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「ごめん。ちょっと待った?」

「いいえ。別に」

 はちのほうを見た菘はにっこりと笑って言う。

「それで、僕に話ってなに? 松野さん」と菘の隣に少しだけ距離をおいて座って、はちは言った。

「えっと、別になにか特別な話があるってわけじゃないんです」菘は言う。

「ただ、ことりの友達として、一度椎名先輩に会って、話がしてみたいって思っていただけなんです。だってことり。最近ずっと、椎名先輩の話ししかしないんですよ」

 ふふっと笑って菘は言う。

「そうなんだ」ちょっと照れながらはちは言う。

 つまりこれはテストのようなものなんだろうと思った。ことりの友達である菘が急激にことりとその距離が縮まったところにいる一個上の先輩である椎名はちという男の人はどんな人なのか? 僕はことりにふさわしい男のなのか? それを見極めに菘はやってきた、ということだろう。

「突然、迷惑でしたか?」菘は言う。

「ううん。そんなことないよ」はちは言う。それははちの本心だった。迷惑どころか菘の行動にはちは少し感心もしていた。なんだかんだ言って、友達のためにここまで積極的に行動できる人は、あまり多くないだろうと思った。

 それっきり菘は黙った。

 なんの話をするわけでもなく、ベンチに座ってぼんやりと夕焼けの風景を眺めたり、足をちょっとだけぶらぶらさせたりしているだけだった。

 ……テストは合格、ということなのだろうか?

 第一印象だけで、というのはちょっと腑に落ちないけど、なにも質問をしてこないということはきっとそういうことなんだろう。

「そのお面。かっこいいね」

 可愛いね、と言おうかどうか迷ったけど、はちは沈黙に(それとさっき出会ったばかりの可愛い女の子とずっと一緒にいるという、少しの恥ずかしさに)耐えかねてそう言った。

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