大パニック!!
ブックマークされた件数が増えている、コメントなどは無いけどそれだけで嬉しかったりする。
感謝。
康太が転生して三週間が経過していた。
目も見えるようになり今自分が赤ん坊になっていること、そして康太が寝かせられている柵のついたベッドから見える範囲にある箪笥といった諸々の家具が飾りっけのない質素な物のためかなり貧乏、あるいは言語も理解出来なかったため自分が聞いた事もないような発展途上国に輪廻転生したのだと理解した。
(死んで輪廻転生なら理解出来るが、死んでないのに輪廻転生っておかしくないか?暇だから寝るかぁと寝た後に脳梗塞や心筋梗塞のような病気で死んだのだろうか?それとも…まさか神様が本当に存在して″もう一度ゼロから努力したい″と願っていた事を叶えてくれたのだろうか?)
などとずっと転生に関係する事ばかりを自問自答していた。そして最後は決まって喋ることは出来ないがこう叫ぶ。
「オギャーオギャー」
(ゼロからって人生の初めからって意味じゃねーよ!)
「オギャーオギャー」
(自分が挑戦したことの無い物にゼロから挑戦したいって意味だろーが!)
そう叫んだ後はこの三週間いつものように母親がやってきて康太を抱き上げ子守唄のような歌を歌う。
「落ち着いた?私の可愛い坊や」
(何言ってるのか全然理解できねー、けど多分子守唄かな?)
ここまではここ三週間の幾度も繰り返した事だったのだが今日は明らかに違っていた。
「少し暗くなってきたから明かりをつけましょうね」
そう言葉を発して母親が人差し指を蝋燭に向けたと康太が認識し蝋燭を見、母親が小さな声で何か言った瞬間蝋燭に火がついた。もうパニックである。
(な?…は?…え?…て……手品?いやいや仮に手品だとしても日常生活で常に手品なんか使うか?そんなやつは居ないだろ、しかも赤ん坊相手にやっても理解できないからやらないだろ普通)
たちまち大パニックである。康太はまだこの世界の言葉を理解出来ず、転生したこの場所、いやこの世界を地球だと思っていたのだ。まさかどこか別の世界、所謂異世界だとは全くこれっぽっちも思っていなかったのである。
そして大パニックを起こしている康太に気付かず更に母親はまた小さな声で何か呟いたと思った瞬間さっき火がついた蝋燭の隣に置いてある見た目が、同じ蝋燭に火を点けた。さっきと同じく離れた位置からである。
(いやちょっと待ってマジで、あり得ないだろ!明らかに手品じゃないよね!?これ魔法だよね!……………地球に魔法ってあったっけ?いやある訳がない!……この世界って地球じゃなくね??)
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康太はこの日この大パニックから立ち直る事が出来ず眠りにつくまで思考停止状態のまま過ごすのである。




