第12話 情報収集
最近、投稿時間が早まっていると思っているそこのあなた!( `ー´)ノ
その通りです!気まぐれで投稿時間が早まっているだけです!適当で申し訳ありません!m(__)m
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宿を出たリリスはとりあえず市場に向かった。その際、無意識に漏れ出ている催淫を防ぐためにローブを着て、フードを被りながら。
だが、それでもリリスの容姿自体が目を引くようであまり意味を成していない。しかしまあ、公衆の面前で発情されるよりはマシだろう。そう思っていたら、バカな男たちがふらふらと近づいてくる。
「なあ、何してんだ?」
「見てわからないの?買い物よ」
「ははは、それは確かに。だが、いいねぇー。そのツンツンとした態度は?」
男たちはなにがおかしいのかカラカラと笑うと一人の男がリリスの肩に手を置く。その瞬間、リリスは今にも蹴り飛ばしたい衝動にかられたが、一先ず我慢した。
「何か用?」
「ああ。ちょっと俺たちと遊ばないか?」
「こんな公衆の面前で口説くとは大した男ね。でも、その誘い文句はだいぶ古いと思うけれど?」
「俺は新しい型にははまらない性格でな」
「返しは上手いけど、言葉はおかしいんじゃないかしら?」
そう言うとリリスは何事もなかったように買い物を済ませ歩き始める。だが、その行く手を阻もうと男が立ちふさがる。リリスは眉をピくつかせながらも張り付けたような笑顔をしながら男たちに告げる。
「もう振られていることに気づかないのかしら?」
「諦めが悪い男でね」
「それは捉えようによっては素敵な言葉になるけど、今は最悪よ?あんまりしつこいようだと不幸が訪れるけどいいの?」
「へ~、そいつは知りたいもんだ」
「あっそ。警告はしたからね」
するとリリスは目の前に男に目を合わせるとその瞳を赤く光らせた。するとその光に同調するように男の瞳が光った。それを確認するとリリスは男の横を通り過ぎる。
平然と通り過ぎるリリスに後ろにいた男は咄嗟に引き留めようとしたが、その手をリリスの目の前にいた男が止めた。
そしてその直後、その男がリリスを引き留めようとした男を思いっきりぶん殴った。それからはあれよあれよと男同士の大げんか。いや、それ以上か。
「だから、言ったでしょ。不幸が訪れるって」
リリスはそのケンカを尻目に見ながら、バカにするように舌をちょろっと出しながら笑う。
「さてと、そろそろ始めようかしら」
男たちに絡まれてからしばらく経ち、昼食を取り終えたリリスは軽く伸びをするとある人物を探し、キョロキョロと辺りを見回す。
そして、途中で該当する人物を見つけたが、肝心な動物を連れていないのでそのまま見過ごす。
「ん~、いないな~......あ!」
探し始めてから十分ほどたったところで、リリスはお目当ての人物を見つけた。そして、その人物のところに行く......前に鏡の前に立ち、髪型をセットしたり、服装の身だしなみをチェックしなくては。
「髪型よし、服装よし、笑顔よし」
リリスはまるでデートで彼氏に会う前にするような行動をすると改めてその人物に会いに行く。
「あ、あの......」
「ん?どうしましたか?」
「少し道を教えて欲しくて」
「ああ、もちろんいいですよ」
「ありがとうございます!」
リリスはその青年の反応を見て、小さくガッツポーズした。そして、念のため確認をした。するとリリスの視点からは男の体からピンク色の靄のようなものが見えていた。
この靄は簡単に言えば自分に対する好感度だ。今はまだそこまで多くないが、掴みとしては上々の範囲だ。
ちなみに好感度が低すぎれば、この靄が黒く見える。今のクラウンなんかはそうだ。だが、あった当初よりはだいぶマシになった。あの時は黒い霧を見ているようだった。
そして、リリスは道を教えてもらいながら、ところどころ道草を食って好感度を稼いでいく。......よし、効果範囲内まで入った。なら、ここらでいいか。
「あ、ここまででいいですよ。歩いているうちに思い出してきたから」
「そう......ですか。それはよかったです」
リリスの言葉に青年は少し悲しそうな声で告げた。リリスはその声を聞いて内心ほくそ笑む。チョロい。
「あ、でも、案内してくれたお礼がしたいんですが、ここでは騒がしいので少し移動しませんか?」
「......!......いいですよ!」
あくまで正統・清純派を装ったリリスの言葉に青年は嬉しそうに答えた。その反応にリリスはニヤリと笑った。
数十分後......
