五十嵐汐音の悲劇
初投稿&完全に趣味故にツッコミどころ満載ですが、それでもよければ楽しんでください!
「…それ本当?嘘じゃ無いんだよね!?」
医師からの知らせを聞いて僕は叫ばずには居られなかった。
僕の名前は五十嵐汐音。15歳の中学3年生。5歳のときに、完治は難しいと
言われるような難病にかかり、それからの人生を病院内で過ごしている。
外出はもっての他で友達もほとんど出来ない。5歳からの10年間、見える景色は殆ど病室の壁か
窓から見える代わり映えのしない景色、話す人と言えば決まった医師や看護師くらいだ。
そんな環境で心の支えになったのは、『病気を克服して病院以外の世界、外の世界を見る。』
という強い思いだった。海が見てみたい、心拍数なんか気にせずに走ってみたい、病室のテレビで見た
ドラマみたいに友達や恋人とくだらない事で大笑いしたい。味気ない病院食じゃなくて頬が落ちるような美味しい食事を食べてみたい…それらの憧れが願望であり支えだった。
その一心で辛い治療を重ねてきた僕に遂に神様が微笑んだのだ。何と僕の病気を完治させる
効果のある治療薬が開発されたというのだ。
「もちろん本当ですよ汐音!つい最近発表された治療薬で、早ければ3か月後には
ウチの病院も使う事が出来るようになります。」
5歳から僕の治療を担当してくれた仲良しの医師は僕を見てにっこり微笑み言葉を続ける。
「確実に完治するなんて無責任な事言えないけど…今までよく頑張りましたね、汐音。
ただ、まだ油断はできないので、今日はもう病室に戻って下さい。辛いでしょうが、
新薬が届くまではいつもの投薬治療を続けます。」
「ありがとう!治ったら僕、テレビに映ってた遊園地とか海に行くんだ!あと3か月くらい何て事ない
よ!」
ようやくだ、やっと外の世界を見れるんだ!全身が焼け付くような痛みや、辛い投薬治療でも完治
しない絶望感とは、後3か月でおさらばだ!まず誰に連絡すれば良いんだっけ、そうだ!
「先生」に連絡しないと!
そんな事を考えていると自然と浮足立ってくる。気づけば僕は小走りで廊下を走っていた。
それだけ最高の気分だったんだ。そう、目の前に突如現れた清掃中の看板に気づかないくらいには...
――ツルッ、ガシャーン!
次の瞬間僕は足を滑らせ派手に転倒した。したたかにぶつけた後頭部がズキズキと痛む。
起き上がれないし体に力も入らない。これはシャレにならないぞ、と本能的に感じた。
「五十嵐さん?!大丈夫ですか?しっかりして!」
「汐音!?誰か担架を!すごい出血だ!」
僕の転倒に気付いた看護師や医師が周りに集まってくる。どうしよう…頭が割れる様に痛いのに、
うめき声も出せない...何だか目まで霞んできたぞ...眠りに落ちる様にゆっくりと意識がフェードアウト
していく。
あぁ、僕は死ぬのか...もう少しで病院の外に出れたのにな...友達いっぱい作って、走って、笑って、
ただ普通の生活に憧れてただけなのに、どうして僕だけこんな目に合わないといけないの...?
悲しみと絶望から涙が溢れてくる。...恨むよ、神様...。
僕は完全に意識を手放した...
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