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情熱の炎

(朝かぁ……しかし昨日はマジ驚いたな…目ん玉飛び出るかとおもったわ)


大パニックを起こした翌日、あれは夢ではなく現実なのだと思い返していた。


(魔法かぁ、俺にも使えるんだろうか…使えるなら…やっぱり使ってみたいな)

(だけどどうやって使うんだ?やっぱり呪文とか唱えなきゃ魔法はでないのかな?とりあえず……やってみるか)


考えていても仕方ない、挑戦あるのみだ。とばかりに指を天井に向け″火よ指先から出現せよ″と念じるが出る気配がない。

何度念じてみても結果が変わることは無かった。


(やっぱり呪文を唱えなきゃならんって事かなぁ……いや待てよ、魔法ってゲームみたいにMPとか必要なのか?地球ではMPを持ってる人間なんていないし、今までなかった物が自分にあるかどうか自分の体を探ってみるか)


そう考えるなり、目を閉じ自分の体に何かないか、今まで当たり前の様に持っていた力、体力や精神力といった物をイメージしながらそれ以外のエネルギーといった物がないか確認していく。

剣道をやっていた時の様に体の不調がないかあるいは心を静かに落ち着ける為等にやっていた瞑想の様に。

そうしていると体の中に不思議な物を認知した。より正確にいえば今まで無かったが突然体の中に体力、精神力といった物ではなく何か別のエネルギーが溢れだしたと言ったほうがいいだろうか。


(何だ?いきなり何かが溢れだした)

(これがMPじゃないか?今のうちにもう一度念じてみよう)


不可思議なエネルギーに驚いている様子の康太。

そしてこのエネルギーが消えてしまう前にと素早く心を静め、また念じてみる。

しかしいくら念じてみても火が出現する事は無かった。

なら何だこの体全体に溢れ出すエネルギーは、と考えながらベッドの柵を手で掴むと転生して弱く、脆くなった握力が前世ほどとまではいかないが赤ん坊とは思えないほどに強く握りしめている事に気付いた。


(凄い、握力が強化されてる。このエネルギーは体の身体能力を向上させる効果があるのか!?)


自分の手を見つめながらこのエネルギーの正体は何なのだとかんがえているようだ。

今康太がかんじているエネルギーはこの世界で魔力と言われているものであり、体力と精神力の二つのエネルギーを融合させ魔力に変換する技術である。

因みに普通この世界の人間はこの魔力に変換するという技術を身に付けるのに世間一般では最低でも十年はかかると言われている。

さらにこの魔力は魔法を使うためにはもちろん必要であるが魔法を使うためだけでなく体全体に魔力を満たせば身体能力が向上しさらには一部分腕だけに満たす事もできれば頭だけ足だけと自由に扱うことが出来るのである。

もっとも普通はこの技術を身に付けるまでこの世界の人間はあーでもないこーでもないと苦労するのだが元々この世界の住人では無かった康太だからこそ、こんなにあり得ないほどスムーズに魔力を生み出すという技術を身に付け更には魔力をしっかりと認識する事が出来たのだ。


(ヤバい、手だけにエネルギーを満たせばさらに握力が強くなってる気がする)

(ん?あれ?エネルギーが出せなくなった…それに体がダルいし、何だか考えてられなく………なってきた)


まだ赤ん坊である康太が体力、精神力といった力が未熟なためこのように魔力に変換した場合すぐに枯渇してしまうのである。そうなると一定時間、休まなければならない。


(取り敢えず休憩するか…………)

(この心が熱くなる感じ久々だな!多分魔法は呪文が無きゃ出ないんだろうから今はこのエネルギーをもっと素早く生み出しなおかつスムーズに手や足や頭や腹といった具合に一部分に瞬時に満たせられるように訓練しよう…………それに言語も理解出来るようにならなきゃな)


康太は以前自分の心が熱く燃え上がっていた頃のようになっているのに気付いた。


(そうと決まれば、早速母親、お母さんを読んで色々話し掛けて貰おう!)

「あうあうあー」

「うーあーおーおー」

「どうしたの?何か面白い事でもあった?」

「あうーきゃーうー」

(ありました!最高の出来事が!)

「今日はご機嫌ね」


そんな風にして康太はまた心に情熱の炎を灯らせたのだった。


(あれ?そういえば俺まだ生まれて一度も父親、お父さん見たことが無かったな…)


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