遠心力を使って切りかかった。
しかし、それは教皇の右手の剣だけで受け止められ、銃口を突き付けられる。
「まだだ!」
「なっ!」
クラウンはそこから左腕を伸ばすと左手を握った。その瞬間、教皇の体は時が止まったように動かなくなった。思わず自身の周囲を見ると張り廻られた糸が自身の体を縛り上げている。
「極震!」
「ぐばぁっ!」
クラウンは教皇の正面に立つと同時に頭を鷲掴みにして壁に叩きつけた。そして、防御無視の衝撃波をそのままぶち込んだ。その衝撃によって教皇の頭は壁にめり込む。
「おらああああああ!」
クラウンは雄叫びを上げながら、教皇の頭を壁に当てたまま壁沿いを走り出す。壁を削るような音を響かせながら。そして、中央に向かって思いっきり投げ飛ばした。
「調子に乗り過ぎですねぇ!」
「これが俺の生き様だぁ!」
教皇は壁に押し当てられた後も生きていて、空中で体勢を立て直すとそのまま空中で漂っていた。
クラウンはそんなこと最初からわかっていたみたいにすぐに教皇に向かっていく。
そして、クラウンが切りかかると教皇はそれを左半身をねじって避け、そのまま剣を突き出した。
クラウンはその攻撃を僅かに頭を傾けるだけで避け、右足で中段蹴りをした。
だが、教皇は左足で受け止めると銃口をクラウンに向け銃弾をぶっ放す。
しかし、クラウンは刀の柄の頭で銃口を弾いて軌道を逸らすと左拳を教皇の腹部へと叩きつけた。
「がはっ!......まだです!」
「ぐっ!......なめんなぁ!」
そこからは常人には見えない速度で数えきれないほどの打ち合いをした。そして、その間にクラウンの左腕は粉砕して、教皇は剣とショットガンを破壊された。
「ふんっ!」
「おらあああ!」
「「がふぁっ!」」
クラウンは回復させた左腕で、教皇は右腕で両者の腕がクロスするようにそれぞれの拳がそれぞれの顔に当たるそして、同時に吹き飛ばされる。
だが、クラウンは吹き飛ばされながらも体勢を立て直すと背後にある壁を蹴って、教皇へと向かった。
そして、同時に刀の先を教皇へと向ける。教皇はそれぞれの袖から二つの剣を取り出すとその剣をクロスさせて防御態勢に入った。
「終わらせる!」
クラウンはガードされているのも無視してその刀を一気に突きだした。その刀は剣に当たるとその剣を二つともかち割って教皇の胸にぶっ刺した。
だが、これだけでは教皇は死なない。だから、左手を手刀の形にすると教皇の首に押し当て切り離した。教皇の頭と首から下が空中で分離する。
そして、地面に着地するとクラウンはしばらく荒い呼吸を続けた。
「ウォ――――――――――――――――――――ン」
オオカミの遠吠えが聞こえる。ロキの声だ。どうやら丁度いいタイミングで一つ目のケリがついたらしい。
「くっ!」
クラウンは思わずふらつくと刀を支えにして倒れないように維持した。想像以上にダメージを食らって魔力を消費した。やはり<超回復>の使い過ぎは体に響くようだ。にしても.......
クラウンは破壊した銃器を見た。あの時もそうだったが、なぜこのような現代武器があるのか。そもそも文明としてそこまで発達しているのか。
.......いや、それはないはずだ。少なくとも俺がまだまともな生き方をしていた時にはこれらの情報は何も耳にしなかった。もちろん、意図的に隠されていたという見解も出来るから完全否定は出来ないが。
すると、クラウンは仮面にそっと触れた。左目の部分が割れ落ちている。
そして、そっと左目にある傷をなぞった。その瞬間、過去の映像が記憶を蘇り苦虫を噛み潰すような顔をした。
「終わったのね」
「......リリスか。いや、終わっていない」
「?......ああ、そっちの意味ね」
リリスは大教会に入ってくるとクラウンに近づいていく。そして、「お疲れ様」と言いながら肩を軽く小突いた。
「お前の方はどうだった?」
「あれはとんだ腑抜けね。勇者だからって身構えた私がバカだったみたいに。......そういえば、おそらく殺してないけど、いいかしら?」
「構わない。どうせあいつらからこっちに向かって来る」
クラウンはそう言うと大教会の入り口に向かって来る複数の気配を感じながら、不敵に笑った。
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