『海底のそこ』
不意に、目が覚めたらいい。
ここが夢ならいい。
現実がもっと、美しいのなら。
もう何も不満はない。もう何も不安はない。
僕の心は一人だけ。僕は心に一人だけ。
それでいい。それだけでいい。
海底のそこが寒くても、火山がきっと温めてくれる。
海底のそこが暗くても、太陽がきっと照らしてくれる。
空に太陽は見えない。空にはきっと、始めから何も無いんだろう。
浮かんでいる雲だって、飛んでいる鳥や飛行機だって、きっとなかみはからっぽなんだ。
そらはからだから、そらはそらなんだ。