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偽物勇者ハイウェイ

 悪魔が乗り移ったかのような、ばあさんの叫び声で、何事かと人が集まってくる。


 教会の信者や教会の騎士達だ。


 騎士の一人が、ばあさんに向かって問う。

「今の叫びは、何事でございますか?」


 はい、来ました。わかります。

 お決まりの解決パターンですね。



 ナイフなど持っていないけど。

 俺に向けたナイフがその場にチャリーンッ。


 わ、私が、私がやったんです。

 全て私が……。泣き泣き。


 もぅいい、話はギルドでゆっくり聞かせて貰おう。

 連れていけ。はっ。




 はいっ。脳内シュミレーションOKでーすっ。


 では、ばあさん行ってみよう。

 さん、はいっ。と言おうとした所。


 ばあさんが騎士に泣きつく。

「せ、せ、聖女様に危害を加える、偽勇者じゃー。助けてくれ、殺される」

 

「え、ぁ……偽物じゃないです……ボク」


 ……予想外なんだよ。さっさとお寝んねしろよ。

 ボクってなんだよ。

 とっさにボク、悪いスライムじゃないよ。

 が出てきてボクって言っちまったじゃねぇか。


 まぁ、聖女様が、俺の身を潔白してくれるから、別にいいけどねっと。笑顔で振り返る。

「本物だよね、マリアン」

…………。


 マリアンは微動だに動かない。

 ただの屍のよう………寝てます、はい。

 泣きつかれたのかなぁ?

 さっさとお寝んねしろってマリアンが寝てどうすのよ?



 では問題です。

 倒れている(寝ている)聖女の近くに男が立っている、泣きじゃくる老婆は助けを求めている。

 悪いのはだーれだ?

 おばーちゃん。

 ちょっと難しかったかなー?


 騎士達、信者達の見る目が敵を見る目である。


「お前が勇者様?勇者様をバカにするな。確かに、顔や背格好は似ているが、勇者様はお前のような薄汚い格好などしていない。それに城内で見た、騎士の憧れである神聖な雰囲気はお前にはない」


 ……はい、オワター。ワタシオワタねー。


 城内だよ?そりゃシャキッとするでしょう。


 この服だって久しぶりに出した一張羅なんだから、流行に、ちょっと遅れて、ちょっと古くて、ちょっとピー臭いかもしれないが、機能性いぃんだぞ。


 何て、言えないよね。



「何より、お前に似た空の勇者はその役目を終え、勇者を引退された。まぁ、今日の事だから、お前が知らないのも当然だろう」


 

 先頭の騎士は勇者様信者なのか、怒りをあらわにしている。


 一歩一歩と距離が近づく。


 俺は、覚悟を決め、声を張り上げる。


「騎士達よ、聞け。いぃか、聖女が目覚めたら確認しろ。そこのばあさんがした事を。そして、国王に伝えよ……俺は……空の勇者は……」


「この国を出る」


初めて勇者っぽくね?

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