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はじまり

 頭上から迫りくる終焉。いつもの俺なら、こう表現していたであろう、現状。抗うことができない終わり。つまり、自身の死を悟った。

 

 なぜこうなったのか。俺に非はない。

 

 異世界もののライトノベル『ミーミル』シリーズの著者である俺、水河日向(みずかわ ひなた)20歳は、いつものように長期休載期間という名のぐーたらライフを満喫していた。これからも、連載再開までは楽しむつもりでいた。

 

うだるような暑さの中、お気に入りのヘッドホンを耳に当て、最近見たアニメのオープニング曲を再生しながら、ゲームセンターまで通りを歩いて向かっていただけだ。それが、なぜ?

 

ーーなぜこんなことになった……!?


 頭上。炎天下、日光を遮る影が俺を包んだ。

 十階建てマンションの屋上から落下してきた"それ"は、圧倒的な質量をもって襲い掛かる。

 

 転生ものによくある「薄れゆく意識の中で……」なんて悠長な時間はなく、押し潰され、叩きつけられる感覚だけが残り、意識は途絶え、俺の人生はあっけなく終わりを迎えた。


 ……?


 何かがおかしい。俺の人生はたった今最悪の形で幕を下ろしたはずだ。意識は確かに途絶え、肉体が終わっていく感覚も味わった。

 だが、まるで再起動したパソコンのように、意識は繋がり、しっかりとした感覚を指先まで感じる。

 自分が本当に水河日向(じぶん)なのかわからない異質な感覚に、例えようのない嫌悪感を感じた。


 しばらくたつと、そんな感覚も薄れていき、自分以外のもの、つまり周囲の様子に意識を向けることができるようになった。

 そこは先ほどまでいた都会とは乖離した、広大な平原だった。心地よい日光が降り注ぎ、やわらかい風が吹き、なだらかな丘陵が地に影を生んでいる。

 

 しかし、そんな普通の感性を持っていたら、立ち尽くして見惚れていたであろう光景が、どうでもよくなるような事態が起こっていた。


 俺のそばに、見知らぬ人が立っていた。


 「うわぁっ!?」


 思わず後ずさる。割とマジで心臓が飛び跳ねたかと思えた。気配が、全くないのである。まるで"そこにあることが当然"と定められているのかと思うほどに、何も感じない。


 「大丈夫か?」


 呆然としている俺に、そこそこの年齢に見える、ローブを纏った白髪の西洋人風の男は、驚かれたことに驚いたような、よくわからない顔と声で尋ねてきた。


 「え、あっ、はい、一応大丈夫です」


 一度死んで見知らぬ場所に立っている人間のどこが大丈夫なのか、答えた自分ですらわからなかったが、唐突に尋ねられ、こう返答するしかなかった。


 「君が……ふむふむ」


 男はなぜか、じろじろと俺の胸元あたりを見ながらそう口にした。


 「なに、こんな場所で立ち話というのも疲れる。ひとまず、場所を移そうか」


 歩き出した男の後を追うと、平原の中に都合よく小屋が立っていた。ちんまりとした、しかし歴史を感じるロッジのような外観だ。

 中に入り、椅子に座り、テーブルの向かい側に座っている老人のほうを見る。

 

 「あの、あなたは一体……?ここは……?さっきまで、別の場所にいたはずなんだが……」

 

 思わず質問攻めしてしまう。しかし男は動揺した様子なく質問に答える。


「私の名はカルネル。ある世界の、創造主だ。」

「は?」


 思わず声が出てしまった。反射的な、かなりのガチトーンでの『は?』に、カルネルと名乗った男は驚いているようだ。


 「あ、いや、そうっ、……創造主なんすね、なるほど」


 俺の心の中の『初対面の人に対してやっちゃダメなことランキング』上位に余裕で入賞する愚行を行ってしまったことで、かなり焦る。

 しかし、カルネルは怒らずに口を開いた。


 「まぁ、それはいいんだ。でも、お前さんも創造主なんだ。いくら初対面とはいえ、驚くことはないだろう」


 ……今、なんて?


 ーー今思えば、ここから、きっと物語は始まったんだ。

初投稿&初執筆です。至らない点しかないと思いますが、生ぬるい目で見守っていってください。

また、小説家になろう自体あまり触れてこなかったので、ルール的にまずい点や読みにくい点などありましたら、ジャンジャン教えてもらえるとすっごく助かります。

不定期投稿で、のびのびとやっていきたいと思います。

ついでに、作品タイトルの読みは「セカンドライフの転性者」が正解です。

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