0話、そういえばあの時のあの子は。
俺は一年後に控える就活に怯えている。今も落単を回避すべく、 2時間前に提出期限を過ぎたレポートを深夜2時から書いている。
無論、このレポートは受け取ってもらえるかどうか分からない。教授に土下座をしてでも受け取ってもらわねば留年が見えてくる、それだけは避けなければならない。
ならなぜこんな時間からとっかかっているかって?俺も流石に今日、正確には昨日起きた時にはレポートをやろうとしてたさ、普通にやれば半日もかからない。起きた時は午前8時、提出期限は今夜24時、そして今日は何も予定がなく1日中レポートに専念できる。完璧だ。
俺は歯を磨き、顔を洗い机に向かった。さあさっさとこんなレポート終わらせて後は存分寝よう、貴重な休日だ、無駄にはできん。
ピンポーン。なんとタイミングが悪いことであろう、チャイムの音がした。いや、このボロアパートは壁がアホほど薄い、もしかしたら隣の部屋が鳴らされたかもしれない。なら出なくてもいいしもし俺の部屋が鳴らされたんだとしても変な宗教勧誘だったらめんどくさい、居留守を使わせてもらおう。俺はペンを握った
ピンポーン。また鳴った。すまないな、俺は今居留守を使っていて在宅していないんだ。また日を改めて来てください。
すると鍵が開く音がした。え?と思ったのも束の間突然女の子が部屋に入ってきた。
刹那、発砲音が聞こえた。気づくと脇腹が熱く、何かが流れ出している感覚がした。よく分からないまま俺は床に倒れる。いてぇ、声が出ないほどいてぇ、死ぬのかな俺、あの子が俺を殺したのか。スーツ姿の女の子、どこか見覚えがあるようなないような…どこで恨み買っちゃったんだろうか…
意識が朦朧としていくなか、下から覗き込む体勢なのでスカートの中がバッチリ見えていることに気がついた。青か…まさか最期に見たものが自分を殺した謎の女の子のパンツだなんて…
これが俺が見た夢の内容だ、起きたら夜の2時、もちろん脇腹に穴なんて空いてないし机のレポートは白紙のまま。どうやら1日中寝ていたらしい、なんと間抜けなのだろうか。1日無駄にした挙句レポートの提出期限も間に合わず、結局徹夜をしてレポートをするハメになった。