続々 ワイバーン討伐
昨日に続いて、今日も短いです。すいません。
風邪を引いてしまい、頭がボーッとして余り長時間考えていられないです。この調子だと多分明日も短くなるかもしれません。 m(__)m
(糞っ!!……………頭がいいな。なかなか近づいて来ない。…………だがいずれ焦れてくる筈だ!そこをストーンランスで地上に叩き落としてやる!!そして強力なゴーレム魔法を味あわせてやる!!)
サミュエルが内心で呟きながら、ワイバーンの動きに注意していると、ワイバーンが上空から火球を放ってくる。
しかし、ワイバーンとサミュエルとの間にかなりの距離があったため、楽々と火球を避けるサミュエル。
そしてサミュエルはワイバーンがカトナーやミレーユの方向に行かないように、注意を惹く為ストーンボールを放つ。
「ストーンボール!」
サミュエルが呪文を唱えると、サミュエルの視界に三十個の岩の塊が出現した。そして、その岩の塊は勢いよくワイバーンに向け飛んでいく。
だが、岩の塊がワイバーンに直撃する事は無かった。やはりサミュエルとワイバーンとの間に距離が開き過ぎているため、どちらの攻撃も当たらないのだ。
お互いに、相手に怪我を負わせる事も出来ない距離で牽制しあっているサミュエルとワイバーン。ワイバーンが幾度も火球をサミュエルに向け放つが、やはり一度も当たる事は無かった。そしてその逆も然り。
そんな風に戦いながらサミュエルは、内心で呟く。
(俺が考えていたより、ワイバーンは我慢強いな。焦れて近づいてくると思ったけど。……………こちらから仕掛けるか………上手くいく気がしないけど……やってみるか!)
サミュエルは何か思い付いたようで、体に魔力を満たし呪文を唱える。
「ストーンウォール!!」
サミュエルがそう唱えると、岩の壁がサミュエルを覆うようにドーム状に出現した。空を飛ぶワイバーンでさえも、サミュエルを確認する事が出来ない。
岩の鎌倉の中で、更にサミュエルは呪文を唱える。
「出でよ!ゴーレム!!」
サミュエルは只の岩のゴーレムを二体生成する。因みに岩の槍を片手に一本ずつ、合計二本持たせた状態でゴーレムを生成している。
そしてそのゴーレムを確認すると、ストーンウォールを解除し、消すと同時にゴーレム二体をサミュエルの正面に走らせる。
すると、突然現れたゴーレムに驚いた様子で視線を向けるワイバーン。そのほんの小さな隙を逃さぬようサミュエルが呪文を唱える。
「ストーンランス!!」
十本と数は少ないが、その岩の槍をワイバーンに向け放つ。すると、ゴーレムに気をとられていたワイバーンはストーンランスに気づくのが少し遅れるが、致命的な程遅れたとは言えず、槍は一本も当たる事は無かった。
普通ならば悔しがるのだろうが、サミュエルは口元に笑みを浮かべる。その理由は、サミュエルの目の前にあった。
ゴーレム二体が槍をワイバーンに向け投げたのだ。しかもサミュエルが魔法で放つストーンランスとほぼ同程度のスピードで投げられたのだ。
そしてゴーレムが投げた槍がワイバーンに当たる前にサミュエルは更に呪文を唱える。
「ここで決める!ストーンランス!!」
数は先程放ったストーンランスとは違い四倍の数、つまり四十本だ。その四十本の岩の槍を、ゴーレムが投げた槍がワイバーンに当たりワイバーンの注意が完全にゴーレムに向けられた瞬間に放つ。
そして放たれた岩の槍がワイバーンの左翼を貫いていく。一本、一本、と翼を槍が貫いていくとワイバーンの左翼はボロボロになり飛んでいられなくなったワイバーンがくるくると、きりもみ回転しながら落下していく。
「グァア!グァア!!」
(良し!土壇場で思い付いた作戦にしては上手くいったな!………次は、今では以上のゴーレム魔法の出番だ!!)
ワイバーンが地面に落ちると、まるで隕石でも落ちて来たのかと思わせるような音が周囲に響き渡った。 そしてそんな中、サミュエルは冷静に魔力を生み出し、体に満たすと呪文を唱える。
「お前らの初陣だ!暴れろゴーレム!!」
サミュエルの前に二つ、左に一つ、右に一つ、合計四つの光が現れた。そしてその光が徐々に人の形になっていき、光がより一層強くなった次の瞬間にはゴーレムが出現していた。青銅製のゴーレムではなく、鋼鉄製の鎧を装備し、同じく鋼鉄製のグレートソードを装備した身長170㎝程のゴーレムが四体だ。
今までにサミュエルが生成していたゴーレムとは存在感が圧倒的に違っていた。
そしてサミュエルは、そのゴーレム四体にまるで囁くように指示を出す。
「ワイバーンを仕留めよ。そしてその後はカトナーの援護に向かえ」
サミュエルの指示を聞き、動き出すゴーレム。その動きはまるで人間のように軽やかに動く。青銅製のゴーレムとは見た目だけじゃなく動作そのものが違う。
そのゴーレム四体が徐々に歩を進めるスピードを早め、次第に走り出し、ワイバーンに向かう。するとそのゴーレムを視界に入れて、ワイバーンは翼をボロボロにされた怒りに震え、叫びながらゴーレム四体を睨み付ける。
「グゥルルルルルルルルルァアア!!」
ゴーレムを威圧するように叫び声を上げるワイバーンだが、感情という物がゴーレムには無いため、怯える事もなくゴーレム達はワイバーンの懐に入る。
そして剣の間合いに入った瞬間、ゴーレム四体が同時に上段から剣を降り下ろす。因みにゴーレム四体の装備しているグレートソードは、カトナーが以前使っていたグレートソードを参考に生成している。
そのグレートソードがワイバーンの鱗を切り裂き、血飛沫を飛ばす。そしてゴーレム達は降り下ろした剣を引き戻し、次の瞬間には突きを放つ。
「グギャアアア!!」
ゴーレムが放った突きが、ワイバーンの体の奥深くまで突き刺さると悲鳴を上げ、苦し紛れにゴーレムに噛みつく。しかし鋼鉄製のゴーレムには余り効果が無いようで少し傷がついた程度だ。
そしてゴーレム達が突き刺した剣を一気に引き抜く。
「グギャアアア!!」
ゴーレム達が剣を引き抜くと、先程と同じようにワイバーンは悲鳴を上げ血を流しながら噛みつこうとするが…………。
右のゴーレムが左脇に剣を構え、左のゴーレムが右脇に剣を構え、二体のゴーレムが同時に剣を振る。すると噛みつこうとしていたワイバーンの首をスパッと切り落とした。そして首を切り落とされたワイバーンの体はゆっくりとその場に倒れた。
それを確認するとサミュエルは、カトナーとミレーユの方に視線を向ける。するとそちらでは右翼を切り落とされたワイバーンと獰猛な笑みを浮かべ剣を振るうカトナーがいた。サミュエルはそのカトナー達の方へゴーレム達に指示を出し向かわせる。
「ゴーレムよ。カトナー達の援護をせよ」




