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VS盗賊

「いや、無理。 一対二はさすがに……」


 陸は盗賊二人を見て、勝てるかどうか不安になってしまう。

 向こうは何度もこういうことをして手馴れている、そういう雰囲気を感じさせる。

 それに比べて、自分はまだ一回も戦闘をしたことを無い。


「はっはっは、今更怖気づいたかぁ? それも仕方ないだろうなぁ、俺達はこれでもランクCだ、そこいらの冒険者とは格が違うぜ。」


 盗賊は大声でそう叫ぶ、それを聞いて野次馬はそんなのに勝てるわけ無いとヒソヒソ話している。

 だが、その言葉は陸達にとってむしろ好都合だった。

 ダニーから、ここで注目されれば後々の行動が楽になる、と聞いていた。

 ダニーとリリーはランクC以上、陸もそれに近いと推測出来るため、思っているより楽勝で終わると考えている。

 しかし、それはダニーが推測で言ったことでしかないため、今更だが、不安になってくる。


「……ダニーさんを信じるしか無いか……固有魔法――『武器召喚レベル1』」


 陸の手にオートマチックガン、正しくはコイルガンが現れる。

 それを見て、野次馬たちは何だあれ、と話す。


「なんだぁ? その武器は? 刃も弦もない、そんな意味の無いやつを使ったって、俺達に勝てるわけ無いだろうなぁ!」


 盗賊たちは見たことの無いこの武器を使えるわけが無い、と思っているらしい。

 仕方がないだろう、この武器はこの世界には、存在しない。

 知らない、と言うことは、逆に自分たちの宣伝になるのでは? と言うことで、ダニーができるだけ使うように、と言われていた。


「ホント、ダニーさんの推測は怖いな……」

「おっと、そこまでだ、俺達も忙しいんでなぁ、こんな茶番に付き合ってる暇は無いからなぁ」


 盗賊の二人は、左右に別れて、陸に襲いかかる。

 軽く、不意打ちを受けた気分で、ちょっとムカつく。


「魔力を限界まで絞って……。」


 陸が恐る恐る引き金を引く。

 すると音もなく盗賊の一人が二、三メートル吹っ飛び、木にぶつかり、気絶した。

 出来る限り魔力を絞ったが、それでも相当な威力になった。


「な……、な、何なんだ、その武器の威力は……」


 陸に攻撃しようとしていた、もう一人の盗賊は驚きを隠しきれない。

 見たことも無い、どうやって攻撃するかもわからない武器が、仲間をふっ飛ばしたのだ。

 吹っ飛ばされた盗賊も、ランクCで弱いわけでも無い、むしろこの街では十分強い。

 しかし、コイルガンの威力が高すぎた。

 だが、盗賊や野次馬たちは、これが全力だと思っていた、しかし、陸の言った一言で全員が同じ反応をする。


「うわぁ、これ、ほとんど魔力を入れてないのにこんなになるんだ……。 気をつけないとだな」

「な!? 今のが本気じゃないだと!?」


 まぁそうなるよね。

 陸は呆れてため息をつく。

 この武器の力は普通じゃない、化け物だと。

 まぁ、終わったことをどうこう言うべきでは無い。


「くそ、こうなったら先にあの女をやってしまうか……」

「! リリーさん!」


 盗賊の一人が陸の武器を相手に一人では無理と判断し、リリーに向かってナイフを投げる。

 慌てて、陸が叫ぶと、いきなり目の前に現れた壁にナイフが突き刺さる。


「なに!?」


 盗賊は、連続で信じられないものを見る。

 リリーは一瞬で具現化魔法を唱え、身を守った。

 具現化魔法は、発動者の技術で発動までの時間を短縮できる、一瞬で完成させるには相当な訓練が必要と言われている。

 規模としては小さい方だが、それでも難しいことだ。

 それに、壁などの防御力は発動者の魔力に依存する。

 先ほどの攻撃は盗賊にとって全力に近い、それなのにこんなに簡単に防がれると、盗賊達のプライドが成り立たない。


「ち、お前ら逃げるぞ!」


 盗賊は勝ち目が無いとわかり、仲間達と逃げようと全員を呼ぶ。

 だが、誰も逃げる気配が無い。

 なぜなら、すでに全員が陸達、三人によって倒されていた。


「なん……だと」


 盗賊は驚きのあまり、その場で止まってしまった。


「そこで止まらないほうがいいですよ、っと」


 陸が後ろからコイルガンの引き金を引いた。

 そのまま、盗賊はさっきのように吹っ飛ばず、その場で気絶してしまった。



