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カエル

すーぱーえんじん

作者: KazekaHun

夕焼けを輝かせるものは空に浮かぶ雲や大気中の埃。

それらが長波長が残った太陽の光を散乱させる。

澄み切ったとは言えない空こそが赤く赤く染まっていく。


今日の空もぼんやりと見上げてしまう程に鮮やかに、幾重にも棚引く雲の輪郭を燃やすように赤い夕焼けだった。

つまりは天体観測には向かない空。


「例えばなんだけど」

というのは彼女の口癖で、俺の中でするべき事が途切れるたびに思い浮かぶフレーズだった。

自分の意思をはっきりと伝える事に抵抗のある彼女はいつもそうやって話し始めるのだ。

俺は無意識にそれをつぶやいていたらしい。

「……あ、何だって」

それを聞いた隣の奴が聞き返してきた。

暗くなってきた空の下でそいつの吹かす煙草の火が夕焼けを反射するように燃えている。

「何でもないよ」

「独り言か?気持ちワリーな」

「うるせぇ」

「疲れてんだろ。今日ぐらいはサボって飲みに行こーぜ」

「そうだな」

俺の手の中でも煙草が燃えていた。

流れる紫煙は夕焼けの輝きの糧になっているのだろうか。

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