転生
「彼女いない歴<年齢」→リア充
「彼女いない歴=年齢」→皆
ではこれ「彼女いない歴>年齢」は?
1 転生モノの主人公
2 作者
3 そんなのいる訳ないじゃん
気が付くとそこには何もなっかった。ただ無だけがある。これが死というものなのだろうか。
何もなかったそこに一条の光が現れる。それは僕の足元まで伸ばされていた。
今の僕に身体はあったのか。
そう思いながら何かに惹かれるようにその光の上を歩いていく。
途端、何もなかったそこが眩いばかりの光だけの世界へと変化する。
「貴女は?」
「私はサタファナ。初めまして、遠山さん」
目の前に1人の女性が座っている。僕の作った彼女たちも美しかったが、次元の違う何か別の魅力を感じさせた。実際、次元が違うのだろう。名前が本当なら彼女は。
「《創造神》ですか」
「あら、貴方は『様』をつけないのね」
「生憎、《創造神》は全知全能と言われていますが、なら世界はもっと完璧だったでしょう」
世界は、特に人は不完全が過ぎる。
「なら私は偽物?」
「えぇ、少なくとも神ではないのではないかと思っていますが?」
「残念。私は神よ」
「なら全知全能だと?」
「全知ではないのだけれども、世界は完璧に出来ているわ」
「世界が完璧?」
「そうよ。私基準で考えればね」
その一言で彼女の言い分を理解する。
「……」
「そんな顔を顰めなくてもいいんじゃないかしら。貴方だって色々な子たちを創っていたじゃない」
「……」
「そして自分の予測を超えられた末に亡くなった」
「……」
「なら貴方にもわかるでしょう?」
「……つまり私が貴女の予測を超えたと?」
同意を求めるような質問を質問で返すと初めから嬉しそうだった笑顔をさらに濃くした。
「えぇ。あそこまで完璧な魂を創り出すとは思わなかったわ」
「そうですか。それで、僕は何をすればいいのですか?」
「少しの間だけ話し相手になってちょうだい」
「わかりました。では先程 『完璧な魂』と言っていましたが不完全な魂がもあると?」
「あら?随分と潔いのね」
「他にする事もないですから」
「ふふっ」
別に彼女を喜ばせたい訳でもなかったのだが、誰かと話をしたい気分ではあった。
それからこの場所に時間があるかはわからないが、彼女の気が済むまで会話を続けた。
「それじゃあ、そろそろお開きにしましょうか」
「本当に貴女は勝手だ」
「神ですもの、貴方たちからすれば皆そうだわ。それでこれからどうしたい?」
「これから?」
「ここまでのお礼に転生か消滅か選ばせてあげるわ」
「では消滅で」
「本当に?」
「……えぇ」
「貴方、やっぱり嘘が下手なのね」
「僕が嘘をついていると?」
「私にはそう見えるわ」
「……」
そうなのだろうか?
「悩んでいるなら転生すればいいじゃない。そしてダメならまたここにきて消滅すればいいのだわ」
「……では転生で」
「うんうん。で、何になりたい?」
「何に?」
「次の一生では何になりたいの?」
そういえば、うちの子にサブカルチャー好きの子が転生がどうのこうの書いてあった本を読んでいた気がする。彼女だって十分異端な才能を持っている筈なのに、主人公みたいにチート?能力が欲しいとか僕をズルいとか言っていた。
異端は異端でしかいられないというのに。
「……僕はそこら辺落ちている石のようなもので十分ですよ」
「わかったわ」
普通がいいと言った僕にあっさりと了承すると、すぅっと近くにいた彼女の姿が遠ざかる。いや、僕がここから遠ざかっているのだ。
「またね、翔啓くん」
その言葉の返事はすることが出来ず、また意識が途絶えた。
そうだなぁ、今度は————