夜営はやッべぇ~イッ
廃村に着いた俺たちは夜営をしていた。
さすがにチキチキパーティーは大人の事情で出来ないが、悪徳商人の積み荷の食料はたんまりとあって、豪華な食事だ。
イリス達は助けたけど魔族だ。
下手ををすれば、俺もゼフィーもいつ背後を襲われてもおかしくないと思ったが、感謝はあれど、俺達に殺意を向ける者はいなかった。
やっかい事はゼフィー様だけ十分だせ、お嬢さんっ。
俺は火を囲むイリスのとなりに座った。
「で、あんたら魔族だよな? 何で人なんかに捕まったんだ?」
「ダメヨン王国を知っているか?」
「あぁ、俺達が向かおうとしている国だ」
「そうか。私の村は国王の指示のもと、焼かれた」
???
「焼かれた?」
俺の周りは火の女神にでも嫌われてんのか?
「あぁ、正確には黒の勇者率いる騎士にだ」
「マジ?」
「普通の騎士だけなら我らで何とか出来たと思うが、相手は勇者だ。数でも力でも負けては、どうにもならなかった。生き残った我らは逃げてきたが、奴の魔法で力は弱まり、このざまだ」
おいおぃっ。
他国の勇者からんでんのー?
ヤバイじゃん。
「そ、そぅだったのか? で、お前らこの後いく宛はあるのか?」
イリスは顔を横に振った。
聞いたからには少しは助けになりたいが、俺も家なし、信用もなしなしだ。
「悪いっ。俺達も色々あって手が貸せそうにないな」
…………。
「何を言うておるのじゃ。ここに住めばよいのじゃ」
そぅ言って、ドーンっとゼフィーが後ろから抱きついた。
うん。まだまだ幼女サイズだなっ。
ってなに言ってんのあなた?
イリスもなるほどって考えてるしっ。
でも、まぁ見つかりにくいと言う分にはここは最適か?
いちようハタラカン王国内だし。
ただ、ゼフィーがいなくなったら魔物が出てきてもおかしくないけど。
「まぁ、いんじゃないか。魔力が戻るまででもここにいたら」
ハッと思い出したかのようにイリスは腹を見せ始めた。
ちょっ。何をっ。
俺は紳士だっ。
ギュッと目を閉じた。
そして、心眼、心の目で。
いでよっ!我が妄想ー!
「アルス殿、これが、わかるか?」
あれ?
任意じゃでてくれないのか?
見ると、腹には何やら魔術紋があった。
んーわからんっ。
だが、俺には歴史ある魔竜様がついているのだ。
「ゼフィーわかるか?」
「それは黒翼の魔法じゃな。簡単に言えば呪いじゃ」
「治りますか?」
「自然には無理じゃ。魔力の流れが歪んでるのじゃ」
「そうですか」
イリスは少し、残念そうな顔を見せた。
「じゃが、聖女、あるいは高度な魔法使いなら消せるはずじゃぁ」
聖女と高度な魔法使いと聞いて、マリアンの無垢な笑顔とミーナのだるそうな顔が浮かぶ。
…………会いたくはねぇな。
俺は書きたくねぇは