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よっ君たち、さぁ崇めよ

 


 俺はゼフィーを抱えたまま、身をかがめていた。


 嫌な予感が的中していたようだ。


 馬車が停車している。

 こんな森の中をよく歩かせたものだな。


 馬車の中には、腕と首に拘束具をはめられた人が座っている。

 隙間からでは、顔までは見えない。

 だいたい奴隷は十人くらいか?


 周りには武器を持った男が三人。

 ハゲは悪党の特徴ですか?と問いたいが今はやめておこう。



 ハゲらは野営の準備を始めていた。


 おいおぃ。奴隷商人かよ。森を抜けて国を出る気か?


 さて、どうやって助けるか……。



「アルス何をしておるのじゃ、二十人もおらぬ、全員殺して食べ物を奪うのじゃ」


 お前、もとあがめられてた者として、全員ってその発言はどうなのよ?

 グレてしまったのか?

 ヘイへぃ兄ちゃん、いいもん持ってんじゃねぇか的な?



「ゼフィー、殺すのは武器を持ったあの三人だ」

「なんでじゃ?」


 俺が言いたい。その言葉、俺が言いたいですー。

 …………。


「あの三人は悪党で、馬車の中の連中は奴隷として捕まっている。考えてみろ、助けた連中が、命の恩人であるお前を崇めてくれる可能性は十分あるぞ」


「なるほど、わかったのじゃ。なら早く助けに行くのじゃ」


「だから今、それを考えてるのっ」

 ヤベッ、声が大きかった。



「誰だっ?そこに誰かいるのかっ?」


 悪党三人がこちら側を見ている。


 誰もいませんよー。ちゅんちゅん鳥ですー。

…………。


「聞いて驚け、そして崇めよ、わらわは魔竜、魔竜ゼフィーじゃー。命の恩人じゃー」


 ちがーう。そんな声を張り上げて言うんじゃない。

 まず、命の恩人にすらなってないよー。

 俺の耳がキーンとなってるよー。


 悪党に崇めて貰えなんて俺、言ってないよね?

 なんでこっちから自己紹介してんの?


 バレてもなかったのに。


 俺の背中の幼女様はまた記憶喪失か?



 でも、いきなりの謎の幼女ボイスで悪党は少し困惑しているようだ。

 ある意味、聞いて驚いてくれたね。

 よかったねゼフィー。



「でっ、出てきやがれっ」



 もぅバレてるし、出て行ってやるか。

 やれやれ、ノープランだぜ。

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