“broken piece1”
=プロローグ=
私は、空を知らない。
ひとひら落ちた花びらを私は知らない。
知らないけど、今もこれからもずっと、空はある。花びらは舞い落ちる。
私はそれを知っている。
―――いや、きっと知らないんじゃない。
どこかで、覚えているんだ。ただ、それを思い出せないだけ…
僕は、あの懐かしい青空をキミに届けたい―――
第一章『夢と記憶』
この景色はなんだろう?この景色を、私は知らない。
知らない、知らない、知らない!!
……知らないはずなのに、なんでこんなにも胸が痛むの?
もう、いやだよ、こんなの…助けて!誰か助けて!!
「……追いかけてこないで!!…なん…なの、いや!助け…(モフッ?!)」
「な〜に朝から、寝ごと連発してんだぁ?早く起きろよ!!」
「ん〜…。。。えっ?!なんで、ここに雄飛がいんの?まさか、お見舞いに来てくれたの?」
「るせぇー!別に、見舞いにきた訳じゃねぇよ!!」
「そっかぁ?じゃぁなんでここにきたの?」
「いや…それは…あっ!あれだよ!その、海行かねぇか?」
「はぁ?!なに言ってんの?私は無理だよ。いつも言ってんでしょ!外に出たら、北村先生に怒られちゃう…。」
「…わりぃ。そうだったよな…」
「別に謝んなくていいよ!雄飛らしくない!!」
「んだと?!失礼な!!」
こんな、変な会話から始まる1日。まぁいつものことだ。
私の名前は、桃塚瑠紗。13歳の中学2年生。
毎日、元気に過ごしてるし、なんの問題もない毎日。でも、私は外に出たことがない。生まれたから1度も…
だから、外の世界のことは何も知らない。今まで、病院しか見たことがなかった。
この病気のせいで―――
「あ〜ぁ、私も外行きたいのになぁ…なんで、こんなんになったんだろ…」
「………。」
「ん?あっ!ごめん、いまのなし!!しょうがないもんね。こんな体じゃ…」
「そんなことねぇよ!そのうち、治るって!!なっ?」
「うん。ありがと♪」
さっきから、私と話してるこいつは、日向雄飛。私と同じ、中学2年生。雄飛は、昔からの友達。まぁ幼なじみだ。
「それよりお前、なんの夢みてたんだ?うなされてたぞ?」
「あぁ〜…うん。なんか、さいきん変な夢みるんだ。」
「変な夢?」
「うん。なんか、知らない景色が…毎日同じ…夢の中で、私を苦しめるの。」
「そうなんだ…」
「ん?どうした?」
「別に、なんでもねぇよ!!また、あとで来る。じゃあな!」
「えっ!あ、うん。ばいばい〜」
雄飛どうしたんだろ?いつもと様子が違った。。。
―――ズキッッ?!!!!
「痛っ!痛い!!痛い!!!助けて!!!」
なに?!この頭痛!あれ、失っていた記憶が…
痛いよ……
[a broken piece]…カケラ…
虹のカケラ…どこに消えたの?
私の記憶は、どこに消えたの―――…?