「......なるほどね。だいたい地形は分かったわ」
「ハアハアハア......ありがとうございます!」
青年はだらしない笑みを浮かべながらリリスに感謝の言葉送る。だが、リリスはその言葉を受け取る様子もなく紙に書かれた王都の地図を眺めていた。
「うぐっ......」
「少しは踏ん張りなさい。男でしょ?」
「はい!」
青年は折り曲げかけていた腕を再度伸ばす。現在、青年がとっている姿勢は四つん這いで、そしてその上にリリスが座っている形だ。
加えて、リリスの肩には鳩の魔物がいる。そうこの青年の職業テイマーこそリリスが求めていた人物だ。目的は敵情視察だ。主に地形と兵士の配置位置と数、そして勇者。
リリスが青年を選んだのは単純に利用しやすいからだ。テイマーはテイムした魔物の声を聞けるらしいから。
もっと言えば鳥系の魔物をテイムしている若い男を探していた。さすがにおっさんはこっちが嫌だ。
若い男は可愛い子を見れば勝手に警戒心を緩めてくれるし、性欲が強いのかすぐに好感度が上がる。
もちろん、サキュバスの特性上そうなりやすいのもあるが、そうでなくても上がりやすい。あとはコントロールしてしまえばこっちのものだ。だから、あえてもう一度言おうチョロいと。
しかし、リリスは青年が鳩の魔物を使って拾ってきた情報を見ると段々と渋い顔をした。
「ねぇ、神の使徒多くない?」
今この場にはいない誰かに思わず話しかけながら。
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クラウンは宿を出るとすぐに高い位置を探した。そして、一番高い教会の屋根に上ると目を閉じて<気配察知>に意識を集中した。
すると、クラウンの脳内には都市の地形に沿って多くの青白い光が確認できた。もちろん、これは魔力が少なかったり、地形を把握していないとできない芸当だ。
だが、クラウンの魔力はほぼ底がなく、このために地図を覚えていたのだ。
「......あそこが一番人が多いな」
クラウンは小さく独り言ちると屋根を伝ってその場所へ向かった。そして、向かった先は路地裏だ。そこには多くのガラの悪い男たちがいる。
クラウンはなんの躊躇いもなくその路地へと降りる。すると男たちは驚くやいなやすぐに訝しげな目を向けた。
「なんだ、てめぇは?どこから来やがった?」
「......」
「おい、無視してんじゃねぇぞ?」
クラウンは男たちに興味無さそうにすると辺りを見回した。男たちはその態度に思わず腹を立てる。
どうやらここにクラウンのお目当ての人物がいないらしくため息を吐くと真横に右手を振り上げた。
「う、うぐぅ!?」
男は思わずうめき声を上げる。この男は先ほど声を荒げて腹を立てていた男だ。男は無視されたのが気に食わずクラウンの胸ぐらを掴もうと接近した。その瞬間、逆にクラウンに首を鷲掴みにされた。
男は必死に抵抗するが地に足がついていなくて踏ん張ることも叶わない。腕を必死に殴るがそれも無意味。
「ついでだ、お前に聞きたいことがある」
「おい、てめぇ!俺らの仲間に何してんだ!」
「ぶっ殺されてぇのか!」
「......外野がうるさいな」
そう呟くと男たちがいる周囲一帯に殺気を放った。その瞬間、さっきの威勢も虚しく石のように動かなくなった。それから掴まれている男も。そんな男たちにクラウンは告げる。
「安心しろ。俺は快楽殺人者ではない。お前らが邪魔しない以上殺すこともない。俺が求めているのは情報だ。お前らが知っていることを嘘、偽りなく話せ」
クラウンがその言葉を聞くとすぐに首がもげるほど顔を縦に振った。
「......ここか」
クラウンが男たちから引き出した情報から路地裏にある一つの階段へとやってきた。そして、階段を下った先にある扉をノックなしで開けた。
「ノックは礼儀だよ......お客さん」
開けるとそこは薄暗い部屋であった。だが、それでもわかる。クラウンを囲んで殺気だった男たちが武器を向けていることを。
それから、目の前にいる同い年ぐらいの少年がよく見覚えのある武器を向けていることに。だが、クラウンにとってはこんな殺気はそよ風に等しい。そのことに少年は驚く。