*****************************************************




「ダニー、やっぱり不安だよ……」

「はは、大丈夫。あいつは獣人、しかも系統はリリーのほうが上。だから心配しなくても勝てるよ」


 そう言ってダニーはリリーの頭を撫でる。

 すると、不安で一杯だったリリーはよし、と気を引き締めて、盗賊の方を見る。


「さぁ、お嬢ちゃん、君はここにいるべきでは無い」

「え? どうしてですか」

「どうしてか? 答えは簡単、君は弱い。戦い向きでは無いんだ」


 盗賊がニヤリと笑いながら煽るように話す。


「……あなたは心が広いんですね。 でも……あなたのほうが弱いですよ」

「!! な、何を……い、言っている……」


 リリーは、声のトーンを下げて話す。

 さっきまでの人見知りらしい声とは打って変わって聞くだけで恐怖を感じる。

 そして、盗賊の目を見る。


 すると、目を合わせた瞬間、盗賊の体が思い通りに動けなくなる。

 まるで誰かに操られたように。


「な、なにを……したんだ……」

「簡単ですよ。 あなたは私より弱い存在です。 あなたは獣人、それもパワー型のサイでしょう?」

「な、なぜ……そのことが……わ、わかる……」

「本当のようですね、なら私には勝てませんよ」


 盗賊は、額に嫌な汗が流れる。

 自分が獣人である時点で他の人とは身体能力が違う、しかもパワー型のサイの一族。

 絶対、同格相手には負けることは無い、この盗賊団の中では最も強い、自他共にそれを認めていた。

 だが、威圧だけで敵わない、そんなことはありえないのだ、たとえランクAでも、威圧だけでランクCの人を制圧出来ることは無い、獣人の中でも最強クラスの一族でもなければ。

 しかし、今リリーの威圧だけで体が動かない。

 そのことから、一つだけ思い当たるフシがある。

 信じたくは無いが。


「貴様……も……獣人か……」

「そのとおりです。 ただ、あなたと違うのは……」

「ライオン族、だったと言うところかな?」


 ダニーが話しに割って入る。

 すでにダニーが相手をしていた二人は地面に倒れている。


「あ、ダニー。 終わったの?」


 リリーがいつも通りの声に戻り、ダニーに近づく。

 その瞬間だけ威圧が解ける。


「! おっと、危ない」

「え?」


 リリーの威圧が一瞬だけ緩んだ瞬間、盗賊はリリーの心臓目掛けて、剣を刺そうとした。

 それに気づいたダニーが、リリーの前に立つ。

 リリーが慌てて振り向いた時にはすでに盗賊が地面に倒れていた。

 盗賊が立ち上がった瞬間、魔法を目の前にかけられ、何も考えれずそのまま意識を失ってしまった。


「リリー、ダメじゃん、威圧を解いちゃ。 全く」

「ご、ごめん」


 リリーは俯き、しょんぼりしながら返事をする。

 ダニーは、少しきつかったかな? と思う。

 しかし、リリーの本気は見たことが無い。

 下手に本気を見せたら、それこそ周りの獣人達が大変なことになってしまう。

 それだけはなんとしても避けたほうがいいと考え、陸の方を見る。

 ただ単に、あの見たことの無い武器の性能を見て、自分の魔法に何か応用出来ないか探るためである。

 そして、盗賊の一人が吹っ飛び、まだ上の性能になると、それがわかった瞬間、ダニーは別の方向に考えを始める。

 少し、考え事をして周りの注意が疎かになった瞬間、陸の声が響く。


「! しまっ――」


 急いで魔法を使おうとしても、魔力を溜める時間が足りない。

 と、その時、リリーの魔法の使う声が聞こえた。


「大丈夫。 具現化魔法――『ウォール』」


 その瞬間、リリーとダニーの前に壁が出来る。


「ね、大丈夫って言ったでしょう」


 リリーが笑顔で言う。

 取り敢えず、どうにかなったと思うリリーだった。



*****************************************************





 さて、どうやって倒すか……

 陸と、リリーはどうにか……なるかな?

 さっきからリリーが不安そうにこちらを見てくる。

 取り敢えず、リリーの相手は獣人だが、リリーが一様、ライオン系だから、勝てない相手では無いだろうし、陸のあの武器……性能がわからないが、多分大丈夫だろう。

 あ、でも、さっき陸にここで色々やった方がいいぞ、と言っちゃったからな、まぁ、あれをどう捉えたかは、別だな。

 それより、人の心配をするより、自分の心配をしたほうがいいのかな?

