親玉だーれだ?わかるわけないでしょー
目の前には大、中、小のハゲ悪党だ。
俺の第六感が告げている。
大ハゲが一番の親玉だと…………。
「子連れ? だっ、誰だっお前は?」
フム。子連れと勘違いしたか。
なら、それにのってやろう。
「俺か? 俺は……この子の…………パパンだ」
「パパン? 聞いたことない名前だ」
違います。何でこの子の、が聞こえてないの?
ちょっと噛んだだけです。
パパンなんて俺も知らん。
「運が悪かったな兄ちゃん。見てはいけない物を見ちまったお前は、死んで貰うぜぃー」
見てはいけない物は深夜の夫婦だけにして欲しいねー。
ハゲらはニヤニヤと薄ら笑い、それぞれ剣を抜く。
「おいおぃ、ちょっと待ってくれよ。子供がいる前なんだぜ?」
「死ぬのじゃ」
ドヒュンッ。
ゴウッーーー。
「アギャーーーーー」
悪党の中ハゲは、燃えながら倒れた。
やれやれ、俺のベイビーが火を吹いちまったぜ。
「なっ、何なんだお前らは」
「命の恩人じゃっ」
ドヒュンッ。ゴウッーーー。
「ビギャーーー」
悪党の小ハゲも、断末魔と共に倒れた。
いや、命の恩人言いながら殺戮してますよ?
残るは悪党の大ハゲだけだ。
俺は何もしていないし、最後は、このパパンが良いところを見せねばっ。
悪党の大ハゲはすっと両手を上げる。
そして、持っていた剣が地面に刺さる。
「たっ頼む。こ、殺さないでくれ。降参だ。降参する」
まぁ、戦力でも人数でも負けてたら、そうなるか。
俺の活躍の場は、次の機会だな。
「わかっ――」
「うるさいのじゃ」
ドヒュンッ。
「グジャーーーー」
ドサッ。三人目の死亡を確認。
うん。何かね、そんな気がしてたよ。俺。
「お、お前達、そこを動くなっ」
振り向くと、奴隷の首筋にナイフを向ける男がいた。
男の見た目は小綺麗だ。こいつが親玉か?
「お前ら、こいつらの仲間だな? いいか、一歩でも動けばこいつの首を切り裂くぞ」
さあ、どうする?
いくら俺が速くても、ゼフィーをおぶったままでアイツを殺るのは無理だ。
「何を言っておるのじゃ。一歩でも動けばお前を燃やしてやるのじゃ」
「ははっ、冗談を…………」
俺も冗談だと思いたい。でも…………。
「いや、あんた逃げた方がいいぜ。こいつは一人、二人死のうが何とも思わない」
ゼフィーは手のひらを相手に向けている。
…………。
……………………っ。
「お前ら、今度会ったら、ピーーーーで、ピーー、その後でピーーしてやるからなー」
耐えきれなくなった男は、何か叫びながら逃げ出した。
安心したのか、奴隷はその場に座りこむ。
「動いたのじゃー」
ドヒュンッ。
「ハグァーーー」
親玉の撃墜を確認した。
俺のせい? 俺が逃げた方がいいと言ったせいか?
なんか、うん。ごめんな。
グッバイ。また会うことはなくなったね。
なんか、俺達の方が悪党ぽくね?
いやいや、まぁまぁ、何にせよ終わった。
「ゼフィー、俺は疲れたから、一回下ろすぞ」
「わかったのじゃ」
俺の背中がやっと軽くなった。その時だった。
「お、お前達、そこを動くなっ」
その台詞今さっき、きいぃたぞっ?