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オタク魔人はカサンドラの夢を見る  作者: 手垢
緩衝地帯の魔物
18/26

§2.8 作戦会議(一時中断)

 曇天のせいで夕焼けになることになく、空は灰色のままうす暗くなっていっていった。夕食時だというのに人通りのまばらな通りで、建物に寄りかかる二人の魔人がいた。


「少しは落ち着いたか?」

「どっちが、だよ」

「……。」

「……。まぁ、確かにさっきのは言い過ぎたよ。すまない。」

「それはいいんだよ、もう。確かに、部下たちのことを考えれば俺もあそこでギュンターさんからもっと詳しく聞き出すべきだったのかもしれないな。」

「……それもそうなんだが、お前はギュンター、さん、に対して尊敬、というかもう神聖視一歩手前な感じなんだよな。いや、さすがにそれは言いすぎか。でも、その無駄な尊敬の念の強さがとらなくちゃいけないコミュニケーションまで奪ってしまうのはよくない、と思うよ。たぶん。」

「そうだよな。…よしっ、気分転換もできたことだし、もう一度ギュンターさんも含めて作戦会議と行こうか!」

「ちょっと待ってくれ。ギュンターさんと話し合う前にまずは僕たちだけで作戦の骨子だけは固めておきたいんだが。」

「だが、実際に作戦を実行するにはギュンターさんには話を通さないといけないから、二度手間になるんじゃないのか?それに、この国の防衛については俺たちはほとんど何もわかっていないだろ?」

「確かに二度手間だし完全に細部までは詰められないと思う。だが言った通り決めたいのは骨子だ。特に、この国に今回の防衛の件について知らされずに来た人たちは何としても守らないといけないと思うんだ。」

「ふぅーん?それってもしかしてキシリアのことか?お前もあいつのこと気になてるのか。」

「茶化すなよ!真面目な話をしてるんだよこっちは!まぁ、あいつも含めて関係ない人たちを犠牲にすることだけは避けたい。」

「まぁ、それに関してはラルゴ側にとっても不利な状況になりかねないから、ギュンターさんをはじめ、精鋭たちが守ってくれるだろう!」

「…ギュンター、ねぇ」

「ん?なんか言ったか?」

「いや、別に。とりあえず、今日の夜またここへ来てくれ。その時に俺が見た夢をもとに作戦を考えよう。あまり遅くなっても怪しまれるしもう戻ろう。」

「誰が何を怪しむっていうんだ?…まぁ、いいか」


 二人でいることが多く、しかも二人で部屋で『作戦会議』をしていることから、一部ではこの二人はできているのではないか、いったい何を二人きりでしているのか、ということが噂されていた。もちろん健全な会議しか行われていないし二人にそういう性癖は一切ないわけだが。


 宿舎の男子部屋の前に行くとなぜかキシリアが立っていた。もちろんロディオンは気が付かないふりをして部屋に入ろうとする。


「な、なんで無視するんすか、先輩!そ、そのずっと待ってたんすよ?」

(何でいきなりラブコメヒロインみたいなセリフ吐いてんだこいつ。しかも何か様になってるのがちょっとかわい、じゃなくて、むかつくな。)


 やれやれ調子狂うぜ、と仕方なく振り返ると、それまで上目遣いでロディオンの後ろで反応を待っていたキシリアの口元がニヤァッとと変貌する。


「先輩もしかして、ちょっといいなって思いましたぁ?思いましたよねぇ?いやぁ、やっぱちょろいっすわ先輩。」

「……ちっ。」


少しだけいいなと思ってしまった気持ちをどこへもっていけばよいのかわからずに、うざ(かわい)い笑みを見下ろしていた。


「俺は先に部屋戻ってるぞー。」


 しばらく二人を見ていたバーナードはそう言い残して部屋へと入っていった。

「…それで先輩、もう大丈夫なんすか?」

「何がだよ。」

「その、珍しく先輩大きな声出してたから、何かあったのかなぁー、みたいな。」

「盗み聞きは趣味悪いぞ。」

「言い方っすよ、先輩。見守る、もとい、聞き守っていたんですよ。でもまぁ、なんか先輩の様子見てたらたぶん大丈夫なんだろうなって気がしてきました」

「いったい何が言いたかったんだお前は。」

「特に何もぉー。じゃ、明日からいろいろ忙しいと思うんでもう寝ますねー、おやすみなさーい。」


 そういっていつものようにくるりと回って、手を振ると部屋へと帰って行った。

「そういわれると僕も寝たくなっちゃうよ…。ていうかさすがに寝るの早すぎないか。」


 そう呟いてロディオンも部屋へと入る。しばらくして出てきたロディオンは昼に買ったパンを頬張りながらもといた路地へと向かった。


今回も最後まで読んでくださりありがとうございます。

少しでも面白いなと思われたら、ブックマークをよろしくお願いします!


なんだかまた話の展開が遅くなってきてしまって申し訳ないです…。がんばります。


ではまた。

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