 なんか、盗賊の二人が空中を飛んでいる、さっさと片付けて二人のを見るとするか。

 その前に、ちょっと煽って見るか。


「盗賊の二人、三十秒位で終わらせるぞ」

「何!?」

「舐められてもらっちゃ困るぞ、俺達二人は獣人属、鳥系だ。お前は木属性、空中戦は苦手だろうなぁ」


 ……まんまと引っかかりやがった。

 てか、最後の一言、逆に煽られた感じがする。

 まぁいっか。

 さっさと倒せばいい話しか。

 そういえば、俺、空中戦をした回数が少なかった気がする。

 まぁ、木属性だとそうなるよな。

 他の属性でもいいんだが、後々の説明がめんどいよな。

 さて、どうしたものか。

 手っ取り早く落とすか。


「通常魔法――『森の息吹』」

「はぁ!? 通常魔法だと、そんなものをどうやって――」


 よし、大体こんなもんだろう。

 森の息吹を使い、木の弦を作り、それを高く長く伸ばして、そこから一気にバラの棘を作れば相手の翼に刺さって落っこちるだろうと思った。

 やってみたら、空中に綺麗なバラ庭園が出来て、盗賊二人が落っこちてきた。

 やり過ぎたか?

 まぁ、いっか。

 これで倒せたなら。

 一様、この二人は気絶しているだけだし。

 では、リリーの方でも見てみるかって、……うわぁ、久しぶりに見たな、あれ……。

 最後に見たのいつだっけ? あんな声で会話するの、…………いや、あれが会話と呼べるのだろうか。

 むしろ一方的な脅迫だな、あれは。

 獣人族じゃなくても怖いな、今度あの状態で感情をコントロールするようにしてみるか……

 てか、そろそろ止めないとヤバイか?

 相手がかわいそうだ。


 止めに入った、というか、無理矢理会話に参加した。といったところかな?

 あれが会話と呼べるなら……


 そんなことを考えていたら、盗賊の威圧が解けて、リリーに襲おうとした。


 あ、まぁ、無駄だけどね。


 リリーの前に出て、ちょっとだけ魔法を放つ。


 結構全力で来たらしいけど、殆ど同じパワーの魔法で相殺する。

 でも、殆どと言っても、若干こちらの方が魔力を込めて放つ。

 てか、敵さん殆ど魔力無いじゃん、どんだけ削ったんだよ……

 それより、リリーに注意しとかないとだな、まぁ、また今度細かいことをやるとしよう。


「リリー、ダメじゃん、威圧を解いちゃ。 全く」

「ご、ごめん」


 あ、あれ? 思ったよりへこんでる? やり過ぎたか?

 仕方ないか…… それより、陸の方はどうなった?

 

 おー、一人吹っ飛んだ。 

 スゲー、あれを使った応用の魔法が無いかな? 

 そう考えていたら、陸の独り言が聞こえる。

 って、なんだと!? まだあれで全力じゃないのか。

 ということは、あれを使えば……

 …………いや、止めよう、使いこなせる自信が無い。

 どんだけ強いんだよ、武器屋でもあんなパワーがなかったぞ。


 とか、考えを膨らませていたら、陸が叫ぶ。


 何かあったのか?

 ! しまった! 今からだと魔力を溜めるのが間に合わない、ど、どうする?


 その瞬間、後ろからリリーの声が聞こえる。


 まて、今から具現化は、って早!

 具現化ってこんなに早かった? もしかして、リリーお前、魔力を溜めたままだったか? 確か最初に魔法の詠唱をしていたよな…… それか……

 

 しかし、ここまであっさりと終わるとは……

 思っていたより簡単だったな、まぁ、これからまたトレーニングをしなくちゃいけないところがあるけど……

 さて、周りの野次馬が五月蝿い、なんか、スゲーとか、絶対敵わないとか、俺だったら勝てるとか言っているやつがいる。

 俺だったら勝てる? ふざけるな、無理だろ。

 あ、それより、ギルドに戻らないとか。


「リリー、陸。 ギルドに戻るぞ、付いてこいよ」

「ダニー、待ってよ~」

「あ、ちょ、ちょっと、急ぎすぎじゃないですか」


 はは、そうだろうな、急がないとだからな。

 っと、その前に、野次馬達が邪魔だね。

 俺達の後を追うようにぞろぞろとついてくる。


「すいません、野次馬の皆さん。 俺達、ちょっと用事があるので、ついてくるの止めてもらいませんか」


 …………だめか、何でも、あの盗賊はここら辺では、かなり強い方だったらしい、それを、あんなに簡単に倒したせいで、みんな興味をもってしまったらしい。

 おまけにこいつらは、ある盗賊団の幹部に近い人たちらしい、まぁ、結果から言えば盗賊団に喧嘩を売ってしまった。

 だから、どこかで命を狙われるかもしれない、だからそこを見てみたい、と言っている。


 それで良いのか? 逆に命を狙われるぞ……

 と、説明したが、どうも聞く耳を持たない。

 仕方ない、閉じ込めとくか……


「通常魔法――『森の息吹』」

「「「「!!」」」」


 よし、これでいいかな。

 とりあえず、あいつらは木の中に閉じ込めてみた。

 でも、火属性のやつがいたら、無駄かな?

 それより、さっさとギルドにいこう。

 時間の無駄だ。

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