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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

別ゲー シリーズ

一人だけ別ゲー・蛮族

作者: まい

 正当なゲームシステムがある異世界らしき所に来てしまった主人公が、ヤベースキルに目覚めるまでの話。

「まさか……そんな……」


 目の前の多数の魔物が今にも俺に飛びかからんと身構えているなか、周囲には誰もおらず、孤軍でも奮闘して村を守って見せると命を捨てる覚悟を決めた瞬間にソレが起きた。


 目の前に謎のメッセージウィンドウが開き、それを目撃した俺は言葉を失ったのだ。









 俺は普通の生活をしていた、普通の日本に住む普通の会社員だったはずだった。


 それが、何がきっかけなのか何の因果なのか、なにがなんだか全く意味不明なのだが、異世界へ転移してしまったのだ。


 それでなんかどこかで見たことがあるステータス表示も確認できたから、まさか何かのゲーム世界への転移か!? なんて騒いでいたものだ。


 なおステータスの技能(スキル)欄に???で伏せられたものがあり、俺に覚醒イベントがあるのか! なんて変な感動をした記憶がある。




〜〜〜〜〜〜




 出発地点がどこかの森と草原の狭間(はざま)で、私服は着ていたけど護身のための武器を持っていなかったので、そこらで拾える石斧をなんとか作ってアチコチ歩き回ったのだ。


 …………石斧ってなんて読むんだろうな? せきふ? いしおの? 俺はせきふって呼んでるけど、どっちが正解なのか分からん。


 とまあ、そんなモノでも無いよりは良い。


 石斧を命綱として、辺りをブラついてみたのだ。


 なにせなんにも分からん状況だ。 どんなモノだろうと、とにかく情報が欲しい。



 それでブラついて状況と環境を把握し、安全地帯を探し、食料を集めて乾燥させ、保存食や手製の水筒を用意して。


 2週間ほどそう言った苦労を重ね、地盤(しばん)を整えてから2・3(にさん)日ほど周辺を放浪した結果に文明と接触した。



 村だったのだが、そこで難民と偽ってなんとか潜り込めた。


 村の風景や生活が、ベタな中世風ファンタジー世界でワクワクしたものだ。



 そこから村の生活に慣れ、村人に受け入れられた頃に異変が起きた。


 魔物の襲撃だ。


 村では魔物相手に戦える者の数が圧倒的に少ない。 普段の襲撃なら戦える者達で協力すれば追い返せるのだが、今回襲撃してきた魔物の数がいつもより多かった。


 「それでも村を守るんだ」と奮起する村人達は防衛線を築きながら、非戦闘員の内の何人かを近隣の村や町に避難を兼ねて救援を求める伝令として送り出した。


 もちろん俺は戦闘員扱いで、魔物を前に、村を背にして立っていた。





「絶対に村は守るぞ!!」


『おおーーー!!!』


 戦闘は本当に厳しいもので、村人が1人また1人と戦闘に支障が出る深手のダメージを負い、徐々(じょじょ)に後退して行く。


 後退して非戦闘員に応急処置してもらって、まだ戦えそうなら戦線復帰、ダメそうなら非戦闘員の避難誘導と緊急時の肉壁役、避難が完了したらそのまま避難先で見張り役をする取り決めだ。


 魔物はまだ1体も後ろへ通していないので、後方は安全だろう。








「俺以外はもう、誰もいないか」


 安全なんて見ていたが、そんなのはすぐ無くなっていた。


 防衛線はとっくに破られ、まだ戦えるのは俺だけ。


 戦えると言っても手にした武器はもうボロボロで、そこらに落ちてる木の枝よりはマシって程度にまでダメになっている。


 そんな武器ではもうまともに戦える状況ではなく、村へ行ってしまった魔物もそれなりにいて、村人達が無事である事を祈るしか無い。


 沢山の魔物に囲まれ、いつ飛びかかられて命が尽きる事になるのかで既に秒読みが始まっていそうな場面。


「それでも、俺の居場所になった村は守るんだ!」


 俺の命を使ってでも!!


 そう覚悟した瞬間に、変化が起きた。


[スキル:全てが武器 が解放された!]


 どうしていきなりこうなったのかは分からない。


「まさか……そんな……」


 だが、このスキル名には見覚えがある。


 有名なゲーム制作の補助ツールで開発された、個人制作のイロモノゲームだ。


 このゲームの最大の特徴は……。


「よし、やってやろうじゃないか!!」


 俺は手に握っていた武器を捨て、外から見れば捨て身にしか見えない突進をキメる。


 それで魔物の1体へ迫り、スキルを使う。


「【全てが武器!】」


 魔物に接触した状態で叫ぶと、魔物が光りだす。




 体感で3秒ほど光っていただろうか。 光が消えると、俺の手は魔物を握っていた。


[はじめて魔物を武器にした!]


 その握られている魔物は動きを止め、生命活動をしているのかすら分からない位に活動を止めた。


 …………あー、つまり、俺が魔物を武器としている。


 魔物を装備すると、その魔物のステータスがそのまま装備品の数値になる。


 ぶっちゃけ、さっきまで振り回してた武器より何倍も強い。 攻撃力以外だって適用されるから、身体能力が跳ね上がる。


 ただし設定されたHPは武器耐久力に変換されるので、武器は壊れてしまう。


 そして武器と言いながら、頭にも上半身にも下半身にも右手左手にも靴にも装備できる。


 もちろん普通の武器だって装備出来るし、民家も装備出来るし、城だって可能。 ヒトが装備可能なんて、言うまでも無い。


 船だって装備出来るし、食べ物も装備出来るし、自然の山も海も装備出来る。


 どうやったら持てるのかは知らないが、ゲームでは装備と言う形で装備出来るんだから、ここでも出来るだろう。


 こうなりゃ俺は無敵だ。 あのゲームはインフレする。 村に受け入れてもらうまでに、この世界のステータス事情を知ったが、それを軽く飛び越える。


「お前らも装備してやろうかぁ!!?」


 気が強くなったまま魔物達に叫ぶと、奴らは俺の変化した強さを認識したからか、理解不能なスキルを恐れたのか、魔物達が一目散に逃げ出した。

 武器にしてしまった後にもとに戻すには、金を払う事。 逆に言えば金を払えるなら何を武器として奪っても、金で元に戻せる。

 そして戻したモノを再び入手可能。

 なんだこのヤベーの。

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― 新着の感想 ―
ああ、あのゲームかぁ。ゲーム実況者の動画で見たやつだなぁ。 普通の町人を「手に持った」時はびっくりした。建物を持ち上げた時は爆笑した。 流石にこの主人公はやらないだろうけど…。お酒に酔って「うっかり…
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