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剣術 槍術 弓術

「よし、今日から俺と一緒にサミーも朝は剣術の訓練をしてもらうぞ」

「うん!」


サミュエルが転生して七年が経過し、いよいよ剣の訓練も始める事となった。

あの初めて魔法を使用した日から、見違えるほど扱える魔法の数が増えていた。一つの魔法以外は初級であるが。

その一つの魔法とはゴーレム魔法である。そのゴーレム魔法は青銅製の鎧と武器を装備したゴーレムを二体までなら一度に生成し、尚且つ言葉を発し命令するのではなく心で念じるだけで自由に操作できるほどに成長していた。

サミュエルに自覚は無いが今現在、この世界に存在する天才児と呼ばれる魔法使いの中でも一番といえるほどに。

因みに母親のヴェロニカは「天才よ!サミーちゃんは未来の大魔導師よ!」と親馬鹿を発揮していた。尤もこのまま驕ることもなく学び続ければ大魔導師″魔法を使用する者たちの道を導く者″という意味の大魔導師になれる可能性も満更ではないが。


「サミーはゴーレム魔法が得意だろ。なら尚更、様々な剣術、槍術、弓術を学んだほうが得だからな」

「何で?」


ジャックの言葉に疑問を投げ掛けるサミュエル。


「何でって、そりゃあ……………。ヴェロニカ説明してやってくれ」

「???」

ジャックが庭の物置小屋の影に視線を向け言葉を発した。そしてサミュエルがそちらに視線を向けると「見つかっちゃった 」という表情をしたヴェロニカが出てきた。

どうやら初めてサミュエルが魔法を使用した時に立ち合えなかったのでせめて初めての剣術はと隠れて見ていたようだった。


「うぉっほん!……………えーと………何でかって言うと、人形ゴーレムの魔法は術者に出来る動きしか出来ないのよ。だから人形ゴーレムの魔法を使用する者は剣術などの技術をそこそこのレベルまで習得する人が多いのよ。まぁ…皆がみんなって訳じゃないけどね」


照れ隠しに咳払いし、真剣な顔で説明するヴェロニカ。

そんなヴェロニカの説明に補足させてもらうと、ゴーレム魔法には二種類あり、一つはサミュエルが気にいって使用している人の形をしたゴーレム魔法があり、もう一つは魔物の形を模した物や動物を模したゴーレム魔法がる。

後者のゴーレム魔法の場合は魔物や動物の動きを細かく分析し脳内で明確にイメージしなければならない。尤もイメージや分析が未熟でも構わないがそのぶん弱く稚拙な動作しか出来ない。

だが曲がりなりにも魔物や動物の形を模して生成される為イメージや分析が未熟でも、人形ゴーレム魔法を苦労して習得するより安易に力を手にしやすい為この動物や魔物の形を模したフィアスゴーレムという呪文のゴーレム魔法を使用する者たちが多い。


「でも弓術はいらないんじゃない?だって風魔法があるし」


風魔法があるので飛び道具を使う技術は習得しなくても問題ないのではないかと考えているサミュエル。


「いつも万全の状態で戦闘するとは限らないぞ。例えば体力、精神的といったものが少ない、疲弊した状態で戦闘を避けられず戦う場合もあるからな。そうなると魔力の源が少ない状態で強力な魔法を使用出来ず死ぬ事になる。だが確かに世間一般の冒険者は剣術のみ、槍術のみ、あるいは魔法のみと一つのみを習得するやつが多い………………。でもサミー、そんな事では優秀な冒険者にはなれないぞ」

「そうよ。私も魔法をメインとしているけど短刀術、弓術はそこそこ使えるわよ」


ジャックの説明ももっともである。

Dランク冒険者までなら一芸のみ出来れば問題ないがCランク以上になると過酷な依頼も多くなる為、沢山の戦闘技術を習得する方が生存率が上がるのである。


(確かに……冒険者になれば自分の想像も出来ないような状況などいくらでもあるだろうな………。)

「うん!分かった!俺、頑張るよ」


深く頷き納得した様子のサミュエル。


「良し、それじゃあ今日はオーソドックスに普通の剣術を教えるぞ。まぁ取り敢えずこんな感じかなぁ~と自分で思う通りに素振りしてみろ」

「了解!」

「サミーちゃん頑張って!」

「うん!」


ヴェロニカに応援されながら刃引きされている剣を握り素振りを始めるサミュエル。


(うわぁ………久しぶりだな、素振りなんて。約十九年ぶりかな)


久しく素振りなんてしていなかった為、最初はどことなく窮屈そうな印象の素振りだったが。三、四十本目には昔の感覚を取り戻し楽しくなってきたのだろう、久し振りに旧友に会ったといった表情の笑顔で黙々と素振りをしている。


「おいおい…………。なかなかどうして」

(少し変わった振り方だが……………今日初めて剣を握ったとは………………剣の才能に恵まれているとしか思えない)


目を見開き驚いた様子のジャック。

驚くのもしょうがないだろう。前世で真剣に、全力で剣道に打ち込んできたのである。

最初は変に思われないようにしようと考えていたサミュエルだったが楽しくなってきて今出せる力、全力で素振りをしているのである。

しかも剣道独自の素振りの仕方である、跳躍素振り等をやっているのだ。


「サミー、そこのサミー用に設置した背の低い丸太に打ち込んで見ろ」


初めてとは思えぬ素振りに、尚且つ最初に比べどんどん良くなっていく素振りを見て、打ち込み稽古に切り替えさせるジャック。

どんどん良くなっていくとはいっても、それはサミュエルが昔の感覚を思い出してきたからといった方が正しいのだが。

そしてジャックの言葉に頷き丸太に打ち込み始めるサミュエル。

切り返し面、胴打ち、逆胴打ち、とカンッカンッと耳に心地良い音を鳴らし打ち込む。


「…………………………………………」

(才能なんてもんじゃない。まるで……………以前から知っているといった体の動かし方だ!)

「サミーちゃんは魔法や勉学だけじゃなく剣の才能もあったみたいね!ねっ、ジャック!」

「…………………………………………」

「聞いてるの?ジャック!」

「あ……あぁ。そうだな、驚いたぜまったく!」

(おそらく……俺やヴェロニカに隠れて訓練していたのかも知れんな。そんなに剣に興味を抱いていたのか……なら冒険者に登録出来る十五才までに俺の持ちうる技術を全部サミーに教えてやるか)


というように都合良く誤解してくたジャックだった。

まぁ都合良くとはいっても、こいつには前世があって剣術を学んでいたんだなとピンポイントに考える、気づくことが出来る、そんな人間などいる筈もないが。


「良しっ!今日はそれぐらいでいいぞ。訓練出来る時間は今日だけじゃないんだゆっくり焦らずやっていこう」

「うん!」


努力とはなんと楽しいことか、と満面の笑みで返事をする。

そして午後は魔法の訓練、精神力の鍛練をして、一日を終えた。


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