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は!?

平原の中に一本だけ存在する道を進む一台の馬車の中から、何やら楽しげな会話が聞こえてくる。


「あっち向いて、ホイッ!」

「はい!俺の勝ち~」

「もう一回!……………です」


一緒に行動する事になって、はや二日が経過し三日目なり、余りにもマリンがつまらなそうにしていたのでサミュエルがマリンとミレーユにジャンケンとあっち向いてホイッを教えて三人で遊んでいたのだ。


「「最初はぁ~、グぅ~、ジャンケン!!ポンッ!!」」

「あっち向いて~ほいっ!」

「「最初はぁ~、グぅ~、ジャンケン!!ポンッ!!」」

「あっち向いて~ほいっ!」

「はははははっ、また俺の勝~ちっ!」

「うぅ~ん!じゃんけんがかてないぃ~。次は他の遊びがしたい…………です!」


余程悔しいのだろう、顔を真っ赤にしてサミュエルに他の遊びを教えてくれ、そしてその遊びをしようと詰め寄るマリン。

そんな会話をしているとマリアンヌが馬車を止めた。

そしてどうして馬車を止めたのかとミレーユがマリアンヌに聞く。


「どうしたの?姉さん」

「そろそろお昼にしましょう」

「もうそんな時間でしたか?」


もう昼だから、昼食にしようと言う言葉を聞き、ミレーユとマリン、二人と遊んでいる間にそんなに時間が過ぎていたのかと驚くサミュエル。


「それじゃあ先に食事をしていて下さい。周りを警戒しておくので」

「すみません、ありがとうございます、サミュエルさん」

「いえいえ、気にしないで下さい」


周囲を警戒しとく、と言うサミュエルの言葉に感謝を述べるマリアンヌ。

そしてまだ遊び足りないといった表情でマリンは駄々をこねる。


「あとちょっとだけ遊びたい!」

「マ・リ・ン!後でまた遊んで貰えばいいでしょう?」


駄々をこねるマリンに食事の後でまた遊べばいいと言うミレーユ。

美人なだけに真顔になると迫力が増すため、マリンがひきつった笑みで答える。


「はい………です。食事の……………後です!」


そんなやり取りを笑いながら見て少し離れた所からミレーユ達がいる場所を中心にゆっくり時計回りに回り始めるサミュエル。


(魔物はこの周囲には、少なくとも目に見える範囲にはいないな)


そして周囲を警戒しはじめてから、十五分ほどが経ち、食事を終えたミレーユが声を掛けてきた。


「見張りを交代しますので、ゆっくり食事なさって下さい」

「ありがとう、ミレーユ。でも急いで食べなくても良かったのに」


気を使わせたかなと思い、そう言葉を掛けるが、そんなことありませんよ、と 返事を返すミレーユ。


「十分ゆっくり食事をさせていただきましたよ。私も冒険者なので食事を摂るのは普通の人に比べて早いんです」

「あぁ、そういえば冒険者だっていってたね。いつ頃から冒険者として活動してるの?」


盗賊達との初めての殺し合いの日を思い出しながら訪ねるサミュエル。


「今年、十五才の成人を迎えてから登録したので、冒険者になってまだ二ヶ月しか経っていないんです」

「そうなの!?それじゃあミレーユは俺と同い年だね」


サミュエルから見てミレーユは大人っぽい雰囲気があったので、自分より年上だと思っていたサミュエルは驚きながら答える。

するとミレーユはジト目でサミュエルを見つめながら質問する。


「サミュエルさんの目には、そんなに私は老けて見えるのですか?」


そんなミレーユの言葉を聞き、マズッたか、と思いすぐさま否定する。


「そうじゃなくて…………………あれだよ………………ミレーユってさ…………美人で大人っぽいから、少し年上なのかなって………思ってたん……だよ…………。ははは…………」


美人で大人っぽいからと言われると満面の笑顔で頬を赤らめながらミレーユは周囲の警戒の為小走りで離れた位置にいく。


(ふぅ………美人て真顔になると……なんか怖いな)


美人て怖い、そんな事を考えながらミレーユとマリンのもとに行き自分も食事を始めるサミュエル。

そして後どれくらいで村に着くのかといった質問をマリアンヌにする。


「あとどれくらいで着くんですか?」

「そうですね、村までは…………………夕方ごろには着くと思いますよ。何か急がれる理由でもあるんですか?」


どうしてそんなに急ぐのかと首を傾げながら訪ねるマリアンヌに、盗賊くずれの冒険者の顔を思い出しながら答えるサミュエル。


「あの冒険者…………マリアンヌさん達が雇った護衛の冒険者達の報告をギルドへした方がいいと思いまして」


サミュエルの返事を聞き、眉に皺を作りながら、確かにと頷くマリアンヌ。

そしてそんな事どうでもいいから早く昼食を摂り遊ぼうといった、待ちきれない様子のマリン。


「早く………食べる………………です!」

「はははっ、ごめんごめん。すぐに食べるよ」


マリンの様子に笑いながら答え、急いで食べるとマリン、ミレーユ、サミュエルは馬車の中に、マリアンヌは馬の手綱を握り、午前中と同じようにして馬車はまた村へと進みだす。













そして陽が少し沈み出した頃ようやく、村の門へと到着した。

だが何やら村の中から怒号などが聞こえ、穏やかな感じではないなとサミュエル一行は村の異常を感じていた。


「どうしたんでしょうか。何やら尋常では無いような事が起きたようですが………………」

「う~ん………まぁここで眺めててもしょうがないし村の中に入りましょう」

「はい、そうですね」

「俺は冒険者ギルドに報告して来ます。え~と、ミレーユかマリアンヌさんのどちらか一緒に来て頂けませんか?一応雇った当事者がいないと駄目でしょうし」

「それなら私がご一緒します」


報告の為にどちらか一緒に来てくれと言うサミュエルの言葉に、すぐさまミレーユが一緒に行くと答える。

ならばとサミュエルはマリアンヌに話しかける。


「それじゃあマリアンヌさんとマリンちゃんは宿の方に行っていて下さい。報告が済んだらすぐに行きますので」

「はい、分かりました」


そしてサミュエルとミレーユは冒険者ギルドに入り、カウンターに行くが冒険者ギルドの中はバタバタとしていてなかなか話し掛け難い雰囲気だ。そんな雰囲気の中、意を決して声を掛ける。


「すみません!……………盗賊のことで報告があるのですが!」


盗賊の事でという言葉に反応した様子のギルド職員が呆れ顔でサミュエル達に視線を向け、その内の一人の男性職員がサミュエル達がいるカウンターにやってた。


「一体何なんですか?この緊急時に。」

「え~と、雇った冒険者が盗賊とグルで、襲われていた…………此方にいる女性と今は宿屋にいる女性二人の合計三人を救出しました。盗賊は全員、仕留めましたが此方の女性が雇った冒険者には逃げられたのでその報告にきました」

「仕留めた!?あなたが?何人いたんですか!?」


盗賊を仕留めたと言うと、かなり声を張り上げ聞いてくる男性職員。

そんな様子に若干、のまれながら答えるサミュエル。


「盗賊が五人、冒険者一人です。残りの冒険者四人には逃げられました」


淡々と答えるサミュエルに男性職員は「天の助けだ!」と言い続けてサミュエルに言葉を発する。


「助けて下さい!!」


そして、そんな言葉を掛けられサミュエルは答える。


「は!?」

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