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突然の説教

今日も短いです。すいません。

ですが熱は大分低くなってきたので、明日は大丈夫だと思います。


今日まではこれで、勘弁して下さい。m(__)m

「ゴーレムよ。カトナー達の援護をせよ」


 サミュエルの指示に従い、ゴーレム達は死んだワイバーンをそのままにカトナー達の方へと走り出す。

 そしてカトナーに噛みつこうとしているワイバーンの尻尾に、一体ゴーレムが剣を振るう。すると魚を捌く時のように、至極簡単にワイバーンの尻尾を切り落とす。


「グギャアアア!!」


 ワイバーンは死角から突然尻尾を切り落とされ、驚きと痛みにより悲鳴を上げる。

 そしてワイバーンは、尻尾を切り落としたゴーレムに視線を向ける。そのワイバーンの小さな隙を、待ってましたとばかりにカトナーが口元に笑みを浮かべ、ワイバーンの背に跳躍して飛び乗る。

 

「クククッ、これで終わりだ!」


 カトナーはワイバーンの背の上で剣を上段に構え叫ぶと、目に見えぬ程のスピードで剣を降り下ろす。


「グギャアアアアアアアアアアア!!………………………………………………………………………………………………………………」


 ワイバーンは体を斜めに切り裂かれると、断末魔の悲鳴を上げ死ぬ。

 サミュエルが生成したゴーレムが、ワイバーンの体を魚と変わらぬ程に楽々と切り裂いていたが、カトナーの持つ剣はそれ以上に容易く切り裂く。

 それがカトナーの腕によるところも大きいが、剣の力によるところがそれ以上に大きいだろう。それこそがドラゴンスレイヤーのドラゴンスレイヤーたる竜殺しと言われる由縁なのだろう。

 竜種の硬い鱗をまるで意に介さず、楽に切り裂く。あまりに強く、あまりに希少な剣。

 そのドラゴンスレイヤーを持つカトナーが笑みを浮かべながらサミュエルに視線を向け、話し掛ける。


「クククッ…ハァハハハハッ!!……サミュエル!!今回の戦いは実に有意義な物になったな!俺はこの剣、ドラゴンスレイヤーの力を正確に理解出来た!次にダンジョンに入る時が楽しみだ!」


 獰猛な笑みを浮かべサミュエルに話し掛けるカトナー。そんなカトナーを見てサミュエルは、同じく獰猛な笑みを浮かべ答える。


「あぁ、俺もゴーレムの優位性を改めて把握出来た。………カトナーの言う通り有意義な戦闘になったな」

「サミュエルさん!カトナーさん!お疲れ様でした!………ワイバーンが新たに二体出現した時はどうなることかと思いましたが………大きな怪我も無く、本当に幸運でしたね」

「お疲れ様、ミレーユ。……そうだね、三人とも怪我が無くて良かったね」

「ミレーユ。貴様の援護が無ければ、こうはいかなかっただろうがな。……二度、危ない場面もあったからな。クククッ、貴様もかなり強くなっているな」


 ミレーユはサミュエルとカトナーに怪我も無く、本当に良かった、と安堵した様子で微笑みを浮かべて喜んでいる。

 そんなミレーユにカトナーは、ダンジョンに入る前と比べ、遥かに強く、的確な判断をする事が出来るようになった、と言葉を掛ける。

 そしてカトナーはサミュエルに、更に言葉を続ける。


「あのゴーレムが、先程言っていた物か。………確かに強力な物だな。あれ程、簡単にワイバーンの鱗を切り裂くとは………それに、まだ上があるんだろう?」

「やっぱりカトナーにはバレるか。……そう、このゴーレムの上に更に強力なゴーレムも考えてるよ。…………と言ってもまだまだ体力、精神力、の二つが低いからこれ以上は、今現在は無理だけどな」

「やはりな………クククッ、そのゴーレムを見るのを楽しみにさせてもらう」


 カトナーの言葉を聞き、笑みを浮かべ頷くサミュエル。

 そんな風に会話をした後、少し休憩をとり、体を休めた三人はワイバーンの素材や魔石、そして討伐証明部位の剥ぎ取りを始める。

 そしてワイバーンを、皮、魔石、牙、爪、骨、そして討伐証明部位の尻尾を切り取って別けると、それぞれを空間魔法で収納していく。それら全てが終わったら既に、辺りは夕陽の赤い色に包まれていた。


「いつの間にか、もう夕暮れだな」


 サミュエルが夕陽を見て、驚いた様子で呟くとミレーユ、カトナーも夕陽を見て驚く。

 三人とも、ワイバーンの解体に集中していた為時間の事など忘れていたようだ。


「解体も済んだし、村に戻ろう。急げば一刻程で村に着くだろうし。………宿屋に戻ったら、酒でも飲みながら疲れを癒そうぜ!」

「いい考えだな。クククッ……それなら急ぐとするか」

「ふふふ、明日はフォークスの街に戻るんですからお酒は程々にして下さいよ」


 サミュエルの提案に、笑いながら同意するカトナー。

 ミレーユはそんな二人を見て、優しく微笑みながら注意する。

 そして三人はお互いに笑みを浮かべ、来た道を戻る。勿論、帰る道中も周辺を警戒しながらである。

 しかしやはりと言うべきか、ワイバーンを全部倒したといっても、すぐに魔物が深淵の森の浅い場所に帰ってくる筈も無く、一度も魔物に遭遇する事もなく深淵の森を出た三人。

 そして深淵の森を出て数分した頃、三人の女性達がサミュエルの視界に入った。見た目は全員、皮鎧を装着し、三人ともレイピアを装備している。恐らくは冒険者だろう。

 そんな女性冒険者達にサミュエルが怪訝な表情で声を掛ける。


「もう夜になりますよ。今から深淵の森に入るつもりですか?」

「あなた達は………もしかして……」

「そうよ!宿屋の店主が言った通り、魔族の人だ!それに黒髪、黒目の青年!」

「間違いないわ!」


 脳内にクエスチョンマークを浮かべるエフォールの三人。そんな三人に女性冒険者達が安堵した様子で言葉を続ける。


「良かった。ワイバーンに遭遇しなかったのね」

「あなた達!店主にギルドカードを提示したわよね、そのギルドカードにはランクCって表示されていたって店主に聞いたわよ!ランクCでワイバーンに立ち向かうなんて無謀よ!」

「もしワイバーンに遭遇していたら、あなた達三人ともワイバーンに食われてるところよ!」


 突然怒りだし、サミュエル達三人に説教をする女性冒険者達。

 そんな女性冒険者達にどう接したらいいのか分からない様子で狼狽えるサミュエル。

 そんなサミュエルに代わり、ミレーユが淡々とした口調で答える。


「私達の事を宿屋の店主に聞き、心配して来てくれた………という事ですか?…………それなら心配には及びません。ワイバーン三体も無事討伐出来ましたし」


 ミレーユが淡々と説明する。

 すると女性冒険者達は、ミレーユの言葉を聞き、目を見開き驚愕した様子で、たった一言口にする。


「「「は!?」」」


 口や目をこれでもか、とばかりに開き聞き返す女性冒険者達。

 そんな女性冒険者達にミレーユは、もう一度淡々とした口調で答える。


「ですから……ワイバーンは、三体ともちゃんと討伐して来ましたよ」

「「「え!?………は!?」」」

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