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(二)-20
松ヶ浦はさらに『週刊文潮』を読んだかどうか聞いた。
対して笹津は「俺そう言うのは読まないんですよねー」と言った後で「そういうの、全部副社長に任せてるんで」と続けて「それじゃ、今からちょっと所用あるんで、失礼しまーす」と一方的に電話を切った。
「おいっ!」と松ヶ浦は電話に向かって大声を出したが、電話はもはや「ツー、ツー」とだけしか言わなかった。
あの若造が今の暮らしができているのは、そういう過去の積み重ねのおかげだ。それに笹津は安政義塾を出ている。バカではないはずだ。自分が置かれている立場について計算ができるはずだ。だからそれを自分で壊すようなバカなまねはしないはずだ。松ヶ浦はそう考えることにした。
(続く)