「これは驚いた。こんな殺気の中で身じろぎ一つしないなんて......その目つき、もしかしてこっち側かな?」
「俺はお前に用がある」
「なら、少しはこっちに愛想よくしなきゃダメだよ。まあ、男にそんな態度されても吐き気するけどね」
少年はクラウンの前でも飄々と言ってのけた。だが、口調とは裏腹に肌を刺すような警戒を止めていない。......なるほど「こっち側」とはそういう意味か。
だが、たとえ周りを武装した男たちに囲まれようともクラウンは態度を変えなかった。いな、変える必要も感じない。そう思ったのか平然と少年の方へ向かって行く。
「.....OK、わかった。みんな、武装を解除して」
「ですが!」
「僕の言うことが聞けないの?......それに無駄なゴミは増やしたくないからね。処理すんの面倒だし」
少年はそう言うと両手をあげ降参のようなポーズをした。それからクラウンを応接間へと案内した。
「さあ、座って。君は大物の取引相手と見た。......あ、飲み物いる?」
「いらん、ささっと話を聞いてもらう」
「せっかちだな~、もう少しリラックスでいこうぜ。リラックス」
目の前にいる少年はどうにもこうにもつかみどころのない相手だ。そのことにクラウンはやりづらさを感じた。
「そうだそうだ、自己紹介しなきゃね。僕はリック・コールマン。お客さんは?」
「クラウンだ。それで俺が聞きたいのは王都の情報だ」
「王都ねぇ......一応、情報網はあるよ。でも、あそこ中々に厄介なところでね。情報が高くつくんだ。ちなみにいくらだせる?」
「これぐらいだな」
そうして腰にあるポーチから取り出したのはたっぷりと金貨が入った袋だ。額でいれば軽く屋敷は二つ買えてしまえるであろう。それを見た瞬間、初めて少年の目つきが変わった。
そして、先ほどとは違って冷たい表情をしながらクラウンに尋ねる。
「こんな額をサラッと出したけど......そんなに情報を集めて何する気?」
「さあ、なんだろうな。だが、あるに越したことはないと思っただけだ」
「......くくっ、あははははは!こいつは凄い!大物だよ!」
「で、逆にお前はどれだけ出す?」
「君とはこれからも仲良くやっていきたいからね。全て、話すよ。額は半分でいい」
そして、クラウンはリックから聞けるだけ全てを聞き出した。それから話が終わるとクラウンはすぐさまその場を後にしようとする。その後姿を見ながらリックは告げた。
「それじゃあ、予定通りにね」
「ああ、わかっている」
するとここでふとクラウンに聞いてみたいことができた。そして、振り返るとリックに尋ねる。
「そういえば、お前は神を崇めないのか?」
その質問をするとリックは大きく笑った。まるでバカな質問をしたように。
「神?なにそれ美味しいの?......そんないるかいないかもわからないものを信じるより、お金の方がよっぽど信じられる。それから僕の見る目だね」
「くくくっ、そうか」
「そうそう。でも、君はそのもはや概念に近い存在を殺そうとしている.....違う?」
「!」
クラウンは大きく目を開いた。リックから話した情報についていろいろと聞き出しているときも自分の目的は一切話していない。なのに、バレた。その事実にクラウンは目を鋭くする。
だが、少年はその目をあまり気にしてないだけだ。
「あ~、ごめんごめん。ちょっと、カマかけただけ。君が話しているとき、君には殺したい相手がいるとは言っていたけどその言い方がゴールに見えなくてね。自分でもバカなことだと思ったけど、でもそれで君の名前にも合点がいったんだ」
「それで?」
「まあまあ、怒らないでよ。だったら、余計に手伝いたくなっただけさ......君の目的にね。もちろん、深い意味でね」
「そうか......王都はまだ前哨戦でしかない。お前らの情報を期待している」
「OK、任せて」
そして、クラウンはその場を後にした。
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