第1話『新たな戦い』
桃太伝の続編ですので、桃太伝を見てないと内容がわからないと思われます。
できれば、桃太伝をお読みになってからこちらを読んでください。
あらすじ
桃太郎の子孫である桃太が仲間とともに悪の軍団、鬼王軍を倒してから数ヶ月後…
桃太たちの戦いから数ヶ月、鬼王軍の脅威が去って人々は平和に暮らしていた。
桃太も家族とともにのんびり暮らしていると、玄関の戸をたたく音が、
「んっ、誰かきたのかな?」
桃太はそう言うと戸を開ける。
「お、お前は!」
驚く桃太。そこには傷ついた一人の男がいた。それはなんと犬丸だった。
「うっ」
犬丸は桃太を見ると気を失った。
「どうしたんじゃ」
おじいさんが物音を聞いて、そばに近寄る。
「大変じゃ、人が倒れているじゃないか。早く中に運びなさい」
桃太は犬丸を座敷へと運び、布団に寝かせた。
二時間後。
「うっ……うん」
犬丸が目を覚ます。
「気がついた?」
「お前は桃太。そうか、やっと会えたんだな」
起き上がろうとする犬丸。
「ううっ」
「まだ寝ていなきゃ」
「早く……早くしなければ」
犬丸は上体を起こした。
「わかったから、おとなしくしていろ」
桃太は犬丸を落ち着かせる。
「一体何があったんだ? たしか、あんたは犬山城で……」
桃太が聞くと、
「実は、あの戦いで城から落ちたとき、オレは堀の中に落ちたおかげでなんとか
命は助かった。そしてその後、オレは傷を癒しながら鬼王城へと向かったのだ。
しかし、オレが城に着いたときはすでに戦いは終わっていた。オレは途方にくれて
山道を歩いていると偶然にも鬼王様と出会ったのだ」
「それで?」
「鬼王様にいきさつを聞き、「ぜひ私もお供させてください」と、お願いして
鬼が島について行った」
「じゃあ、何でここに?」
「それが鬼が島に着いたのはいいが、鬼が島は内乱が起こっていて大変なことに
なっていた。だから、鬼王様と九龍とオレでどうにか抑えようとしたんだがこの
有様で。今は鬼王様一人でなんとかもちこたえていらっしゃるが、それもいつまで
もつか……」
「だからそんな怪我をしていたのか」
「そこで同じ一族であるお主に力を貸してもらおうとここまで来たのだ。敵だった
オレが頼める立場でないことも、無理な相談ということもわかってる。しかし、
そこを何とか。頼む、助けてくれ」
犬丸は土下座をして頼む。
桃太は数秒考えたが、
「わかったから頭を上げてよ」
桃太は犬丸の一生懸命の訴えにおされ、詳しく話を聞くことにした。
現在、鬼が島では島から出たい強攻派と今までどうり平和に暮らしたい穏健派に
真っ二つに分かれていた。強攻派には戦闘能力が高い、つわものや若者がいて、
まさに武闘集団である。一方、穏健派は年寄りや女、子供が多く、強攻派を止める
ことは出来なかった。そして強攻派は島を出て自分たちの新たな土地を手に入れる
ため戦力を整えていた。とそのとき、鬼王たちが鬼が島へやって来た。鬼王は
自分の体験から強攻派に止めるように説得しようとしたが失敗し、話は平行線を
たどる。そして強攻派と穏健派、初めはお互い話し合いで解決しようとしていたが、
しだいにそれは激化していき戦闘へと発展した。すると穏健派は戦力が低く劣勢に
なった。そこで犬丸は桃太のところへ助けを求めてきたのである。
桃太は真剣な顔で聞いていると、
「わかった。助けに行こう」
桃太は助けに行くことを決めた。
「えっ、本当か? 恩にきる」
犬丸はまた頭を下げた。